皆が気になる質問シリーズ -4-
~授乳中のしこり~
「授乳中にしこりがあります。癌ですか?」
これも良くある質問です。
何と言っても、授乳中は良く「しこり」ができるのです。(その大部分は乳瘤なのですが…)
「授乳に伴う正常乳腺の変化」なのか「乳癌」なのか。
ポイントは、
1.年齢
2.「しこり」の変化
3.直前の検診の時期
乳瘤(ニュウリュウ)
これは(授乳中)分泌されるミルクの鬱滞により起こります。
ミルクが液体として貯留して貯まっている場合と、ミルクの鬱滞により乳腺自体が
硬くなる場合があります。
ミルクが鬱滞している訳ですから(母乳外来などに相談すると)
「その部分を圧迫しながら授乳しなさい」と言われる事もしばしばです。
⇒やってみる価値はあります。
乳瘤と乳癌の「見分け方」
1.年齢
(2010の日本での乳癌年齢分布)
年齢 | ~19 | 20~24 | 25~29 | 30~34 | 35~39 | 40~44 | 45~49 | 60~64 |
実数 | 2 | 63 | 232 | 1067 | 2713 | 5490 | 8033 | 9862 |
割合 (%) | 0.09 | 0.3 | 1.6 | 4 | 8 | 12 | 15 | |
比 | 1/157 | 1/43 | 1/9.2 | 1/3.6 | 1/1.8 | 1/1.2 | 1 |
この表の「最後の行(比)」は乳癌の「最多年齢層(60~64歳)に対して何分の1か?」を示す。
- 10代
乳癌は殆どいません。(乳癌を意識する必要は無いでしょう)
- 20代
前半で(60歳代の)1/157、後半でも1/43です。
⇒この年齢層では「乳癌」よりも圧倒的に「乳瘤」が多いので「暫く様子」を見てみましょう。
- 30代
前半で1/9.2、後半で1/3.6まで増加してきます。
⇒30代後半となると、乳癌が急に増えてきますので、「少しおかしいな?」と感じたら
病院を受診する意識が必要です。
- 40代
乳癌のピーク年齢に近づきます。
⇒(授乳中であっても)「しこり」を感じたら、早めに受診しましょう。
2.「しこり」の変化
明らかに急に大きくなる。大きくなったり小さくなったりする。突然出現する。増える。⇒「乳瘤」の可能性が高い
ゆっくり、だけど着実に大きくなる。場所が変わらない。押しても痛くない。
⇒「乳癌」の可能性が否定できない
3.直前の検診の時期
ただし、「妊娠期間中」に検診を受ける方は少ないので、1年以上は空いている事が多い。(多くは1年半~2年)
たまたま「半年以内」に超音波(妊娠期間中であればマンモグラフィーは撮りません)でチェックされていれば、「安心」していいでしょう。
最後に
「乳瘤」と「乳癌」症状から区別は困難です。
30歳代以降(特に後半)で(前の検診から)1年以上空いている場合には注意が必要です。
(マッサージしてみる)のもいいですが、「迷ったら乳腺外科受診」してみてください。
●超音波すれば、すぐにわかります。