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71歳アポクリン癌ステージⅢの治療

[管理番号:6497]
性別:女性
年齢:71歳
初めて相談をさせていただきます。
よろしくお願いいたします。
71歳、アポクリン癌
<手術>: 左乳房切除+腋窩リンパ郭清Ⅲ
<手術後の検査結果>
浸潤癌、ステージⅢ、
HER2:2+?FISH:(-)、ホルモン感受性(ER):(-)、ホルモン感受性(PR):(-)
しこりの大きさ:2.5cm、核グレード:2、Ki67:全体中等度(5-20%),h0t spot 20-30%
リンパ節転移の数: 39/43:Ⅰ(24/27)Ⅱ(15/16)Ⅲ(0/0)Rotter(0/0)
<手術後の治療>
① EC療法:1回/3週間を 4クール⇒②パクリタキセル:1回/1週間
週間 12回⇒③ゼロータ6か月⇒④放射線療法
現在②のパクリタキセルの治療中です。
主治医からその都度説明を受けているのですが、次の内容について教えて下さい。
質問1. アポクリン癌は特殊型で少ないわけですが、このタイプの癌の特徴、治療
特徴、治療や予後の特徴について教えて下さい。
質問2. リンパ節転移の数: 39/43:Ⅰ(24/27)Ⅱ(15/16)Ⅲ(0/0)Rotter(0/0)です。
数の多さに驚いて深刻な状況
   であることはわかりますが、この結果から
①病状としてどうとらえればよいのか ②治療はどのような選択がなされるのか   
③予後はどうなのか
質問3. ステージⅢと説明を受けています。
ステージⅢはa ,b,c分かれていますが私の検査結果から見てどの段階にあるのでしょうか?
   以前の相談内容「管理番号687」の回答から考えると、ステージⅢCとなりますがその理解で良いでしょうか?
ガイドラインのステージ等を見てもリンパ節転移数との関連がはっきりしません。
質問4. 現在の治療の週1回のパクリタキセル12回後にゼローダの内服がが6か月その後放射線治療となっています。
   5年前から「原発性胆汁性胆管炎」でウルソを服用して経過を見ています。
3月の超音波検査結果は「慢性肝障害」の状況でした。
   同じ病院内の肝臓専門の医師に経過を診てもらっています。
浸潤癌、ステージⅢで再発の危険性が大であることは理解して抗がん剤の治療を受けています。
   私の病状での治療は、今後どのような治療が最適でしょうか? 
田澤先生は私のような状態の患者にどのような治療をお考えになりますか。
教えて下さい。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
術後補助療法でカペシタビン(ゼローダ)を使う事は、絶対に誤りです。
カペシタビンは「転移再発乳癌にしか適応がない」のに、2018年版「乳癌診療ガイドライン」で「弱く推奨」とありますが…
とんでもない内容です!!!
適応外診療を推奨するにあたり、「自費診療?」
保険診療と自費診療は併用できないし、そもそも「適応外診療を学会が(臨床試験結果を盾にして)推奨」するとは、何事!!
カペシタビンの販売もとである「〇〇製薬担当者」に説明を求めたら、「当社としても、ガイドラインに乗るのは迷惑。当社は(当然ながら)適応外治療を勧めてはいません」と回答ありました。
あまりにも酷いので今週のコラムに取り上げます。
今週のコラム 136回目 決して適応外診療を勧めることはありません。今回のガイドラインの記載には正直、迷惑であり驚いています
「③ゼロータ6か月」
⇒適応外診療
 決して許されない診療です。主治医に抗議すべき
「アポクリン癌は特殊型で少ないわけですが、このタイプの癌の特徴、治療特徴、治療や予後の特徴について教えて下さい。」
⇒特殊型といっても…
 大して珍しくもありません。
 トリプルネガティブが多いが大人しい
 抗癌剤が効きにくい可能性はあります。
「①病状としてどうとらえればよいのか ②治療はどのような選択がなされるのか
  ③予後はどうなのか」

⇒リンパ節転移はあくまでも局所です。
 通常の治療を行えばいいのです。
「ⅢCとなりますがその理解で良いでしょうか?」
⇒その通り、
 pN3(リンパ節転移が10個以上)はステージⅢCです。
「現在の治療の週1回のパクリタキセル12回後にゼローダの内服がが6か月その後放射線治療となっています。」
⇒カペシタビン(ゼローダ)は適応外です。
 私は決して行いません。
 物事はシンプルに考えましょう。
 全身療法は
 ⇒ トリプルネガティブだから(抗癌剤は効きにくい可能性はあるが、証明されていないので)アンスラタキサン
 局所療法は
 ⇒ リンパ節転移4個以上だから放射線(胸壁+SC)
☆物事はいたって、シンプルなのです。