[管理番号:3039]
性別:女性
年齢:44歳
田澤先生
色々調べてるうちにこちらを拝見し参考にさせていただいています。
姉が乳癌と診断され、
術前にマンモ、エコー(15*12*11mm)、MRI(18*15*14mm)、マンモトーム生検し、
診断結果は非浸潤性乳管癌、Tis(8割、残りの2割がT1との事)N0M0、
ER100%、PgR100%との病理結果を受け、
さらにCT、骨シンチを受診(転移なし)し、
手術は乳房部分切除+センチネルリンパ節生検を実施して現在放射線治療中です。
術後の病理診断結果が
浸潤性乳管癌、硬癌で腫瘍径が27*11*18mm、最大浸潤径が21*11*18mm、
浸潤がgf、EIC+(乳管内病巣は腫瘍全体の約25%)、
ly+(軽度に見られるとの所見)、v-、
核グレード2( 異型スコア2、分裂スコア2(10視野で6個)、
pT2、pN0、切除断端陰性、センチネルリンパ節転移なし(0/1)、
ER陽性(>95%)、強度3でAllred scoreは8、
PgR陽性(33-66%)、強度3でAllred scoreは7、
HER2スコア0、MIB-1 index約20%
のような記載でした。
術前の予測より悪い(思ったより進行してて状態もよくない状態)印象でかなりショックですが、放射線治療の後はホルモン治療が待っているそうです。
(術前はタモキシフェンとか言ってたような)まだその説明はなく放射線治療後です。
気になるのは術前の結果より悪くなっていると私が思っている最大浸潤径、核グレード、ly+、MIB-1 index約20%の項目です。
先生の結果全体の印象と、私の気になっている項目のご見解と姉の癌の特徴を聞きたいです。
またそれ以外に気になる部分はありますでしょうか?
ルミナルタイプはどれに該当するのでしょうか?
抗がん剤治療が必要かの見解もお聞きしたいです。
また再発や転移のリスクは今時点ではどう判断されるのでしょうか?(生存率や再発率なども統計上わかるのでしょうか?)
私の素人考えでは中間(グレー)な内容があり病状として良い部類なのか悪い部類なのかどちらとも言えない中間な感じなのか判断出来なくて困っています。
MIB-1 20%や浸潤径21mm、グレード2など分類の境界や中間の判断はどのようにされるのでしょうか?
ルミナルタイプやステージなどもAに近いBとか1に近い2などの考えがあるのでしょうか?
その場合の治療計画は境のどちらをもとに判断されるのでしょうか?
また担当医の方は今まではあまり詳しく説明してくれずこの後控えているホルモン治療の説明の際はさすがに上記結果説明も含めよく聞くつもりですが、
方針が割とその場で決められるので考える猶予が今まであまりなく現在に至っています。
それも術前の結果を信用していたからであって術後の結果から慌てて色々結果をもとに調べています。
術前からホルモン治療はよく効くタイプだとは聞いています。
(なのでホルモン治療 以外の他の治療や検査などはどうなのか?悩んでいます)
姉には可能な限りベストな治療を受けて欲しいので色々教えていただけたら幸いです。
幸い医療保険がおりましたので金銭的には多少まだ余裕があるので標準治療+の治療や検査などありますでしょうか?
宜しくお願い致します。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
術前のマンモトームで「非浸潤癌」⇒術後に「浸潤癌」と判明とのことですね。
お気持ちお察しします。
「先生の結果全体の印象と、私の気になっている項目のご見解と姉の癌の特徴を聞きたい」
⇒グレード2の「普通のタイプの乳癌」です。
最大浸潤径=21mmということで「ぎりぎりステージ1」となっていますが、実質的には「早期乳癌」です。
「またそれ以外に気になる部分はありますでしょうか?」
⇒特にありません。
「ルミナルタイプはどれに該当するのでしょうか?」
⇒Ki67が約2 0%となっています。
グレーゾーンではありますが、「ルミナールA」でいいと思います。
「抗がん剤治療が必要かの見解もお聞きしたいです。」
⇒ルミナールAと判断すれば、「抗がん剤は不要」となります。
「また再発や転移のリスクは今時点ではどう判断されるのでしょうか?(生存率や再発率なども統計上わかるのでしょうか?)」
⇒ホルモン療法単独で
再発率は15%
10年生存率は93%となります。
「MIB-1 20%や浸潤径21mm、グレード2など分類の境界や中間の判断はどのようにされるのでしょうか?ルミナルタイプやステージなどもAに近いBとか1に近い2などの考えがあるのでしょうか?その場合の治療計画は境のどちらをもとに判断されるのでしょうか?」
⇒中間というよりは「ルミナールAとして治療」でいいと思います。
ただ、「中間と考える」のであれば、「Oncotype DX」も検討すべきでしょう
「姉には可能な限りベストな治療を受けて欲しいので色々教えていただけたら幸いです。幸い医療保険がおりましたので金銭的には多少まだ余裕があるので標準治療+の治療や検査などありますでしょうか?」
⇒金銭的に許すのであれば「OncotypeDX」がお勧めです。
それをしないのであれば(新しいASCOのガイドラインから)LH-RHagonistの併用も考慮されます。
その場合にはタモキシフェン+LH-RHagonist併用です。
質問者様から 【質問2】
田澤先生。
先日は回答ありがとうございました。
不安とはいえ前向きに治療していく為の説明として姉には話をして頑張っていく事にしました。
すいません、以前の回答の中で「ぎりぎりステージ1」→「ぎりぎりステージ2」ですよね?多分…
それと、申し訳ありませんが、追加質問させてください。
今回左乳房で癌が見つかりましたが、右にも健康診断時に腫瘤が3つ程あるそうです。
検診時も病院での検査(MRIやCT)などでも素人目には同じように見えるのですが先生は大丈夫、大丈夫とおっしゃってました。
実は左胸も4年前の健康診断で同じように腫瘤が見つかっていてその際は経過観察でした。
しかし今回同じ部分かはわからないのですが、結果癌が見つかりましたので、本当に大丈夫なのか不安です。
細胞診?は実施した方がよいのでしょうか?
他の方の記載でもセンチネルリンパ生検で、分母が3や4など1以外の方がおります。
姉の場合(0/1)と1つですが、これは腫瘍の大きさや出来た場所によって数が異なるので
しょうか?
1だから少ないといった事はありませんか?
またly+(軽度)という事はセンチネルリンパ生検で0だとしても転移リスクは増えるのでしょうか?また軽度とはどのような所見上の表現なのでしょうか?
ホルモン治療がタモキシフェンは確定してますが、ホルモン治療の薬は細胞の増殖を抑える効果であって放射線治療や抗がん剤のように細胞を死滅させる効果はないという認識で合っておりますでしょうか?だとすると根治という考え方ではないのでしょうか?
人間本来の免疫力で死滅させられないから今回乳癌になったのだと思って少し不安です。
毎年健康診断でマンモグラフィは受けていましたが、今年2月の検診でも異常はなく3年振りに実施した乳房超音波で異常が見つかりました。
今後の経過観察の際の検査はマンモグラフィではなく、超音波で実施した方がよいのでしょうか?または両方でしょうか?
また、個人差により検査の手段で見つかる、見つからないなどはあるのでしょうか?
部分切除→放射線治療→ホルモン治療で今のところ転移なしの場合の経過観察時の検査方法を知りたいです。
(先生のコラムを見て余計な被爆は避けたいので)
術前にCTや骨シンチは無知で受けてしまいましたが手術結果的には浸潤癌だったので許容範囲だったのか、それともやはり転移なしの結果から受けるべきではなかったのでしょうか?
腫瘍径と最大浸潤径の差が6mmです。
これは非浸潤部分が6mmで浸潤部分が21mmなのでしょうか?
姉の場合子宮筋腫がありますがホルモン治療に影響ありますでしょうか?また今後注意点はあるのでしょうか?
ホルモン治療に対し卵巣摘出や放射線をあてて機能を奪うのような内容もネットで見たことがありますが、これはどうなんでしょう?
姉の場合出産の予定もなく閉経前のホルモン治療の元を絶つような感じなので長期の投薬や副作用などを考えると他の子宮筋腫や子宮内膜症を患ってる事も考えると一見よいように思えるのですが?
逆にそのような対処でも弊害はあるのでしょうか?
ちょっと思ったのは上記の場合、強制的に閉経後と同じ状態にしてしまうから結局閉経後のホルモン治療をするだけになりあまり意味がないのでは?と思ったりもしてます。
今は手術後の放射線治療中で6月中~下旬にホルモン治療とそれに至る詳細説明があるのですが、セカンドオピニオンは今更なんでしょうか?もしくは6月の話以降の方がよいのでしょうか?
お手間をとらせて申し訳ありませんが、宜しくお願い致します。
田澤先生から 【回答2】
こんにちは。田澤です。
「今回左乳房で癌が見つかりましたが、右にも健康診断時に腫瘤が3つ程ある」
「本当に大丈夫なのか不安です。細胞診?は実施した方がよいのでしょうか?」
⇒画像上、「良性と断言できる」ものでなければ、した方がいいでしょう。
「他の方の記載でもセンチネルリンパ生検で、分母が3や4など1以外の方がおります。姉の場合(0/1)と1つですが、これは腫瘍の大きさや出来た場所によって数が異なるのでしょうか?1だから少ないといった事はありませんか?」
⇒センチネルリンパ節は「正しい手技でリンパ管の経路をきちんと把握して行えば」1個が正しいのです。
4個も5個も摘出している医師を見かけますが、「それではセンチネルの主旨(できるだけ損傷させない)に沿わない無意味な行為」となります。
正しくセンチネルリンパ節生検を行っている自信がない(1個だけでは不安)場合に「複数採取する」ようです。
「またly+(軽度)という事はセンチネルリンパ生検で0だとしても転移リスクは増えるのでしょうか?また軽度とはどのような所見上の表現なのでしょうか?」
⇒全く無関係です。
「だとすると根治という考え方ではないのでしょうか?」
⇒冷静に考えてみてください。
もしも「ホルモン療法で死滅しない」のであれば、「実際にホルモン療法をして再発率や生存率が改善する」事実をどう説明しますか?
「頭でっかちな考え方」です。
事実として「ホルモン療法」も「抗ガン剤」同様に「再発率や生存率の改善」効果が示されているのです。
「今後の経過観察の際の検査はマンモグラフィではなく、超音波で実施した方がよいのでしょうか?または両方でしょうか?」
⇒通常は両方で行います。(マンモは1年に1回)
「部分切除→放射線治療→ホルモン治療で今のところ転移なしの場合の経過観察時の検査方法を知りたいです。」
⇒ホルモン療法の処方で3カ月に1回来院するわけだから…
3カ月に1回の診察+超音波
採血、腫瘍マーカーは3カ月ないし半年
マンモが1年に1回
「(先生のコラムを見て余計な被爆は避けたいので)術前にCTや骨シンチは無知で受けてしまいましたが手術結果的には浸潤癌だったので許容範囲だったのか」
⇒無駄な検査です。
「それともやはり転移なしの結果から受けるべきではなかったのでしょうか?」
⇒無駄な検査です。
浸潤癌だからと言っても、よほど進行していないかぎり初期治療の段階で遠隔転移などありません。
「腫瘍径と最大浸潤径の差が6mmです。これは非浸潤部分が6mmで浸潤部分が21mmなのでしょうか?」
⇒そうでしょう。
「姉の場合子宮筋腫がありますがホルモン治療に影響ありますでしょうか?
また今後注意点はあるのでしょうか?」
⇒子宮筋腫が大きくなる可能性はあります。
その意味でもLH-RHagonistの併用も考慮しましょう。
○タモキシフェンを内服するのだから「子宮体癌の検診は必須」です。
「ホルモン治療に対し卵巣摘出や放射線をあてて機能を奪うのような内容もネットで見たことがありますが、これはどうなんでしょう?」
⇒LH-RHagonistの注射(ゾラデックスやリュープリン)が無い時代は「卵巣摘出」を行っていた時代がありました(放射線も同様の効果です)
今は「敢えて、卵巣摘出」を選択することはありません。(子宮筋腫の手術の際に「ついでに」行う事はありますが…)
「姉の場合出産の予定もなく閉経前のホルモン治療の元を絶つような感じなので長期の投薬や副作用などを考えると他の子宮筋腫や子宮内膜症を患ってる事も考えると一見よいように思えるのですが?逆にそのような対処でも弊害はあるのでしょうか?」
⇒弊害はありません。
「今は手術後の放射線治療中で6月中~下旬にホルモン治療とそれに至る詳細説明があるのですが、セカンドオピニオンは今更なんでしょうか?もしくは6月の話以降の方がよいのでしょうか?」
⇒話を聞いて、その内容に疑問点があれば行えばいいと思います。