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病院選択について

[管理番号:3770]
性別:女性
年齢:44歳
田澤先生
はじめてお便りします。
(関西)在住、44歳の○○と申します。
お忙しいところご覧いただきありがとうございます。
病院選びで迷っています。
9月末に針生検を行い、以下の病理組織検査報告書が出ました。
左胸乳頭上側、26㎜です。
Noninvasive ductal carcinoma/DCIS, left breast,
P63免疫染色:異型腺管でp63陽性裏打ち細胞減少がみられますが、P63陽性細胞の完全消失はみられません。
明らかな侵潤(-)で、本標本上は、
Noninvasive ductal carcinoma/DCIS,(g,ly(-),v(-),nuclear grade1(nuclear atypia1,mitotic counts 1),histological grade I(architecture 1)
ER+, 90% (intensity score3, proportion score5)
PgR+, 100% (intensity score3,proportion score5)
HER2/neu 陰性(score1+)
Ki-67陽性細胞率:4.0%
しこりの自覚症状があり、9月末に針生検を受けて発見されました。
検診を受けた○○クリニックの先生の大学の後輩がおられる○○病院を紹介していただく予定で、金曜日に行ってきます。
が、そもそも毎年人間ドックを受けているのが○○病院で、12月の人間ドックでマンモとエコーを受けても「要経過観察」であったというところであって、大丈夫なのかとひっかかりがあります。
また、全摘で同時再建を検討していますが、
手術数はさほど多くないようで、その技術(きれいにしあがるのか?)にも不安があります。
大阪で定評のあるのは○○先生の○○クリニックですが、こちらで1昨年、○○病院の紹介状をもって検査にいったところ、「もう少し様子をみましょう」と言われ、
針検診に至りませんでした。
そのとき調べていたらという思いもあります。
また、○○クリニック含め、○○センター、がんセンターなど手術例が多く
定評のある大きな病院だと手術待ちで時間がかかり、進行するのではという不安もあり、決めかねています。
一方、知り合いの医師によると難易度の低い手術なのでどこでも大きな差はないということなのですが、それであれば少しでも早く先生の紹介で手術を受けた方がよいのでしょうか。
○○病院の先生との連携が深いのでいろいろと融通はきかせていただけそうです。
現時点ではDCISとなっていますが、大きさが26㎜とかなり大きいこと、マンモ映像では若干乳頭側に伸びているとのことで、浸潤をおそれています。
気のせいか左腕がだるく、リンパ等に転移しているのではと不安な日々です。
どうぞご教示よろしくお願いいたします。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
非浸潤癌なのに「HER2やKI67]など適応外の検査をされているのがまずは目につきました。
その勢いで「骨シンチやPET」などされないように注意しましょう(自分の身は自分で守りましょう)
Low grade DCISでしかも全摘であれば、手術待ちはあまり考える必要はありません。
大阪の病院事情は(申し訳ありませんが)私には解り兼ねます。
ただ「大きな病院には沢山の若い医師がいて、そのような経験の場」であることは了解する必要があります。(若い医師の修練にご協力いただくのは、医療界としてはありがたいことです)
 
 

 

質問者様から 【質問2】

再質問:治療方針について 3770
田澤先生 先日はさっそくご回答いただきありがとうございました。
(関西)の○○です。
先日、クリニックから紹介された病院(毎年人間ドックを受けているところ)で受診してきました。
乳頭付近に癌がなければ残して乳腺全摘、近ければ乳頭も含めて切除し、ティッシュエキスパンダーでの再建を薦められています。
温存も可能とのことでしたが4分の1とかなり切除するため変形が予想されることと、
放射線治療を避けたいので全摘に気持ちが傾いています。
できれば乳頭は残したいですが、再発の危険性の度合いを考慮して、危険が勝れば再発防止のため乳頭を含めて切除したいと思います。
まだ選択肢として提示はされていませんが、ティッシュエキスパンダーを使わない一次
一期再建には手術回数が少なくてすむという魅力があり、この病院で実施していないのであればセカンドオピニオンで聞いてみたいと考えています。
ただし、一次一期再建は乳頭の温存が可能な場合のみ適応でき、再発の可能性が高くなるとネットで見ましたがそうなのでしょうか。
メインの腫瘍周辺にもブドウの房状に多発性のう胞・石灰化があり、それも癌かどうか
手術前に調べておいたほうがよいのと、乳頭を残すか否かの判断のためにも乳頭からの距離を調べておいたほうがよいとのことで、来週、造影剤MRIを受ける予定です。
(「もしくは再度針生検を受ける方法もある」と言われましたが、2週間前に5本刺され、まだ痛みが残っており、またさらに刺されるうえ、MRIほどはっきりわからないのであればと思いMRIを選びました。)
また、昨年12月に同じ病院で受けた検診時になぜみつからなかったのか、なぜ急に大きくなっているのか尋ねますと、昨年の画像を見せてくださり、その時は8㎜と小さく、今回は水(液状のもの)がたまっており、そのため26㎜と大きくなっている、とのことでした。
なお、肺への転移を確認するとのことでCTを取りました。
転移はないとのことです。
(いただいたアドバイスがよぎったのですが、転移の怖さが勝ったので受けました。)
現時点の状況から、田澤先生でしたらどのような治療方針をお薦めになりますか。
長文で失礼いたしました。
よろしくお願いいたします。
 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。
「ただし、一次一期再建は乳頭の温存が可能な場合のみ適応でき、再発の可能性が高くなるとネットで見ましたがそうなのでしょうか。」
⇒「極めて不正確な情報」です。
 一次一期再建する(べき)かどうかは再建方法(インプラントか自家組織か、自家組織ならば広背筋か腹直筋か)でも異なるし、ご本人の乳房の大きさによるのです。
 これに関しては実際に形成外科医と相談してベストな道を探るしかありません。
「なお、肺への転移を確認するとのことでCTを取りました。転移はないとのことです。」
⇒非浸潤癌では本来「適応外」です。 検査を「勧める事自体」極めて重大な「誤り」です。
「現時点の状況から、田澤先生でしたらどのような治療方針をお薦めになりますか。」
⇒重要な事は「MRIでの腫瘍-乳頭間距離」となります。
 距離が十分であれば、「乳頭乳輪温存の適応」とはなるでしょう。
 一次一期再建なのか一次二期再建なのかは、前述したように「再建方法と乳房の大きさ」で総合的に(形成外科医と)相談するべきことです。
 
 

 

質問者様から 【質問3】

ご質問:
お世話になります。
先日MRIを受け、医師から説明を受けました。
MRI
の結果、範囲が広いということで、針生検での病理検査では非浸潤乳管がんであったとはいうものの、手術してみた結果、浸潤している可能性もあるとのことです。
一昨年および昨年12月の検診時点ではいずれも8㎜だったしこりが、自己検診でしこりを見つけ癌が見つかった9月末時点では26㎜になっていました。
先生いわく、のう胞に液がたまっているため急に大きくなっているようだ、とのこと。
また、去年一昨年はおとなしかった腫瘍が急に癌化した可能性もあるが、実際にいつ癌化したかはわからない、とのことでした。
これらから「のう胞内癌」ではないかと思われるのですが
過去のQ&Aで、「のう胞内癌は針生検ではなく外科的生検がのぞましい。
なぜなら針を刺す事で、(万が一癌であった場合に、液体に浮遊していた癌細胞が)外へ広がる事を危惧してです。」とのコメントを拝見しました。
針生検後の疼痛もかなりあり、もしや癌細胞が外に広がっているのでは
という懸念がありますが大丈夫なのでしょうか。
(医師にお伺いしても「気のせい」とのことなのですが)
よろしくお願いいたします。
 

田澤先生から 【回答3】

こんにちは。田澤です。
「また、去年一昨年はおとなしかった腫瘍が急に癌化した可能性もある」
⇒全くの誤りです。
 良性は最初から最後まで良性。
 悪性は最初から最後まで悪性。
 途中で変わったりはしません。
(本当は悪性なのに)最初に「良性と誤った診断」して、それがその後「癌だと判明した場合」に、「癌化した」などと安易に用いているだけの話しです。(物事はシンプルに考えましょう)
「針生検後の疼痛もかなりあり、もしや癌細胞が外に広がっているのではという懸念がありますが大丈夫なのでしょうか。」
⇒その「疼痛」と「病変の拡がり」は無関係です(症状などありません)
 ただ、「嚢胞内腫瘍を破ることによるリスク」は、考えなくてはなりません。(でも、症状など絶対にありません)
 
 

 

質問者様から 【質問4】

再質問 病院選択について 3770
【手術を間近に控えてもまだ迷っています】
いつもご回答ありがとうございます。
来週火曜日に手術となりました。
しかしまだ術式で迷っています。
乳頭までの距離1センチ未満、田澤先生でしたら乳頭乳輪切除されますか。
乳輪のみ温存という選択肢はありえますか。
また、一次再建でインプラントを希望していますが、術中にリンパ転移があった場合、放射線治療を想定して再建を中止すべきか、術式術中で切り替えて自家組織再建(広背筋皮弁)すべきか、で悩んでいます。
もうひとつ、これだけ悩むのならいっそ二次再建という選択肢があります。
田澤先生でしたらどれをおすすめされますか。
主治医は一次インプラント、リンパ転移があれば再建中止を薦められていますが、基本的には本人の意志を尊重するというスタンスを取られています。
他の皆様もたくさんご質問されているなか大変勝手ながら、手術が迫っており、早々にお返事いただけました幸いです。
どうぞよろしくお願いいたします。
 

田澤先生から 【回答4】

こんにちは。田澤です。
「乳頭までの距離1センチ未満、田澤先生でしたら乳頭乳輪切除されますか。」
⇒しません。
 明らかに「適応外」です。
 他院で「乳頭乳輪を温存して、比較的早期にその部位に再発」している人を数人診る機会がありましたが、やはり「無理やり温存すべきではない」と言うのが正直な感想です。
「乳輪のみ温存という選択肢はありえますか。」
⇒(私には)ありえません。
「また、一次再建でインプラントを希望していますが、術中にリンパ転移があった場合、放射線治療を想定して再建を中止すべきか」
⇒照射は禁忌ではありません。
「田澤先生でしたらどれをおすすめされますか。」
⇒通常の乳房切除です。
 再建術式は「ご本人と形成外科との相談の上」となります。
 
 

 

質問者様から 【質問5】

再質問:3770病院選択について
(乳輪切除の場合について)
田澤先生、いつもご回答ありがとうございます。
先日手術が終わり、病理の結果待ちではありますが、リンパ節転移はなかったとのことでまずは安心しています。
乳頭直下に癌があったそうで、事前了解どおり乳頭は切除しました。
が、乳輪については、術前より主治医の先生は「残しても大丈夫」というお考えで、
私から再発についてお尋ねしたところ、「大丈夫です」ということでしたので、「再発防止優先で、術中の状況も見てご判断をお任せします」とお願いしました。
結果、乳輪のみ残っています。
せっかくアドバイスいただきましたのにすみません。
今後やはり切っておきたい、もしくは再発、となったときは乳輪だけの
追加切除は比較的簡単に可能なものなのでしょうか。
また、現在インプラントが入っていますが、シリコン入れかえのタイミングに合わせて切除は可能でしょうか。
どこまでが乳腺外科の領域なのか、形成外科の領域なのかもよくわかっておらず申し訳ありませんがご回答よろしくお願いいたします。
 

田澤先生から 【回答5】

こんにちは。田澤です。
「今後やはり切っておきたい、もしくは再発、となったときは乳輪だけの追加切除は比較的簡単に可能なものなのでしょうか。」
⇒皮膚ですから簡単です。
 ただし、そこからは形成外科の範疇になるので「形成外科との相談」となります。
「また、現在インプラントが入っていますが、シリコン入れかえのタイミングに合わせて切除は可能でしょうか。」
⇒形成外科担当医と相談してみましょう。
 
 

 

質問者様から 【質問6】

質問
【再質問】病院選択について 管理番号3770
ご質問:術後の病理結果について
田澤先生、お忙しい中、いつもご回答ありがとうございます。
大変気持ちが励まされております。
術後病理結果:
Noninvasive ductal carcinoma, high grade (breast)
g, ly(-),v(-),extensive PVI(-)腫瘍径:48×13㎜(浸潤径 0㎜)
異型細胞が、篩状構造を形成し、広範に進展する像が認められる。
病変内には径12㎜程度の嚢胞状病変が形成され、嚢胞内には腫瘍細胞が乳頭状に突出している。
切片上の病変の広がりは48㎜×13㎜である。
コメド様壊死は一部に認められる。
乳頭部の根部に乳管内進
展が認められる。
Nuclear grade 3 (Nuclear atypia2, Mitosis3)
ER(+)100% PgR(+)100% MIB-1:50%
① 下記の術前の針生検病理ではKi-67値が4%、グレード1だったのですが、術後結果はKi-67値が50%、グレード3。
主治医によると、ステージはゼロ、グレードは高いが非浸潤なので心配しなくともよいとのことですが、田澤先生のご見解はいかがでしょうか。
nuclear grade1(nuclear atypia1,mitotic counts 1),histological grade I(architecture 1)
ER+, 90% (intensity score3, proportion score5)
PgR+, 100% (intensity score3,proportion score5)
HER2/neu 陰性(score1+)
Ki-67陽性細胞率:4.0%
② 田澤先生でしたらどのような治療方針をお取りになりますか。
また
現状で無治療の場合と、治療をした場合の再発率は各々どのくらいになりますでしょうか。
③ 「乳頭は切除、乳輪のみ温存」しておりますが、乳輪を追加切除した場合、再発率はどれくらい下がりますでしょうか。
④ Ki67値が高いのでオンコタイプDXを検討していますが、現時点で受けることは今後の参考となりますでしょうか。
⑤ 今後の再発および健側の定期検査はどれくらいの頻度で何を行えばよいでしょうか。
たくさんご質問すみません、どうぞよろしくお願いいたします。
 

田澤先生から 【回答6】

こんにちは。田澤です。
非浸潤癌でしたね。
大変良かったです。
非浸潤癌で全摘だから無治療です。(グレードなど全く無関係)
「主治医によると、ステージはゼロ、グレードは高いが非浸潤なので心配しなくともよいとのことですが、田澤先生のご見解はいかがでしょうか。」
⇒非浸潤癌でグレードを気にする必要は全くありません。
 非浸潤癌で「グレードの意味するところ」は「放っておけば、どの位で浸潤癌になるのか?」の目安にすぎません。(手術して摘出しているのだから無意味なことです)
「② 田澤先生でしたらどのような治療方針をお取りになりますか。」
⇒勿論(1秒も迷うことなく)無治療です。
「また現状で無治療の場合と、治療をした場合の再発率は各々どのくらいになりますでしょうか。」
⇒非浸潤癌で「全摘」なのだから(治療しても、しなくても)「再発率は0%」です。
「③ 「乳頭は切除、乳輪のみ温存」しておりますが、乳輪を追加切除した場合、再発率はどれくらい下がりますでしょうか。」
⇒質問者は重大な勘違いをしています。
 乳癌の治療(再発)は「局所」と「全身」に明確に分けましょう。
 ○非浸潤癌で全摘したのだから「再発率(全身)はゼロ」です。
  
  乳輪を残す事は「その部位の局所再発のリスク因子」と言えるでしょうが、それは全く未知数です(局所再発の正確なデータなど、手術の仕方によって千差万別なので存在しません)
「④ Ki67値が高いのでオンコタイプDXを検討していますが、現時点で受けることは今後の参考となりますでしょうか。」
⇒何のために???
 化学療法の適応など1%もありませんが…
「⑤ 今後の再発および健側の定期検査はどれくらいの頻度で何を行えばよいでしょうか。」
⇒1年に1回で十分です。(乳輪部の皮膚は自分でもわかるし、そもそも形成外科でみることでしょう)
 
 

 

質問者様から 【質問7】

【ホルモン治療について】
田澤先生 いつもお世話になります。
「物事をシンプルに考える」という教えは病気以外においても座右の銘になりました。
ありがとうございます。
さて、術後のホルモン治療について、先日主治医にご相談しました。
●非浸潤がんであっても病理の切片の間にある微細ながんの存在は100%否定できないこと
●対側の再発予防
●私の場合はホルモン受容体の感受性が高いので効果も期待できる
ということで2年間タモキシフェンを使用してはどうか、とのお話でした。
前回、田澤先生であれば迷うことなく無治療とご回答いただきましたが、
本で読んだところ対側の再発率は19%と低くはない数字であることもあり、とりあえず服用して、副作用が大きければやめるという方向で考えております。
とはいえ子宮体がんリスクの上昇(1000人中2~3人が倍になる程度で影響は低いとはいえ)の他にも、やはり薬の影響は少なくないと思うのです。
他の医師の意見では、ホルモン治療はなしで食事改善で再発防止をしてはとのことでした。
最終的にはメリットデメリットを比較して自分で決めることとは理解しているのですが、アドバイスをお願いします。
 

田澤先生から 【回答7】

こんにちは。田澤です。
「最終的にはメリットデメリットを比較して自分で決めることとは理解しているのですが、アドバイスをお願いします。」
⇒前回コメントしている筈ですが…
 「1秒」も迷わず「無治療」です。
 ★昔から「対側の予防」だとか「5mmスライスの間に浸潤部分があるかもしれない」などと言う医師は居ましたが…
  そもそも「対側の予防」を理由にすることは、本来「適応外使用」と言えます。
  何故なら、(癌でない人が両側の乳癌予防目的で)「タモキシフェンを内服」することが許されると思いますか? (百歩譲って、自費診療なら許容範囲かもしれません。ただし、その場合には子宮体癌発生のリスクとバランスするのか真剣に考えなくてはなりません)
  物事はシンプルに考えましょう。