[管理番号:3392]
性別:女性
年齢:48歳
これまでマンモグラフィー、超音波、超音波下マンモトーム検査を受け、非浸潤がん、リンパ節転移無しと診断されました。
診断を受けた病院は、通いにくい立地で、温存手術後の5週間の放射線治療通院が困難であるため、全摘の場合は同時再建を希望していましたが対応していないため、通いやすい病院に転院しました。
転院先病院で、超音波、MRI検査したところ、元々6mmのしこり1個が、マンモトーム生検により全て採取されてしまっており、画像で病変が全く見えなくなっていました。
生検から転院先診察まで1ヶ月経過しており、針の通ったあとも画像で確認できませんでした。
生検前のマンモグラフィーでも病変は見えないとのことです。
そこで病変位置を特定するためPET、PEM検査も受けましたが、やはり病変は見つかりませんでした。
転院先でもプレパラートを顕微鏡で見てくださったところマンモトーム生検では5本の組織が採取され、5本全てに非浸潤癌のみが見られるそうです。
タイプはルミナールA、癌細胞の周囲をリンパ球がしっかり取り囲んで戦っているそうです。
前の病院からのメモによるとki67 10%とありました。
治療方法として下記四つが提案されました。
①病変位置を外さないように、生検の針跡から乳頭にかけて60度程度の扇型で部分切除手術をし、切除した部分に病変が無ければ既にガンがなくて良かった、有ればガンを切除できて良かった、と確認をする。
断端陽性なら再手術。
大きく切除することに私が抵抗を示したところ、生検5本全てに非浸潤癌があるので、病変は全て切除されているか、残っていても極微小であることもあり、
②手術しないで慎重に経過観察し、病変が見えるようになったら即手術
(少数派の意見)
③手術しないでタモフェキシンを服用し、慎重に経過観察し、病変が見えるようになったら即手術④放射線治療(しこりが目に見えるようになった際の手術が難しくなるのでお勧めしない)、慎重に経過観察し、病変が見えるようになったら即手術
といった方法も考えられると担当医に言われました。
以下、質問です。
1. 単純には②が第一希望ですが、この方法は浸潤癌となり、遠隔転移の可能性が発生してしまいリスクが大きすぎるでしょうか?
2. ③の方法は局所再発、対側の発症に加え、遠隔転移防止にも有効でしょうか?
3. 温存手術では放射線治療が標準治療だと思いますが、今回の場合、タモフェキシンの服用とどちらが再発防止に有効でしょうか?
4. そもそも今回の場合、局所再発が無ければ、遠隔転移も発生しない、局所再発で浸潤癌となれば、遠隔転移の可能性が出てくる、という理解で宜しいでしょうか。
5. 取り敢えず、③の手術無しでタモフェキシンを服用して、副作用が苦痛でなければ服用を継続し、苦痛であれば手術を検討しようかと思っておりますが、先生のお考えは如何でしょうか?
6. 病変位置についてですが、生検をした前の病院の医師ならば、感覚、記憶等で、もう少し限定して切除部分を小さくできる可能性はあると思われますか?
(マジックで乳房に病変位置を記した写真等、頂いている紹介状と画像資料以外に何かあるか問い合せましたが、無いとの回答は頂いています。)
切除を小さくできるのであれば、前の病院に戻るという選択肢もありますが、病変位置を特定するデータを残さずにしこりを全て採取してまった医師に手術を任せて良いものか心配です。
またはその医師なりの
考えがあり意図的に行ったと考えることはできるでしょうか。
以上、長文で申し訳ございませんが、どうぞ宜しくお願い申し上げます。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
「タイプはルミナールA、ki67 10%」
⇒非浸潤癌には「Ki67の適応」はありません。そもそも無駄な検査です。
「生検から転院先診察まで1ヶ月経過しており、針の通ったあとも画像で確認できませんでした」
⇒きちんと超音波すれば「瘢痕がわかる筈」です。
普段から「自分で超音波」していれば解る筈です。
「そこで病変位置を特定するためPET、PEM検査も受けましたが、やはり病変は見つかりませんでした」
⇒PETで「病変を見つけよう」という発想がそもそもおかしい。
余計な被爆を受けているだけです。
「1. 単純には②が第一希望ですが、この方法は浸潤癌となり、遠隔転移の可能性が発生してしまいリスクが大きすぎるでしょうか?」
⇒私であれば①以外は勧めません。
非浸潤癌でタモキシフェン内服など無意味です。
「2. ③の方法は局所再発、対側の発症に加え、遠隔転移防止にも有効でしょうか?」
⇒非浸潤癌に対してナンセンスです。
「3. 温存手術では放射線治療が標準治療だと思いますが、今回の場合、タモフェキシンの服用とどちらが再発防止に有効でしょうか?」
⇒局所療法という観点からは「放射線治療の方がまとも」ですが、どちらも勧めません
「4. そもそも今回の場合、局所再発が無ければ、遠隔転移も発生しない、局所再発で浸潤癌となれば、遠隔転移の可能性が出てくる、という理解で宜しいでしょうか。」
⇒今回のケースでは「局所再発」というよりは「そもそも治療をしていない」のだから、(残っていた腫瘍が)単に「大きくなった」と表現すべきであり、「局所再発」とは呼びません。
「5. 取り敢えず、③の手術無しでタモフェキシンを服用して、副作用が苦痛でなければ服用を継続し、苦痛であれば手術を検討しようかと思っておりますが、先生のお考えは如何でしょうか?」
⇒全く勧めません。
局所をそのままにして薬物療法を行う事は、私は賛成できません(しかも非浸潤癌でタモキシフェンを用いるのは、子宮体癌を含めた有害事象とバランスしません)
「6. 病変位置についてですが、生検をした前の病院の医師ならば、感覚、記憶等で、もう少し限定して切除部分を小さくできる可能性はあると思われますか?」
⇒そもそも(マンモトームをする前の)「超音波画像」が有る筈です。
それで、殆ど特定できる筈。
有る程度の方向が解れば、「刺入部」と「マンモトームの針の長さ」から推測できる筈です。
「またはその医師なりの考えがあり意図的に行ったと考えることはできるでしょうか。」
⇒そもそも「病変が微妙」であれば、「診断確定のために、マンモトームできっちり削る」というのが正しいと思います。
病変の部位は瘢痕で解るのです。