[管理番号:781]
性別:女性
年齢:34歳
現在34歳、5歳と3歳になる2児の母です。数年前より左胸にしこりのようなものがあり、一年前に受診、マンモグラフィとエコーをし、半年前まで授乳をしていたと伝えると、乳菅が開いているが気にしなくていいと言われました。その後も生理前になると、そのしこりに痛みもあり、生理が終わってもしこりは存在していて、ずっと気になっていました。(大きさが変わっているかはわかりません。)
その後、妊娠したのですが、7月16日に13週で胎児異常で中絶手術。妊娠中も、そのしこりに痛みがあり気になっていたので、7月29日に受診。
マンモグラフィ、エコーをして気になる腫瘍があるとのことで、翌日に造影剤MRIとマンモトーム生検を受けました。先生曰く、しこりではないが、しこりができない癌もある。一年前にも画像上腫瘍があったが、大きさは変わっていないが、一年前よりもしっかり写っているから念のための検査。
大きさは3センチ、癌だとしても、現時点では乳菅の中にとどまっているので初期だし、中絶したばかりだし、前日まで二日間ですが、プレマリンを服用していたため、その影響でかもしれ<・u桙ネ :文字化け>い。(まだ、中絶後の出血が少しあり)乳腺症かもしれないし、良性かもしれないし、五分五分、白黒つけましょう言われました。癌の可能性は高いのでしょうか?普通、MRI、マンモトーム検査までするものでしょうか?とても、不安です。
何度もすみません。
さきほど、腫瘍の大きさは3センチと書きましたが、一部分の場所にだけの乳菅数本の中に、小さな腫瘍がいくつかあり、その異常をきたしている乳菅の範囲が3センチということで、腫瘍が3センチではないようです。
また、2ヶ月前くらいより、左の肩甲骨と背骨の間辺りが、こったような鈍い痛さがあり、時々左肩、左腕に軽いしびれがあります。担当医に聞いたら、関係ないと言われましたが、どこかに転移していて、痛みがあるというわけではないでしょうか?
また、エコーやMRIで、非浸潤性か浸潤性かわかるものなのでしょうか?
何度もすみません。回答よろしくお願いします。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
「腫瘤非形成性病変」です。
1年前の「乳管拡張像」⇒7月29日の「拡張乳管内の小腫瘤像」
典型的な「腫瘤非形成性病変」と言えます。
回答
「癌の可能性は高いのでしょうか?」
⇒癌の可能性はあります。
担当医のいうように「良性かもしれないし、五分五分」
ただ、「1年間で明らかに所見が強くなっている」ので当然「組織診断(針生検やマンモトーム生検)が必要」となります。
ちなみに「腫瘤非形成性病変」に対しては 針生検<マンモトーム生検 となります。
何故なら「1つの均一な腫瘤」ではなく、「腫瘤非形成性病変は広範囲のサンプリングが必要」となるからです。
♯トップページの「腫瘤非形成性病変」を参照してください。
「普通、MRI、マンモトーム検査までするものでしょうか?」
⇒当然マンモトームすべきです。
MRIは不要です。(診断にMRIは何の意味もありません)
MRI所見に関わらず「組織診断すべき」なのです。
「どこかに転移していて、痛みがあるというわけではないでしょうか?」
⇒転移の可能性は「ゼロ」です。
ありえません。
そんな事があったら、「1年前に異常無し」と診断した担当医の立場が無いでしょう。
「エコーやMRIで、非浸潤性か浸潤性かわかるものなのでしょうか?」
⇒(MRIは不要だから、おいておくとして)
エコーで「腫瘤非形成性病変」という所見で「浸潤癌」の可能性は殆ど無いです。
私の経験では「低悪性度の非浸潤癌」が殆どです。
質問者様から 【質問2 マンモトーム生検待ち】
お返事ありがとうございます。
やはり、癌の可能性はあるのですね…
低悪性度の非浸潤癌ということは、手術などすれば完治できるのでしょうか?
腫瘍がひとつじゃなく、いくつあっても、それは変わらないのでしょうか?
34歳で若年性のため、進行速度か速かったり、再発もあるのでしょうか?
まだ、治療も初めてないのに、再発など心配して…と思われるかもしれませんが、不安でたまりません。
田澤先生から 【回答2】
こんにちは。田澤です。
腫瘤非形成性病変ですね。
画像診断では「決して確定診断はできません」
回答
「低悪性度の非浸潤癌ということは、手術などすれば完治できるのでしょうか?」
⇒勿論できます。
「癌を根治させる」これ以上のチャンスは無いと思います。(勿論、癌で無いにこしたことはありませんが…)
「腫瘍がひとつじゃなく、いくつあっても、それは変わらないのでしょうか?」
⇒変わりません。
(癌であった場合には)多発といっても「同じ乳管内の病変(起源は一緒)」と考えられるのです。
「34歳で若年性のため、進行速度か速かったり、再発もあるのでしょうか?」
⇒「若年性」など全く関係ありません。
○ここがターニングポイントとなるかもしれません。
「曖昧な診断のまま」放置され、「数か月~数年後」進行してしまった例は、このQandAを見ても散見されます。
担当医の「曖昧な診断」に流されずに「自分の身は自分で守る」強い意志が必要です。
このQandAを見て、「そのような方」が増えてくれる事を切に願います。
質問者様から 【質問3】
ご返事、何度も本当にありがとうございます。お医者様と繋がっていると思えるだけで、安心できます。何度も本当にすみませんが…
いくつかの乳菅にできてると言われましたが、それでも、低悪性度の非浸潤癌ということは、変わらないのでしょうか?いくつかの乳菅にできてるということで、悪性度が増したり、浸潤性癌になっていて、転移しているということはないでしょうか?
田澤先生から 【回答3】
こんにちは。田澤です。
「腫瘤非形成性病変」ですね。
この場合の診断のポイントは「ある程度、広範囲の生検」です。
通常の(バネ式)針生検では「診断が確定しない可能性」が十分あります。
「マンモトーム生検で(しかも)方向を変えて病変全体をカバーする」意識が必要なのです。
回答
「いくつかの乳菅にできてると言われましたが、それでも、低悪性度の非浸潤癌ということは、変わらないのでしょうか?」
⇒範囲と「進行度」とは無関係です。
「いくつかの乳菅にできてるということで、悪性度が増したり、浸潤性癌になっていて、転移しているということはないでしょうか?」
低悪性度の非浸潤癌は「浸潤癌になるのに、かなりの時間」を要します。
質問者の所見程度では、「浸潤癌の可能性は殆どない」と思います。
質問者様から 【質問4 マンモトーム生検待ち】
何度もすみません…
腫瘤非形成~というのは、癌になる前ということですか?そのため、エコーにハッキリうつらないということですか?
また、もし、良性と言われた場合でも、腫瘍はとってもらって、病理検査などしてもらったほうがいいのでしょうか?
田澤先生から 【回答4】
こんにちは。田澤です。
「腫瘤非形成~というのは、癌になる前ということですか?」
⇒そう言う意味ではありません。
「単一のしこりとして画像上認識できない」という意味であり、「癌」であることもあります。
「そのため、エコーにハッキリうつらないということですか?」
⇒「単一のしこりとして認識できない=はっきり認識しずらい」ということです。
「もし、良性と言われた場合でも、腫瘍はとってもらって、病理検査などしてもらったほうがいいのでしょうか?」
⇒これは、その「マンモトーム生検の精度」によります。
病変をきっちりと「確実に」検査できていて「良性」であれば心配ありません。
○「精度の低い(病変の中心部分から外れた)」マンモトーム生検での「良性」には注意が必要です。
★「精度の高いマンモトーム生検ができるのか?」は術者に聞いてみるしかわかりません。
ある程度以上の症例経験が無ければ「精度の高いマンモトーム生検は困難」なのです。
質問者様から 【感想5】
今日、マンモトーム生検の結果が出て、乳腺症ということでした。
ハッキリ、良性と言っていただきました。
中絶手術後だから、ホルモンバランスの乱れが原因だろうとのことで、半年後また診察するとのことでした。
乳腺外科が専門の病院で、院長もずっと生検中立ち会ってあって、終わってからも「ちゃんと終わったから安心して」と言われたので、きちんと生検できたと信じたいと思います。
でも、マンモトーム生検の結果を、100%信じるのではなく、
まめに、自分で触診しながら、何か変わったことがあったら、すぐに受診しようと思います。
この度は、本当にありがとうございました。不安な時に、先生のご返事はとても心強いものでした。感謝の気持ちでいっぱいです。ありがとうございました。