[管理番号:1051]
性別:女性
年齢:48歳
お世話になります。妻(48歳)の乳癌に関する質問です。回答よろしくお願いします。
妻は8月27日左胸にしこりがあるとのことで、近くの病院で診察を受けにいきました。
その結果、乳癌の疑いがあり、担当の医師から詳しい検査は大きな病院でされますかと聞かれたようですが、結局、医師との相談で、その病院で翌28日にマンモグラフィや組織をとっての検査を行い、この結果を受けて、大きな病院を受診することとなりました。
結果が出るには10日間を要するそうですが、乳腺に沿って影があり3㎝のしこりがあること、担当の医師が大きな病院を進めていることなどからも、癌の可能性が限りなく高いのではないかと思っています。
そこで、質問なのですが、癌と診断された場合、どこの病院にいくのか迷っています。
私は○○県に住んでおり、少し前までは○○がんセンターに有名な先生がおられたようですが、今はおられないとのことですので、迷っているところです。
また、検査の結果がないと、なんとも判断のしようがないと思いますが、3㎝のしこりが発見という点からすると、妻の癌はどのくらい悪いのでしょうか?
これは、関連があるのかどうかわかりませんが、左の二の腕、肘の上部分に脂肪が溜まって、近く手術を受ける予定でした。最近では好きだったビールも少ししか飲めなくなっています(受診の少し前から)。子供がまだ小学生なので心配です。以上よろしくお願いします。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
メール内容からは「担当医は乳癌を疑っている」ことは間違い無さそうです。
「どこの病院にいくのか迷っています」
⇒これは「しばしば」聞かれることなのですが、非常に回答の難しい質問の一つです。
ひとつだけ言えるのは「大学病院や、が○セ○ター」などでは「経験を積むために若い医師が沢山いる」ということです。
この辺のところは、「ご自分の価値観」での選定となるでしょう。
「実際に手術をしている乳腺外科医としての意見」としては「1人当たりの症例数の多い病院」となるでしょう。『少数精鋭』が間違いありません。
回答
「3㎝のしこりが発見という点からすると、妻の癌はどのくらい悪いのでしょうか?」
⇒「ステージがどのくらいか?」と置き換えるとすれば…
2期の可能性が高そうです。
あとは、「リンパ節転移の有無」を聞いてみてください。
いずれにしても、「それ程進行したものではない」ので安心してください。
質問者様から 【質問2】
お世話になります。
以前,管理番号「1051」で質問させてもらった者です。
診断の結果,やはり左乳房の浸潤癌で,昨年10月(中旬)日に全摘手術をしました。
全摘手術になったのは,癌が乳管内にある程度広がっていることが分かったためと説明を受けました。
術後の病理検査結果は,
乳頭腺管癌(浸潤癌)
ステージ ⅡA期
グレード 2
センチネルリンパ節生検 有り(陰性)
腫瘍の大きさ 4.5cm(※術前の診断では3cm)
ホルモン感受性(ER80%,PgR20%)
脈管浸潤 あり
HER2 2+(FISH法 陰性)
Ki67 19%
で,サブタイプは「ルミナールB型」と言われました。
術後の治療は,化学療法,ホルモン療法の順に行うこととなっていて,放射線療法は,全摘したので行わない方針です。
現在,抗がん剤治療(FEC療法)4回を行った後,ドセキタキセル4回のうち,1回目が終ったところですが,先日診察を受けたところ,先生から「肝臓の数値が悪くなっており,薬で改善しなければ最後まで抗がん剤治療を行うことは出来ないかもしれない。」ということを言われました。
そこで,教えていただきたいのですが,
○ 予定していた抗がん剤治療を途中で止めることによって,今まで行った抗がん剤治療の効果が減少し,再発等のリスクが高くなるのではないでしょうか?
○ 腫瘍の大きさが術前の診断では「3cm」であったのに,術後の生検では「4.5cm」と5cmに迫る結果を受けて,放射線治療はやった方が良いように思わるのですが如何でしょうか?
また,術前の画像診断と実際に図った場合とではそのように大きさが異なるものでしょうか?
○ 抗がん剤治療を途中で止めることとなった場合,なおのこと放射 線治療をやった方が良いように思うのですが,いかがでしょうか?
○ 肝臓の数値が回復した後,ホルモン療法を一旦中止するなどして 抗がん剤治療を最初から行うといった方法もあるのでしょうか?
出来るとした場合,現在やっている療法と同じ療法をすると,今 回と同じこととなるので,療法TC療法に変えるなどして出来ない ものでしょうか?
以上,お忙しいところ恐れ入りますが,よろしくお願いします。
田澤先生から 【回答2】
こんにちは。田澤です。
pT2(45mm), pN0, luminalA(Ki67=19%)
「サブタイプは「ルミナールB型」と言われました。」
⇒Ki67=19%であれば「ルミナールA」です。
トップページの「今週のコラム 15回目 どうやって、免疫染色だけで、AとBに分けるか?」を是非参照してください。
「術後の治療は,化学療法,ホルモン療法の順に行うこととなっていて,放射線療法は,全摘したので行わない方針です。」
⇒「luminal A」で化学療法が必要か?と言う点は疑問ですが…
「乳房切除後照射」は「リンパ節転移4個以上」なので、当然「適応外」となります。
「肝臓の数値が悪くなっており,薬で改善しなければ最後まで抗がん剤治療を行うことは出来ないかもしれない。」
⇒これは当然です。
あくまでも「補助」療法なのです。
体を害してまで行うものでは無いのです。
そもそも化学療法自体「適応があるか」疑問ですが…
「○ 予定していた抗がん剤治療を途中で止めることによって,今まで 行った抗がん剤治療の効果が減少し,再発等のリスクが高くなるの ではないでしょうか?」
⇒「今まで 行った抗がん剤治療の効果が減少」は考え過ぎです。
「○ 腫瘍の大きさが術前の診断では「3cm」であったのに,術後の生 検では「4.5cm」と5cmに迫る結果を受けて,放射線治療はやっ た方が良いように思わるのですが如何でしょうか?」
⇒不要です。
「乳房切除術後照射の適応はリンパ節転移4個以上」となります。
「また,術前の画像診断と実際に図った場合とではそのように大きさが異なるものでしょうか?」
⇒顕微鏡的な測定と画像診断では一致はしません。
「○ 抗がん剤治療を途中で止めることとなった場合,なおのこと放射 線治療をやった方が良いように思うのですが,いかがでしょうか?」
⇒そもそも、どちらも不要です。
「○ 肝臓の数値が回復した後,ホルモン療法を一旦中止するなどして 抗がん剤治療を最初から行うといった方法もあるのでしょうか?」
⇒絶対にそんなことはしません。
「最初から行う」など考え過ぎです。
「出来るとした場合,現在やっている療法と同じ療法をすると,今 回と同じこととなるので,療法TC療法に変えるなどして出来ない ものでしょうか?」
⇒抗ガン剤は(そもそも適応なのかが怪しい事もあるし)肝機能障害が出た以上、即刻中止しましょう。