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病理結果について

[管理番号:3462]
性別:女性
年齢:36歳

はじめまして。

いつも田澤先生の回答で勉強させていただいております。
今回病理結果について質問させてください。
今年6月の乳がん検診で1.1センチのしこりが見つかりその後癌確定になりました。

7月中旬に手術を行い先日病理結果がでました。
内容は以下の通りです。
右乳がん 硬がん
腫瘍径 1.2センチ
リンパ転移なし
脈管侵襲なし
核グレード 2
ER90%
PGR 80%
HER2 陰性 (スコア0)
ki67 43%

気になるのはki67の値です。
先生も高いね、と言われてたのですが
number of mitomic figuresが1なので大丈夫と思う、と言われてました。
先生はオンコの検査も視野にいれてもいいけど治療内容は変わらないよ、と言われました。
私の場合どうしたらよいでしょうか?
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。

pT1c(12mm), pN0, luminal
Ki67=43%だと「ルミナールBとしてホルモン療法+抗ガン剤」となってしまいます。
ただし、(担当医がいうように)グレード2とは言えmitotic counts(核分裂像)が1(10視野で核分裂が5個未満)だとすれば、「実際はルミナールAである可能性」がありそうです。

「大丈夫と思う、と言われてました。」
⇒この「大丈夫」とは「化学療法をしなくても大丈夫=ホルモン療法単独でいく」という意味でしょうか?

「先生はオンコの検査も視野にいれてもいいけど治療内容は変わらないよ」
⇒これは「誤り」です。
 もしも「OncotypeDXをやって、(担当医の意思とは)逆の結果」が出た場合には、OncotypeDXの結果に従うべきでしょう。
 
「私の場合どうしたらよいでしょうか?」
⇒「できれば抗がん剤はしたくない」という強い意志がないのであれば…(そのような意志が明白ならば、ホルモン療法単独でいいでしょう)
 (純粋に、必要なら抗ガン剤もやむなしと考えているならば)OncotypeDXすべきです。(そして、その結果には従いましょう)
 
 

 

質問者様から 【質問2】

おはようございます。

先日はお忙しい中
ご回答頂き本当にありがとうございました。
今までは拝見するだけだったのが
自分の質問に回答を頂けたことに
涙が出るほど感動しました。

初めての投稿でしたので
気持ちだけが焦ってしまい要点が抜けていて
わかりづらい文章になってしまっていました。
申し訳ありませんでした。。

もう少し詳しく詳細をお知らせしたいのと
オンコタイプの実施をする方向で考えており

質問間隔が早くて恐縮なのですが
次回の診察に向けてアドバイス頂きたく教えて頂きたいと思っています。
術前針生検結果
右胸 内側下部 硬がん 乳頭近くの為全摘の勧め
腫瘍径 14m
核グレード 1 (1+1=2点)
ホルモン受容体 ともに90%以上 強陽性
HER2 陰性 スコア0
ki67 測定なし
画像上リンパ転移なし
術後病理結果
右胸乳がん 硬がん 全摘
腫瘍径 12m
組織学的グレード 2(tubre formation 3+nuclear 2+number of mitomic figures 1)

※核グレード 1(2+1)となりますか?
(前回の質問は核グレードが2と間違って記載しました、実際は組織学的グレード2です)
※病理レポートは術前は核グレードでの記載でしたが

術後は組織学的グレードのみの記載となっていました
ER 90%
PGR 80%
HER2 陰性 スコア0
リンパ転移なし (0/3)
脈管侵襲なし
ki67 43% (271/627 : hot spot)
主治医の『大丈夫 』というのは
私が田澤先生の回答で知識があったので
43%の数値が高値なので気になる、と話したら
mitotic fiigure が1だからきにすることもない、
そもそもki67の数値は
判断基準があいまいでmitotic fiigure1のほうが
正式な判断基準に基づいた数字だから
あまり気にしなくて『大丈夫』、という意味でした。
そもそも、主治医から抗がん剤の話は一切なく、
必要ないでしょう、と。

ただ先生もki67の数字には
乳腺科医師の協議のなかでも
少し引っ掛かっていたようで
『僕も実はね、はじめは43%という数字に
気持ちが引っ張られていて
2つの選択肢が浮かんだんだ』
と言われてました。

先生の考える選択肢①
オンコタイプをやる、そしてはっきりさせる。
ただ高額だし絶対して、とは言えない。
やったところで出てくる結論は
1.タモキシフェン単独 10年
2.ひょっとしたらホルモン療法さえ不要かも?
3.ホルモン療法に化学療法を足してもいいけどな?(必須ではない) 程度
この3つの答えしか出ないと思う、とのこと。
だから結局ホルモン療法(タモキシフェン単独)を
やることには変わりないから
オンコタイプやったところで治療方針が
変わることはほぼない、との見解でした。
小冊子なようなものを見せられ
化学療法の絶対適応が出ることはない、
というようなことを言われました。

選択肢②
卵巣機能をストップさせるホルモン療法(注射)との併用をすすめる。
ただ年齢的には30歳以下の高リスクでもないし対象にならない、と。
乳腺科医師全体の意見として不要との結論に至った。
(手術当時は35歳です)
先生の考えたという選択肢はこの2つでした。

そしてチーム医療として出した全体の結論は
タモキシフェン単独(10年)、だと。
なので私は今はタモキシフェン単独で治療してます。
ki67=43くらいの高値で
タモキシフェン単独、という判断は
田澤先生の回答を私が探した限りでは
あまり見受けられないのも不安材料です。
注射も必要なのではないか…。
と。

先生の過去の回答を見ながら
本当にこれだけでいいのか不安です。
また、組織学的グレードと核グレード、
どちらのグレードがより重視されるのでしょうか?
家族とも相談し、田澤先生もおっしゃる
オンコタイプの検査をすることで
気持ちは決まっております。

ホルモン療法しかしたくない、
化学療法はやりたくない、という考えは
あまりありません。

まだ小さい子供が3人おりますので
化学療法への不安はありますが
やるべきとの結果が出れば
やろうとおもっております。

今回は少し詳細を記載しましたので
本当にお手数ではありますが
先生の見解をお聞きしたいと思っています。

本当は田澤先生のもとへ
セカンドオピニオンに行きたい気持ちです。

九州なので遠方ですが行く事は問題なく
しかし次回の診察(9月初旬)まで日がないので
なかなか難しいのかなとも思います。

また、セカンドオピニオンを受ける際
私の手元にある資料でもセカンドオピニオンは可能なのでしょうか?
やはり病院側からの資料が必要ですか?
どうか宜しくお願い致します。
 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。

「ki67=43くらいの高値でタモキシフェン単独、という判断は田澤先生の回答を私が探した限りではあまり見受けられない」
⇒「Ki67値」と「ホルモン療法の中身」は明確に区別しましょう。
 「Ki67の値はあくまでも化学療法の適応の有無」と関係しています。(ホルモン療法の中身とは無関係です)
  
 ○こう考えてみましょう。
  luminalAなのかBなのか?
  これを判断する材料を①「ER, PgR, HER2, Ki67の免疫染色結果だけで判断」v
s②「この4つを含む21遺伝子の発現で判断」の違いです。(どちらが、より正確なのかは一目瞭然ですね?)
  ②を選択するのがOncotypeDXなのです。
  
「また、組織学的グレードと核グレード、どちらのグレードがより重視されるのでしょうか?」
⇒核グレードです。

「今回は少し詳細を記載しましたので本当にお手数ではありますが先生の見解をお聞きしたいと思っています。」
⇒それではお話しましょう。
 pT1c(12mm), pN0, luminal
Ki67=43%

これだけで判断するなら、(Ki67=43%はグレーゾーンではありません)ルミナールBとなります。
早期ではありますが、やはりルミナールBとして抗がん剤の適応となります。
ただ、「mitotic counts=1」からは、「本当はルミナールAなのでは?」という疑問が湧くのでOncotypeDXを勧めます。
OncotypeDXは「ハイリスク」とならない限りは「化学療法の上乗せはない」ので、その際には「ホルモン療法単独」となります。
 それでは「タモキシフェン単独」なのか「タモキシフェン+LH-RHagonist併用」なのか?
 ⇒ASCOのガイドラインでは「年齢での適応はなし」となり、(質問者のようなローリスクでは)タモキシフェン単独となります。(Ki67値は無関係です)
  ただし、SOFT試験では「35歳未満ではLH-RHagosintの併用は有効」というのもまた事実です。
  質問者のように30歳代であれば実際のところ「併用でもいい」と思います。

「また、セカンドオピニオンを受ける際私の手元にある資料でもセカンドオピニオンは可能なのでしょうか?」
⇒可能です。
 しかし、このQandAの場で十分に「セカンドオピニオンになってます」よ。
 大丈夫です。
 
 

 

質問者様から 【質問3】

管理番号3462

田澤先生、前回の質問にもご回答頂きありがとうございました。
治療方法に関して、後悔はしたくなかったので
アドバイス頂いたように
オンコタイプの検査を依頼し
本日結果が出ました。
結果はスコア 13 lowリスク
10年再発率 8%
化学療法による上乗せ効果 1%
という結果になりました。
ki67 43% という数値がとても気になり
ルミナールBは化学療法の適応になる、
という事が頭から離れず
ホルモン療法だけで本当に大丈夫なのか…

とても不安な思いで過ごしておりましたが
今回の結果で納得して治療を続ける事が出来ます。
アドバイス頂き、本当にありがとうございました。

その他のリスクも踏まえ
現状通りのタモキシフェン単独 10年の治療となりました。
田澤先生からは
LH-RHagonist併用でもよい、とのアドバイスを
頂きましたが、主治医に聞くのを忘れ
そのまま帰ってきてしまいました。

現状、辛い副作用もなく日常生活も
今まで通りに楽しく過ごせているため
このままの治療で行きたいとも
考えていますが、問題ないでしょうか?
また、手術した反対側の胸の痛みが
1ヶ月ほど続いています。

乳頭の真下当たりからのジーンとした痛みです。
波はありますが、ずっと痛みます。

主治医に診察してもらったところ
特に問題もなく
固さもないから乳腺症でもないようです。

タモキシフェンの副作用とは
考えにくい、と言われましたが
結局原因はわからず経過を見ることになりました。
2週間前ほどに
別の病院でエコーをしてもらったときも
特に異常はなかったので
そのまま様子見で大丈夫でしょうか?
繊維せんしゅが2つありますが
大きさは変わっていません。

お忙しいところ申し訳ありませんが
宜しくお願い致します。

 

田澤先生から 【回答3】

こんにちは。田澤です。

RS=13%だったのですね。
大変良かったです。

やはりKi67だけで判断することが如何に無駄な化学療法を招いているのか?良く解ります。
日本でOncotypeDXが保険収載されない理由として(化学療法を販売する)「製薬会社が裏で手をまわしているのでは?」と疑いたくなります。(半分冗談です)

「手術した反対側の胸の痛みが1ヶ月ほど続いています。乳頭の真下当たりからのジーンとした痛み」
⇒これは典型的な「ホルモンによる刺激症状」です。
 タモキシフェンの影響もありそうです。

「2週間前ほどに別の病院でエコーをしてもらったときも特に異常はなかったのでそのまま様子見で大丈夫でしょうか?」
⇒昨今の報道で過敏になっているようです。
 どう考えても、「そもそも、その症状自体、乳癌と関連付ける必要は全くない」症状です。(乳房痛と乳癌を関連付けるのは止めましょう)
 しかも「エコーまでしている」のに、これ以上「心配する」のは如何なものか?

 
 


 

質問者様から 【結果4 その後】

性別:女性
年齢:38歳
病名:乳がん
田澤先生の診察:[診察なし]
田澤先生の手術:[手術なし]

以前二度の質問に回答頂きありがとうございました。

先日術後2年目の検診を問題なく終えることが出来ました。
その後ホルモン療法は30歳代ではありましたが主治医の判断でタモキシフェンのみで治療しておりました。しかし昨年冬に子宮がん検診に行った際卵巣の腫れを指摘され専門病院へ紹介されました。
詳しい検査の結果腫れはあるものの異常なしでした。その後も生理周期とは関係なく下腹部が痛むことが続き、都度婦人科を受診しましたが異常なし。
こちらのサイトを見ていたので、内心はタモキシフェンの影響では?と考えていましたが、婦人科では卵巣の腫れとタモキシフェンの関係はあまり積極的に疑われることもなく経過観察が続いておりました。

しかし、1ヶ月ごとに検診を受けていた地域医療の主治医より初めてタモキシフェンの影響で卵巣が腫れることがある、という論文の話をされ、がんセンターへ手紙を書いて貰いました。
最終的には当初積極的ではなかった主治医もリュープリンを検討してもいいかな、という話になり、2年目検診でリュープリン注射をしました。

卵巣の腫れが両側ではなく片側だけだったのもタモキシフェンの影響を強く疑わない理由だったようですが、卵巣がんやチョコレート嚢腫による手術も検討されたりなど、また乳がん以外で色々と不安になることが多々あった2年間でしたが今は穏やかに過ごしております。
また今後わからないことがあったら質問させて頂くこともあるかもしれませんが、その際はまた宜しくお願いします。

<Q&A結果>

 
 

 

質問者様から 【質問5 タモキシフェンとリュープリン】

性別:女性
年齢:38歳
病名:乳がん
症状:

卵巣が腫れたため、リュープリンを1年前から始めていますが、最近の乳がんプラザを見る限り、卵巣の腫れが解決出来れば、再発防止のいう観点であまり効果がなければ辞めたいと思っています。
以前、田澤先生が、30代であれば、リュープリン、と書いてあるのを見て、再発防止になれば、と思っていましたが、近頃は35歳未満となっているようですので、私の場合は田澤先生であれば、続けることをすすめられますか?

 

田澤先生から 【回答5】

こんにちは。田澤です。

「私の場合は田澤先生であれば、続けることをすすめられますか?」
⇒SOFT試験では35歳未満となっていますが、実際は「30歳代」の場合にはLH-RHagonistを勧めることが多いです。(卵巣には個人差があるため)
 ★しかも、質問者の場合には「卵巣腫大」があったのだから、継続する方が無難でしょう。