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病理診断結果

[管理番号:3441]
性別:女性
年齢:40歳
1年8か月ほど前に、線維腺腫か葉状腫瘍の可能性のある腫瘍を大学病院にて「針生検」後に摘出しました。
手術で摘出された腫瘍は「線維腺腫」との病理診断が出ました。
今回お聞きしたいのは、この手術前に行われた「針生検」の結果についてです。
訳あって、最近この病理結果を頂きました。
だいぶ前の結果の事ですが、教えて下さい。
針生検をした時に医師に「細い針も太い針も、色々刺してみたが、腫瘍が硬くてちゃんと組織が付いてこない。
これでは診断結果がどちらか分かりません。
と出てくると思うから、手術して取ってしまいましょう」
と言われました。
結果は以下のように書いてあります。
(マンモトームをすると事前に聞いていたのに、なぜかCNBと病理診断には書かれていました。問題ないですか?)
「Sclerotic change of the left breast, CNB
左乳腺腫瘍から3片のCNB組織。
膠原線維の増生を伴ったscleroticな変化を認める乳腺組織です。
乳管は萎縮性となり、一部の乳管周囲には軽度の炎症反応を伴っています。
標本上、atypical duct や slit状のduct は存在せず、悪性を示唆する所見もみられません。
標本上、PTを疑う様なハッキリとした葉状構造や間質fibroblastic cell の増生もありませんが、FAの可能性は否定出来ない所見です。
悪性を示唆する所見は認めません。
No malignancy」
です。
①ちゃんと腫瘍から組織が取れていたのでしょうか?それとも周囲の正常乳腺だったのでしょうか?(針が腫瘍を外していたのか?)
②「膠原線維の増生を伴ったscleroticな変化を認める乳腺組織です。
乳管は萎縮性となり、一部の乳管周囲には軽度の炎症反応を伴っています。」とありますが、これは硬化性腺症の事ですか?
硬化性腺症について調べてみたら、特徴がよく似ているようなので心配になりました。
硬化性腺症の中から癌が発生する事がある。
リスクがある乳腺症と書いてあり、心配です。
③腫瘍ではなく、正常乳腺からの組織診断の結果ならば、私は現在も硬化性腺症と言う乳腺症で、今後は乳癌リスクが高いのでしょうか?
④放っておいていいものですか?もっと調べる必要がありますか?
この病理診断結果について、主治医からは何も説明がありませんでした。
最近知った結果で、読んでいて不安になってしましました。
お忙しい中申し訳ありませんが、回答をよろしくお願いいたします。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
「針生検をした時に医師に「細い針も太い針も、色々刺してみたが、腫瘍が硬くてちゃんと組織が付いてこない。これでは診断結果がどちらか分かりません。」
⇒こんな程度の診断能力では困ったものです。
 硬い組織でも「マンモトーム生検行えば100%診断可能」です。
 問題は「術者側」なのです。
「(マンモトームをすると事前に聞いていたのに、なぜかCNBと病理診断には書かれていました。問題ないですか?)」
⇒おそらくCNB(バネ式針生検)のようです。
 手掛かりは「3本」となっていることです。
 マンモトームであれば、「3本以上」は採取するでしょう。
 私の推測ではその大学病院の医師は「マンモトームする自身がなかった」のでしょう。(マンモトームは針が太いので操作に慣れが必要ではあります。 慣れれば寧ろ簡単なのですが…)
「①ちゃんと腫瘍から組織が取れていたのでしょうか?それとも周囲の正常乳腺だったのでしょうか?(針が腫瘍を外していたのか?)」
⇒担当医の態度からすると(自身が無さそうです)完璧には取れてはいないようで
す。
 ただ「sclerosing changeの部分」が一部採取されているようなので(線維腺腫の部分所見だと思います)病変の中心部ではなく『かすった』のだと思います。
「これは硬化性腺症の事ですか?」
⇒組織像は似ています。
 ただし、針生検で採取されている部分は「硬化性腺症」とするには「病変が小さすぎる」ので「硬化性変化」どまりとなっています。
 実際に「摘出した病変は線維腺腫だった」わけですから、「線維腺腫の中の局所的変化にすぎなかた」と解釈できます。
「③腫瘍ではなく、正常乳腺からの組織診断の結果ならば、私は現在も硬化性腺症と言う乳腺症で、今後は乳癌リスクが高いのでしょうか?」
⇒全く違います。
 ご安心を。
「④放っておいていいものですか?もっと調べる必要がありますか?」
⇒大丈夫です。