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サブタイプが変わった乳がんの術後治療

[管理番号:12314]
性別:女性
年齢:46
病名:浸潤性乳管がん
症状:
投稿日:2024年12月10日

よろしくお願いいたします。
4月に下記診断を受けました。
右胸;浸潤性乳管がん 内側二箇所にそれぞれ約2センチの腫瘍、E R+P R+HER2(+3)
大胸筋に浸潤あり
左胸:小さな石灰化複数あり、小さすぎて検査しようが無いので観察
4月下旬術前化学療法開始 DHP×4回 EC×4回→CRならず
10月末 右胸全摘、大胸筋一部切除 センチネルリンパ生検は陰性
病理結果
Breast rightAB, postNAC,Bt: residual ductal carcinoma, scirrhous type,
size25×8×42mm(B) and 10×5×4mm(A)(invasion) 50×8×50mm(total),p, Nuclear grade1, histological grade I(1/10HPF)MIB1 index:2%,LVI0, ER +80-100%,3+,Q=18), PgR(+,4-19%, 1+,Q+2), HER2(-,Score1+, Nichirei) n(-)(0/3,sentinel), ypT2(m), ypN0(sn), cM0,G1, HER2(-),ER(+),PgR(+) Anatomical Stage GroupIIA, Prognostic Stage GroupIA (UICC/AJCC 8th),responce to NAC:Grade1a
NAC後。B領域とA領域に標本状は連続していない浸潤巣が二箇所あり、その間には被浸潤がん成分が介在しています、浸潤巣は小型癒合状腺管がfibroelastosisを伴って増生しており浸潤巣の周囲や内部に道管内病変や小葉内進展を伴います。両浸潤巣は脂肪組織へ浸潤しB領域内の浸潤巣は大胸筋へも浸潤しています、B領域の癌は内側の側方断片の近くまで浸潤してますが側方断片は陰性です、(#1、断片側から再度標本作成し確認、断片までの距離3-4㎜程度と推定)底部断片は陰性です、脈管浸潤は明らかではありません
今後:ホルモン治療、カドサイラ14回、放射線1ヶ月(リンパ転移ないですが大胸筋の浸潤が心配との理由)

質問です。
1、治療前と手術後でサブタイプが変わったことに困惑しています。医師いわくたまにあることで術前に抗HER2薬でHER2を叩き過ぎた?今はルミナールAであるのはどう理解したら教えて下さい。私のがんはHER2の皮をかぶったルミナールAだったのですか?それとも最初から二種類混在していたのですか。

2、HER2は無くなったけどHER2向け抗がん剤であるカドサイラを提案されているということは、体に散らばってるかもしれないHER2がんへの対処と考えたら良いですか。
かつ、ルミナールAをホルモン治療でカバーしているという事でしょうか?
先生でしたらどの様な治療をお考えになりますか。

3、上記英文の診断で私が留意しておかないといけない事は書いてありますでしょうか。上記日本語の所見は、英文の直訳ではない様に思うのですが、responce to NACの効果はあまりなかったことは理解しました、他はどういう内容なのでしょうか。

4、術後左胸のマンモとエコーをしましたら石灰化が消えていました。抗癌剤で消えたという事はがんだったのでしょうか?
それとも勝手に消失することもあるのですか。

どうぞよろしくお願いいたします。

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。

1、治療前と手術後でサブタイプが変わったことに困惑しています。医師いわくたまにあることで術前に抗HER2薬でHER2を叩き過ぎた?今はルミナールAであるのはどう理解したら教えて下さい。私のがんはHER2の皮をかぶったルミナールAだったのですか?それとも最初から二種類混在していたのですか。
⇒これは、主治医のいうように「たまにあること」です。

単純に「anti-HER2 therapy」により「HER2感受性の強い癌細胞」が選択的に消滅し、「HER2感受性の低い癌細胞」が生き残ったということです。

2、HER2は無くなったけどHER2向け抗がん剤であるカドサイラを提案されているということは、体に散らばってるかもしれないHER2がんへの対処と考えたら良いですか。
かつ、ルミナールAをホルモン治療でカバーしているという事でしょうか?
先生でしたらどの様な治療をお考えになりますか。

⇒これは「手術標本(乳腺)の中のHER2陽性細胞は消滅した」としても(そもそも再発予防とは「何処かに生き残っているかもしれない」癌細胞の消滅が目的なので)通常そのまま行います。
よく考えてもらうと解りますが…

術前抗がん剤でpCRとなった場合にもanti-HER2 therapy(この場合にはT-DM1ではなく、pertuzumab+trastuzumabとなりますが)を行うわけだから同じ考え方なのです。

3、上記英文の診断で私が留意しておかないといけない事は書いてありますでしょうか。上記日本語の所見は、英文の直訳ではない様に思うのですが、responce to NACの効果はあまりなかったことは理解しました、他はどういう内容なのでしょうか。
⇒特にありません。
 全摘しているし、やるべき全身療法もやるのだから気にしないようにしましょう。

4、術後左胸のマンモとエコーをしましたら石灰化が消えていました。抗癌剤で消えたという事はがんだったのでしょうか?
⇒おそらくそうではないでしょう。

それとも勝手に消失することもあるのですか。
⇒抗癌剤は「そもそも」癌細胞だけでなく正常細胞も障害するので(だから副作用があるのです)影響はあっても何らおかしくありません。
考えすぎないようにしましょう。

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(回答が公開されてから2週間後)
2025/1/6
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