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10ミリのしこり

[管理番号:639]
性別:女性
年齢:46歳
はじめまして。6月に受けた人間ドックでの乳房超音波検査で
 左D領域に10×6×8ミリの充実性腫瘤を認めます。
 形状不整・内部不均質・一部後方エコー減弱を認めます。
 カテゴリー4
と記載された紹介状を持ち、7/1に乳腺外科を受診しました。
 
そこの先生の方針なのでしょうが、まずは細胞診となり、今結果待ちです。
田澤先生の病院ならすぐ針生検でしょうが、仕方ないです。
細胞診をした時、マンモグラフィーとエコーもしました。
マンモグラフィーにはうつらず、エコーで「これがしこり」と言われました。
正直自分ではわかりません。
「あなたはエコー検査をして正解でしたね」と言われました。大きさは10ミリだそうです。
質問1
 毎年エコー検査と二年に一度マンモを受けていましたが、やはり、エコーにしかうつらないとなると、技量が関係して見つけられなかったと思うしかないでしょうか。(検査は地元の病院で受けていました)マンモにうつらず、エコーで発見できるものは乳がんであったら何がちがうのでしょうか。
質問2
 たぶん次に針生検になると思います。
 私はこれから どう行動していったらよいのか今悩んでいます。
 何を質問・確認するようにしていったらよいでしょうか。
初めは10ミリなら初期で発見できたからラッキーと思おうといましたが、
日にちが経つにつれ、不安が大きくなっていきます。
本当に初めの段階での質問ですが、よろしくお願いします。
 

田澤先生からの回答

 こんにちは。田澤です。
 「10×6×8ミリの充実性腫瘤を認めます。 形状不整・内部不均質・一部後方エコー減弱を認めます。 カテゴリー4」
⇒質問者も覚悟されているようですが、これは「明らかな癌の所見」です。

回答

「まずは細胞診」
⇒質問者もあきれているように、
 何の意味があるのでしょうか?
 「超音波でこの所見」なのに
 万が一「細胞診で陰性」の時には「癌ではないですね。様子を見ましょう!」とでも言う気でしょうか?
 結局、細胞診では信用ならないとして「それでは針生検しましょう」となる筈です。(経過観察など絶対に許されません)
 「超音波でこの所見」で
 当然「細胞診で陽性」の場合、そのレポートには必ず、「癌が疑われます。組織診での確認をお勧めします」と病理医からコメントがある筈です。
 結局、「それでは針生検で確認しましょう」となる筈です。(今の時代、細胞診での確定診断は許されません)
 
 ○細胞診で「どの結果が出ようが」結局、針生検をすることになるのです。
 全く無駄な検査です。(このQ and Aでは聞きあきたと思いますが、どうしても言いたくなります)
 
『マンモグラフィーにはうつらず、エコーで「これがしこり」』『「あなたはエコー検査をして正解でしたね」』
⇒その通りです。
 マンモグラフィーでは1cmの腫瘍を見つけるのは(高齢者以外では)困難です。
 1cm以下の腫瘍は「殆どが超音波単独所見」といっても過言ではありません。(ただし、超音波検診には見落としも多いのです)
 
「エコーにしかうつらないとなると、技量が関係して見つけられなかったと思うしかないでしょうか」
⇒その可能性はあります。
 現在10mmだとすると、1年前は5mm位でしょうか?
 1年前のエコー検査で、技量が高ければ「見つけられた可能性」はあります。
 
 10mmでは「見逃される筈の無いレベル」ですが、5mmだと「技量による差が出るレベル」だと思います。
 
「エコーで発見できるものは乳がんであったら何がちがうのでしょうか」
⇒やはり早期が多いのです。
 腫瘍径が小さい事は「何よりの武器」です。
 超音波で「10mm径」というのは間違い無く早期です。
 私の経験では、このレベルで術後再発はほぼありません。
 
「何を質問・確認するようにしていったらよいでしょうか。」
⇒これは治療にむけての「質問・確認」となります。
・手術先行が大前提
 ⇒この大きさで「術前化学療法など全く不要、犯罪行為」です。
  サブタイプが何であろうと(例えHER2タイプであろうと、トリプルネガティブであろうと)
・術式について
 ⇒MRIでの「拡がり診断」を行った上での術式選択ですが、勿論「温存術」という方向でしょう。
  ただ、「乳管内進展」とか「娘結節」などが無いのか?担当医に確認してください。
・サブタイプについて
 ⇒自分のサブタイプの確認は必要です。
  術後療法に必要です。
 
○ただ、「10mm」であれば、「手術先行、手術は温存術」という方向にブレは無い筈です。
 安心して治療へ進む事です。
 
「日にちが経つにつれ、不安が大きくなっていきます」
⇒大丈夫です。
 全く心配する状況ではありません。
 (サブタイプが何であれ)「腫瘍の小ささは最大の武器」なのです。(私の経験から)
 ♯『早期発見に勝る治療は無し』とはここから来ています。
 
 

 

質問者様から 【質問2 リンパ節への転移】

10ミリのしこりで細胞診から始まったものです。
丁寧な田澤先生の回答に、がんであることの確信と覚悟をしました。
はっきりして頂くほうが、次へ向かっていける気がします。
まだなにも進展していないのですが、
色々調べると余計に不安にもなりますね・・・
田澤先生には初期であるといっていただきましたが、
リンパ節への転移はこれからの検査でありうると考えていたほうがよいでしょうか。
意識が左胸にばかりいっているせいか、
胸全体が痛く感じてしまいます。
 

田澤先生から 【回答2】

 こんにちは。田澤です。
 超音波検診でみつかった「10mmのしこり」ですね。

回答

「がんであることの確信と覚悟」
⇒「形状不整・内部不均質・一部後方エコー減弱を認めます。 カテゴリー4」という所見は『癌以外を想像する事』はできません。
 ちなみになぜカテゴリー5とならなかったのか?は おそらく(小さいので)脂肪層への浸潤(前方境界線の断裂)所見を伴っていないからだと思います。
 
「色々調べると余計に不安にもなりますね」
⇒(今の時代には仕方が無い事ですが…)
 ネットの情報に振り回されない事です(このQandAもネットですが…)
 正しい認識と、それに基づいた治療を行う事です。
 
「リンパ節への転移はこれからの検査でありうると考えていたほうがよいでしょうか」
⇒可能性ゼロとは言いませんが…
 10mmの腫瘍では大丈夫でしょう。
 早期発見は間違いありません。
 
 

 

質問者様から 【質問3】

田澤先生のお返事に、励まされております。
これから針生検・MRIと進めば、自分のがんがはっきりわかり、
適切な治療をしていくしかないのだと思えました。
細かい質問にも答えて下さり、本当にありがとうございます。
今診察を受けている病院は乳腺外科専門の個人病院(胃腸・内科等も診療)です。
MRIは提携の病院(これもまた個人病院)になるそうです。細胞診の時説明有。
手術をうけるにあたり、現在診察を受けている先生が10年程前まで在籍していた病院で
この先生が手術して下さることもできるし、他の病院がいいなら紹介します
とも細胞診の時いわれました。(ということは、この先生はエコー検査でがんであると確信
していたのでしょうね。口調もそうでした)
質問
地域にもう一つがん専門センターを併設している病院があります。(大学病院ではありませんが、ライバル的に大きくしているように感じてた病院です)ある程度検査をしてからこの病院を紹介して行ったならまた検査を一からすることも考えられますか。
現在診察を受けている先生は手術回数も経験が多いようです。手術する病院もがん治療に力をいれているとHPで診ました。家からも近いのでこちらの病院を考えていますが、
どちらの病院も、田澤先生の言われる、医師の執刀回数まではわからないため、悩んでいます
 

田澤先生から 【回答3】

 こんにちは。田澤です。
 診断の途中で「手術の話」がでているようであれば、「乳癌の診断に誤り」は無いようですね。

回答

「ある程度検査をしてからこの病院を紹介して行ったならまた検査を一からすることも考えられますか」
⇒考えられます。
 私は全く必要ないと思いますが…
 勿論、診察時に超音波はするわけですが「マンモも、針生検も再度する必要はありません」
 「同じ検査を、もう一度するつもりはありません」という意志を示してもいいと思います。
 
「現在診察を受けている先生は手術回数も経験が多いようです。手術する病院もがん治療に力をいれている」
⇒単刀直入に「その医師」に年間何件の乳癌手術を執刀しているか。聞いてみてもいいと思います。
 (助手ではなく)自分の執刀として年間100件を超えるならば安心です。
 
「医師の執刀回数まではわからない」
⇒(病院としての手術件数が多くても)医師の数が多いところは「執刀回数は少ない」 『乳癌手術件数/医師の数』 で計算するとおおよそ解ります。
 また、大学病院や「大病院」にありがちな、「研修医や若い医師」が多い病院では、それらの医師の「修練のため」に協力しなくてはならないので、注意が必要です。
 ○大学病院で「医師の教育」に協力したいという価値観の方もいらっしゃるでしょうから、それが悪いとはいいません。