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分泌液について

[管理番号:1467]
性別:女性
年齢:42歳
はじめまして。
先生の親身に相談に乗っている姿に感動を覚えお忙しい中、恐縮ですがご意見を頂けたらと思い相談いたします。」
6年くらい前にテレビの乳がん特集をみて、分泌液が片側から出るのは乳がんの可能性もあるといっていました。
その後少し左の乳首をつまんでみると一か所から、少し黄透明なねばっとしたものがでました。 右側からは出ませでした。
出産は11年前ですが3か月くらいしか授乳はしていませんでした。
心配になり外科を受診し、マンモとエコーと分泌液をプレートにのせて成分の検査をしました。結果は異常なしでした。 その後も続くので半年後に同じ検査をしましたがやはり異常なしでした。あまり触っていると刺激されて止まらないから触らないで
てと言われたので、それ以降触らないようにしました。
今現在は、軽くつまんでも分泌液は出ないのですが(強くつまむとでるかもしれませんが)
その後現在まで毎年マンモとエコーはかかさず検査していて異常はありません。
そこで先生に質問なんですが、分泌物が出る時点で乳管造影など詳しい検査をしていないのですが大丈夫だったのでしょうか?
もし乳がんだったらと不安です。
アドバイスいただけましたら幸いです。
よろしくお願いいたします。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
「単孔性乳頭分泌」ですね。
私が、ここ東京にきて「1年半」乳がんプラザを立ち上げて「1年」となります。
その中で確信に至ったことがあります。
それは「乳管造影ができる乳腺外科医は絶滅した(最初から、そもそも限られた医師にしかできない技術ではりましたが)という思いです。
正直、仙台に居る時には、私のいる「東北公○病院では日常的な検査」であるし、師と仰ぐ「泉中○乳腺クリニックの前院長」にとっては「当たり前の検査」でしたので、「乳管造影が特別な検査」という意識はありませんでした。
実は昨日(土曜日の市川外来)も2名の「単孔性乳頭分泌」の方がいらっしゃいました。
お二人とも(当然のことながら)前医では「乳管造影の話など、一切無く」適当な診療をされていました。
特にお一人は「明らかな単孔性の血性分泌」であり、それを前医(某東京の医大病院でしたが)では「MRIを撮影」し、全く的外れの部位の「マンモトーム生検」をして様子を見ましょう。でした。
その方は「たまたま、私のホームページを見ていたので」当院(市川の方)を受診されたのです。
乳管造影をしてみると「前医でマンモトーム生検をした部位とは」全く別の部位に「明らかな所見」を認めたため「当院で乳管腺葉区域切除術」の予定をくみました。
(手術日程は大変混んでいて、週6件で対応していますが2カ月近く先となり申し訳ない次第です。)
♯ただ、前医では3カ月後経過観察となっていることを考えれば「2カ月先の手術でも十分」と
乳管内病変であることは間違いありません。ご本人には「年齢と血性分泌」からは「癌の可能性も当然考慮しなくてはならない」とお話しました。
○私は「単孔性乳頭分泌」の正しい診療を「他の医師」に期待する事は、すでに諦めています。
 いちいち、「何故、乳管造影をしないのだ!」みたいなコメントするのにも疲れてしまいました。
★最近、「他院で無駄に経過観察となっている」方や「血性分泌が気になるので、どうにかしてほしい(他院では無理と言われた)」方など、「単孔性分泌を主訴として(その殆どが他院での診療後なのですが)」受診される方が急増しており、大変いい
ことだと思っています。
 私一人だけで「全国の単孔性乳頭分泌の方」全てを救うことは無理だとは解っていますが、それでも一人でも多くの方に「正しい診療を受けていただく」ことこそ、私の務めだと思っています。

回答

「分泌物が出る時点で乳管造影など詳しい検査をしていないのですが大丈夫だったの
でしょうか?」
⇒冒頭でコメントした通りです。
 おそらく「乳管造影」をしたこともない(名前さえも知らないかもしれません)と
思います。
 なかなか「乳管造影ができる」医師を探す事は困難だと思います。
 
「もし乳がんだったらと不安です」
⇒強く摘んでみてください。
 もしも「単孔性分泌」があるようなら、(質問者が遠方に在住しているのかは不明ですが)当院を受診することをお勧めします。
 どこを探しても「乳管造影ができる」医師には巡り合えないのではないでしょうか?(私自身は、他の医師に期待する事を、とっくに諦めました)
 
 

 

質問者様から 【質問2】

先日はお忙しい中アドバイスをいただきありがとうございました。
再度お伺いしたいのですが、少し強めにつまんでみましたらほんの少し(肉眼では見えず、ティッシュに1ミリくらいの
シミがつく程度)黄透明?透明?のものがでました。
6年前よりは量が減っていました。
よく乳がんは血性や茶色の分泌液がでて、透明や黄透明、白は問題なしと聞きますがいかがなんでしょうか?
単孔性だと黄透明などの色に関係なく、乳がんの可能性もあるということですか?
良性疾患だとしたら治療した方がいいのでしょうか?
私の場合はどのような可能性がありますか?
9月にマンモとエコーは受診して異常なしでしたが乳管造影など早急に検査した方がよろしいのでしょうか?
また早急に検査をした方がよろしいでしょうか?
 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。
「よく乳がんは血性や茶色の分泌液がでて、透明や黄透明、白は問題なしと聞きます
がいかがなんでしょうか?」
⇒「白色」は全く問題ありません。
 ただし、「透明や黄色」では単孔性であれば「血性(茶色も含む)と比較すると割
合は低い」ですが、癌のことはあります。
 (白色以外であれば)単孔性分泌の場合は、私は全て「乳管造影」して「欠損など
の所見があれば」色が何色だろうと(乳管内病変を疑い)「乳管区域切除術」をお勧
めします。
 そうすると、「血性よりは低率ながら」癌がみつかります。(仙台時代の経験から
は1/6程度です)
 「この確率をどうみるか」ですが、「問題無し」というのは確実に誤りです。
 
「単孔性だと黄透明などの色に関係なく、乳がんの可能性もあるということですか?」
⇒その通りです。(白色以外は)
 確率的には(血性よりは)低いですが…
 
「良性疾患だとしたら治療した方がいいのでしょうか?」
⇒良性疾患であれば、治療する必要はありません。
 ただし、「良性疾患と診断する」ことこそが難しいのです。
 「乳管病変」の場合には「乳癌の可能性を否定すること」は、結構難しいのです。
 
「私の場合はどのような可能性がありますか?」
⇒乳管内病変の可能性があります。
 
「9月にマンモとエコーは受診して異常なしでしたが乳管造影など早急に検査した方がよろしいのでしょうか?」
⇒「超音波で見えない」ならば、(もしも癌だとしても)「緊急性はない」とは言えます。
 そう言う意味では「(強く絞っても)肉眼的に確認できない」現状では「経過をみるしかない」とは言えます。
 
 

 

質問者様から 【質問3】

先日はお忙しい中回答をありがとうございました。
再度お伺いしたいのですが、単孔性の分泌液は乳管内病変が必ずあるのでしょうか?
また乳管造影をすれば原因は必ずわかるのですか?
ちなみにエコー技術や機械のもよるところはあるかと思いますが、エコー検査で先生のような腕の良いお医者さんにかかっているとすれば乳管内の病変は画像では何ミリまたは何センチくらいの大きさで発見することが可能なんでしょうか?
今現在強く?(強さがどのくらいでいいのかはっきりしませんが少し痛みを感じるくらいに)つまんでみましたが分泌液はでませんでした。
こないだもパッと見てどの部分から出ているのかわからなくて、つまんだ後乳首にティッシュをあてて1ミリくらいのシミ
がついた程度です。
このような状態ではとりあえず経過観察でよろしいでしょうか?
お忙しい中またいろいろと質問してしまい申し訳ありませんがアドバイスをよろしくお願いいたします。
 

田澤先生から 【回答3】

こんにちは。田澤です。
「乳頭分泌」で何度かQしていただいたと思います。

回答

「再度お伺いしたいのですが、単孔性の分泌液は乳管内病変が必ずあるのでしょうか?」
⇒必ずではありません。
 「乳管造影」しても「所見がない=病変がみつからない」ことも時にはあります。
 確率的には「絞って、常に出るような単孔性分泌」は「殆どが乳管内病変」と(経験的に)思っています。
 ただ質問者のように「最近は絞っても…」のようであれば、「問題は無い」かもしれません。
 
「また乳管造影をすれば原因は必ずわかるのですか?」
⇒「単孔性」であれば、「乳管内病変の存在」がわかります。
 しかし、「それ以上」ではありません。
 あくまでも「存在診断」であり、「質的診断」ではありません。
 ○最終的な「質的診断=確定診断」は「病理診断」なのです。
 
「このような状態ではとりあえず経過観察でよろしいでしょうか?」
⇒その通りです。
 もしも「乳管内病変」があれば以下の何れかなのです。(どちらでも無ければ、心配は無いのです)
 ①分泌液が持続する
 ②(分泌液は減少するが)超音波で「しこり」として成長する。
 ○つまり「分泌液がで無くなった」だけでは安心できません。
  その場合に「超音波で腫瘍が描出されない」ならば、「安心」してください。