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HER2陽性の場合、術前抗がん剤は必要か

[管理番号:12795]
性別:女性
年齢:44
病名:浸潤性乳管癌(充実型)
症状:左乳房腫瘍2.7cm程度、リンパ節転移なし
投稿日:2025年06月08日

今年5月に浸潤性乳管癌ステージ2Aの診断があり、以下の病理所見を得ています。

ER陽性(95%以上)、PgR陽性(95%以上)、HER2 score 2+
Ki-67陽性率15-20%程度、腫瘍は2.7cm程度、リンパ節転移はなし

この後、HER2が陽性か陰性かを診断するため、10日ほど後に受診予定です。
もし陰性であれば手術先行で進められるが、陽性であれば、術前抗がん剤を行ったほうが予後が良いと主治医に言われました。
また、リンパ節に腫れがあるが、何かアレルギーはあるか?と聞かれました。
(花粉症以外はないと思います)

主治医の話では、全摘のほうが安心と言われておりますが、
部分切除も可能であれば、そちらの方向も考えたいと思っております。

お伺いしたいのは、HER2陽性であった場合、全摘を選択しても、
術前抗がん剤を行ったほうがよいのか、という点です。

先生の乳がん「あるあるQ」20、25、70、管理番号12523のご回答を拝見しました。
部分切除の可能性を探るなら、術前抗がん剤も効果があるのでしょうか。
また、素人判断ですが、私の現状は「そのままでは手術不能な状態」
とまでは言えないのではないかと思っております。
術前抗がん剤を勧められるのは、腫瘍の大きさも関係があるのでしょうか。
できれば、抗がん剤治療は避けたいですが、転移や再発も怖いです。

どうぞよろしくお願いいたします。

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。

術前抗がん剤を勧めたがる乳腺外科医が増えているのには以下の理由があります。

1.リンパ節転移があったり腫瘍が大きくて、手術が大変(外科医として情けない)
2.トリプルネガティブとかHER2陽性の場合にはまず『今週のコラム 499回目 術前抗がん剤の闇と影 抗癌剤を知り尽くした乳腺外科医の憂い』をお読みください。

(質問者が問題となっている「もしもHER2陽性だったら」というのは、上記コラムの中の「KATHERINE」試験の結果を受けて「術前に抗癌剤を受けてもしも完全緩解が得られなかった場合には(手術不能再発乳癌でなければ適応のない)T-DM1を使えるから」を根拠として「術前抗がん剤の方が予後がいい」などと極論を言っているだけです。
上記コラムを読んだ上で(それでもなお)術前抗がん剤を望むのであれば、(無論)術前抗がん剤を選択してもいいでしょう。

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再質問をする場合、下記日付以降にしてください。
(回答が公開されてから2週間後)
2025/6/26
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