[管理番号:5921]
性別:女性
年齢:33歳
田澤先生はじめまして。
自分の乳がん病理結果を理解しようと調べていてこちらのサイトに辿り着きました。
お忙しいとは思いますが
できればご意見をお伺いさせていただきたいです。
よろしくお願いいたします。
昨年春先に左胸に一時期痛みがあったことが気になり、秋に初めて受けた人間ドックからエコー、マンモ、細胞針での再検査を
重ね11月に左乳がんが見つかり12月下旬に再建なしの全摘手術を受けました。
先日病理検査結果が出て、次までにホルモン療法を受けるか決めてきてと言われました。
以下が組織所見です。
左乳房切除+センチネルリンパ節生検:
切除された乳房の割面にて肉眼上明らか腫瘤形成病変は指摘されませんでしたが、D領域に径約40×25mmの斑な硬結をふれました。
組織学的には、割面に触れた斑な硬結性病変に一致して非浸潤性乳管癌が認められます。
非浸潤性乳管癌は、類円形腫大核(G2)と淡好酸性胞体を有する異型乳管上皮が、しばしば石灰化を伴うcomedo壊死を内包した
乳管内で、低乳頭状あるいは篩状・充実シート状に増殖する像からなり
Van-NusGradeでintermediate gradeに相当するDCISと評価されます。
焼却変性を受けた乳腺組織の切除縁にDCISが露出して認められます。
免疫組織化学にて腫瘍細胞は、ER5+
2=7,PgR4+2=6を示します。
センチネルリンパ節に癌の転移はみられません。
疑問点は
非浸潤の癌を全摘出しても、切除縁に露出部分があるのは、取りきれてなかったり、
浸潤していたり、断端陽性であると言うことですか?
先生は脂肪が薄いところだから気にすることは無いと話されていました。
でも、ホルモン療法(タモキシフェン)をすすめられると言うことは、まだ取りきれていない可能性があると言うことですか?
現在33歳で未婚のためまだ出産に希望を持ちたく、今からホルモン療法に踏み込むべきか悩んでいます。
また、術前CT検査で子宮に筋腫が写っていたため、近日中に婦人科も受診予定です。
ホルモン療法は筋腫にも影響がないかというのも気になっています。
基本的なことを伺っていたら申し訳ありません。
どうぞよろしくお願い致します。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
非浸潤癌で全摘であれば根治です。
全く心配する必要はありません。
「疑問点は非浸潤の癌を全摘出しても、切除縁に露出部分があるのは、取りきれてなかったり、浸潤していたり、断端陽性であると言うことですか?」
⇒非浸潤癌は「乳腺内にとどまっている」ので「乳腺を全摘している以上、断端陽性はありえない」、もちろん「浸潤は無関係」です。
「先生は脂肪が薄いところだから気にすることは無い」
⇒そういうことです。
乳腺の表面に脂肪がありますが、「脂肪ごと」乳腺を全摘しても、(脂肪が薄いと)摘出する際に、乳腺表面の脂肪が外れて「一見露出しているように(病理医には)見える」ただ、それだけなのです。
「ホルモン療法(タモキシフェン)をすすめられると言うことは、まだ取りきれていない可能性があると言うことですか?」
⇒ホルモン療法は不要ですが(根治ですから)…
「取り切れていないから勧めている」わけではないでしょう。
「今からホルモン療法に踏み込むべきか悩んでいます。」
⇒どう考えても…
不要です。
「また、術前CT検査で」
⇒術前検査で「非浸潤癌」なのに、しかも「33歳」なのに「術前CT???」
とんでもないことです。
(質問者には申し訳ないですが)そんな診療をする医師を(私は)決して認めません。