Site Overlay

アポクリン癌について

[管理番号:6177]
性別:女性
年齢:40歳
40歳 女性
昨年12月に検診で乳がんが見つかり、先月手術しました。
結果と病院で言われたことは以下のとおりです。
トリプルネガティブ、アポクリン癌についての情報も少なく、抗がん剤を受けるか、受けずに放射線治療のみにするかの判断に迷っています。
先生の見解をお聞かせいただけたらと思います。
【手術・病理検査結果】
トリプルネガティブ
アポクリン癌
癌の大きさ6mm 浸み出し含めて8mm
端全て切除できている(取り残しなし)
核グレード1
増殖能2%
センチネルリンパ節生検実施 転移なし
【病院で言われたこと】
5mm以下は抗がん剤しない。
10mm(11mm?)以上は抗がん剤する。
その間は患者の意思を尊重する
以前は6~10mmでもしてなかったが、今は変わった抗がん剤するとすればTC療法 3週×4回
日本ではデータない
海外のデータ(predictというサイト)では抗がん剤なし10年生存率93.2%
抗がん剤すれば生存率1.6%上がる
【先生にお伺いしたいこと】
①抗がん剤は分裂の盛んな細胞に効く。
生存率が1.6%でも確実に上がるなら抗がん剤受けたいが、増殖能2%とかなり低い数値なので、抗がん剤は効きにくく、受ける意味が無いのではないか。
増殖能2%でも抗がん剤が効く可能性はあるのでしょうか。
浸潤がんである以上、がん細胞は既に全身に散らばっていると考えるべきでしょうか。
そうだとすると、抗がん剤を受けない場合、その散らばったがんは無限に増殖していくことにはならないのでしょうか。
一般に10年間転移再発がなければ完治したとみなされるということは、抗がん剤を受けなくても自己の免疫で増殖を食い止めることができる可能性があるということですか。
抗がん剤を受ければ、100が102になる細胞の増殖を98に抑えられるという認識でいいのでしょうか。
②トリプルネガティブは更に6つのサブタイプに分類されるようですが、アポクリン癌ということは、そのうちのLARと考え、BL1やBL2ではないと考えて良いのでしょうか。
LARは家族性遺伝ではないのでしょうか。
LARは抗アンドロゲン剤が有効という情報があるが、どういった薬なのでしょうか。
保険適用はされないのでしょうか。
この薬を受ける方法はあるのでしょうか。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
率直に行って「6mmの極めて大人しいアポクリン癌で抗癌剤を勧めよう」などとは、(私には)一瞬たりとも考えません。
「増殖能2%でも抗がん剤が効く可能性はあるのでしょうか。」
→効くとは(私には)思えません。
「浸潤がんである以上、がん細胞は既に全身に散らばっていると考えるべきでしょうか。」
→冷静に考えてみてください。
 無治療で10年生存率が93%という数字の説明ができないですよね?
「抗がん剤を受けなくても自己の免疫で増殖を食い止めることができる可能性があるということですか。」
→そういうこともあるでしょうが…
 むしろ、(浸潤癌でも)「そもそも全身に散らばっていないことの方が多い」と考えるべきでしょう。
「抗がん剤を受ければ、100が102になる細胞の増殖を98に抑えられるという認識でいいのでしょうか。」
→??
「抗がん剤なし10年生存率93.2% 抗がん剤すれば生存率1.6%上がる」を説明すると…
 1.そもそも癌が全身にちらばっていない群(無治療でも再発しない) 93.2%
 2.癌が全身のどこかに潜んでいるが、抗癌剤をすることでそれが死滅する群(抗癌剤することで再発しない) 1.6%
 3.癌が全身のどこかに潜んでいるが、抗癌剤をしても(その甲斐なく)癌細胞が死滅しない群(抗癌剤しても再発する)5.2%
 質問者は上記1~3までの、どこに属しているのかは不明なのです。
  たまたま2群に当て嵌まれば抗癌剤をしておいてよかったとなりますが、もしも(1や3群に属していたら)「抗癌剤をする意味が全くない」ということなのです。
(つまり93.2+5.2%=98.4%無駄だということです)
「②トリプルネガティブは更に6つのサブタイプに分類される」
→それは誤りです。
 トリプルネガティブは、そもそも「ER, PgR, HER2が陰性である」というだけの共通点をもった「雑多な集団(6つどころではありません)」です。
 「トリプルネガティブが6にに分けられる」というよりは、(そもそも)「1つの集団として取り扱う事自体がナンセンス」なのです。
「この薬を受ける方法はあるのでしょうか。」
→ありませんし、無意味です。