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トリプルネガティブ初期乳がんの術後化学療法について

[管理番号:686]
性別:女性
年齢:45歳
トリプルネガティブ早期乳がんの術後化学療法についての質問です。
6月に右乳がん全摘(同時再建)し、先日病理結果が出ました。
術前からの検査通り、トリプルネガティブ乳がん、グレード3、大きさは0.9cmで、
センチネルリンパ節生検は陰性(0/2)、切除断片陰性、ly0、v0、
乳頭腺管がん、ステージ1です。
主治医は今後の化学治療について、家庭環境のことや通院回数も含め、AC療法かCMF療法のどちらかを選んできてくださいとのことで、今とても悩んでいます。
主治医によると、手術で80%から85%(がんが)取れただろうと(細かい言葉は違うかもしれませんが)。
化学療法を追加することでそれを90%に高めることができるとのことでした。
母の既往歴(乳がん、卵管癌)から遺伝性の心配もしていて全摘ということにしたので、先生にトリネガのフルコースの治療でなくどちらかで良いだろうと言われて、それだけの治療で大丈夫(再発の確率が上がってしまわないか)なのか心配です。
主治医はトリネガで9mmで見つかるのはめずらしい、術前の診察でもグレード3でも手術で取ってしまえばそんなに心配しなくても良いと言われました。今の病院で他のトリネガの人たちはAC+Tで治療する人が多く、もしパクリタキセルを追加した場合(私の場合)、90%+1~2
%の再発予防が期待できるとのことで、その1~2%をどう捉えるかが難しいなと感じます。もし全ての治療をしたいならできるよと主治医に言われました。
それを聞き最初は1~2%も上がるならやりたい!と思ったのですが、パクリタキセルの末梢神経障害の副作用、毎週通うことも体力的気力的に続けられるか心配になりました(主治医は年齢的に乗り越えられる体力もあるのではとおっしゃいました)。
45歳ですが、高齢出産で産んだ子供に障害があり育児がとても辛く、乳がん発覚前からストレスで倒れてしまったり体力もなく、精神的にも弱く(心療内科通院中)、抗がん剤治療を乗り切れるのか不安なのと副作用も心配です(心室性期外収縮で手術の経験があり、アドリアシンの心毒性が心配です)。
副作用の心配をすると、主治医の提案したCMF療法ということになるのですが、CMF療法を調べるとひと昔前の治療法というイメージがあり、トリプルネガティブに効くのかな?とまた不安になるのですが、主治医はACとCMFの効果は同じとのこと。+パクリタキセルで、1~2%は誤差という考えもあるし、1%でも大きいとも感じますし、心毒性の副作用を認識しつつトライするか…(でもそれで本当に心身障害が出たら後悔しますね)
乳がん発覚当初から、やれるだけの治療はやりたいと意気込んでいた私なのですが、手術だけで(同時再建もあったからかもしれません)体力や気力が落ちてしまい、私が入院したことで子供も精神不安が増えてしまい、いま、落ち着いて治療方法を選択する時間もあまりなく焦っています。
後悔しないように治療するならAC(もしくはFEC)+Tなのかと思いますが、先生が、私の病理の結果を見ていちばん最初に思う治療方法はどのようなものでしょうか。
また、副作用への不安などを考慮するとどのような選択が良いのか、どの点を中心に考えて治療法を決めたら良いのか教えていただきたいです。再発が起きた時、自分が後悔しないように納得した療法を受けたいとは思うのですが…。抗がん剤治療はやるとは決めています。
お忙しいところ恐縮ですがよろしくお願いいたします。
 

田澤先生からの回答

 こんにちは。田澤です。
 pT1b(9mm), pN0, TN, NG3
 十分な早期乳癌です。

回答

「アドリアシンの心毒性が心配」
⇒アンスラサイクリンの心毒性は、補助療法で行う容量であればリスクはそれ程高くはありません。
 
「後悔しないように治療するならAC(もしくはFEC)+Tなのかと思いますが、先生が、私の病理の結果を見ていちばん最初に思う治療方法はどのようなものでしょうか。」
⇒やはり、アンスラタキサンです。
 しかしweelky PTXではなく、(3週に1回投与の)ドセタキセルです。Weelky PTXでは通院が大変です。
 ECx4+DTXx4です。
 私の考えでは「トリプルネガティブは(質問者のような早期であっても)アンスラタキサンするべき」だと思います。
 データではタキサンの追加で「2-3%」程度の上乗せ効果が期待できます。
 
○トリプルネガティブは「再発リスクがやや高い」事が問題ではなく(実際大した差はありません)、本当に問題なのは『再発してしまった後の治療が困難』な事なのです。
 できるだけ「再発をしない」ような配慮が重要なのです。
 
 

 

質問者様から 【質問2】

田澤先生、さっそくのご回答ありがとうございました。
アンスラサイクリンの心毒性は、病院の薬剤師さんにも確認してみますが、あまり深刻に考えなくても良いのかなと少し安心しました。
先生がおっしゃるように、やはりアンスラタキサンをやることが、私の後悔のない治療法なのかなと思います。
先生に「ECx4+DTXx4」を勧めていただいたのですが、病院からもらったレジメン表を見ると、化学療法としては、FEC(100)、AC、パクリタキセル、ドセタキセル、TC、CMFだけでEC療法は載っていません(もしかしたら個別で行っているかもしれませんが)。
AC療法とEC療法では効果の差というものはありますか?
他の方の回答(647)の「ACx4 = FECx6(しかも副作用はFECが強い)」というように、AC=ECなのか、EC>ACなのか教えていただけないでしょうか。
私の通っている病院だと、ACが選択されるのかもしれません。もしACがECより効果が低いとしたら「タキサンの追加で「2-3%」程度の上乗せ効果」はもっと上がりますか?(データというのはAdjuvant!Onlineでのものでしょうか)。
また、weelky PTXとDTXx4についてもお聞きしたいのですが、weeklyは通院が大変ですが効果的にはDTXx4より高いのでしょうか。
副作用の出方についても(個人差はありますが)、DTXx4は最初の2週間がきつく、3週目に落ち着くという他の抗がん剤と同じような感じと考えて良いでしょうか。
weeklyはDTXx4の一回の投与より副作用が少ないと聞きますが、毎週投与の場合、どのように副作用が出るのか(弱い副作用が毎日続くのか、投与の数日副作用が出て週の後半は和らぐのか)、教えていだだけると助かります。
家庭環境のこと、精神状態のことも考えつつ、その中で「やれるだけのこと」はやりたいと考えております。
その場合、もしかしたらACだけで終わってしまうかもしれません(ACはやりきろうと思っています)。
ACのみの治療の場合の再発率はどれくらいになるか教えていただけないでしょうか。
質問がたくさんになってしまい申し訳ありませんが、よろしくお願いいたします。
 

田澤先生から 【回答2】

 こんにちは。田澤です。
 「アンスラサイクリンの心毒性」ですが、ECx4だと90mg/m2x4=360mg (許容上限 800mg-900mg/m2)となり半量以下の安全性があります。
 同様にACx4だと60mg/m2x4=240mg (許容上限 450mg-500mg/m2)です。

回答

「AC療法とEC療法では効果の差というものはありますか?」「AC=ECなのか、EC>ACなのか教えていただけないでしょうか」
⇒ACとECの直接比較はありません。
 ただ、CAFとCEFの比較はあり、同等であることが示されています。
 (参考に)転移性乳癌に対するEPIとDOXを含む併用化学療法の比較試験(CEF(CPA/EPI/5-FU) vs CAF(CPA/DOX/5-FU:EPIおよびADMの1回投与量はいずれも50mg/m2、DOX(60mg/m2) vs EPI(90mg/m2))では、両群の奏効率、無増悪生存期間および生存期間に有意差は認められず、有害事象の程度も両群で明らかな差は認められなかった(J Clin Oncol 6: 679, 1988、J Clin Oncol 6:976, 1988、J Clin Oncol 9:2148, 1991)
 ○よって、 EC(90mg/m2)x4 =AC(60mg/m2)x4 = FEC(100)x6 という解釈です。
 
「weelky PTXとDTXx4についてもお聞きしたいのですが、weeklyは通院が大変ですが効果的にはDTXx4より高いのでしょうか。」
⇒その通りです。
 Weekly PTX > DTXx4 > PTXx4 という事です(臨床試験の結果)
 
「DTXx4は最初の2週間がきつく、3週目に落ち着くという他の抗がん剤と同じような感じと考えて良いでしょうか」
⇒その通りです。
 10日目位までがきつい事が多いです。
 
「weeklyはDTXx4の一回の投与より副作用が少ないと聞きますが、毎週投与の場合、どのように副作用が出るのか」
⇒強いピークはありません。
 「弱い副作用が毎日続く」方に近いようです。
 ただ、殆ど副作用が無い人も多いです。(結局、その前にアンスラサイクリンを経験すると拍子抜けして「副作用に鈍くなる」印象です)
 
「ACのみの治療の場合の再発率はどれくらいになるか」
⇒10年再発率で14%となります。
 
 

質問者様の別の質問

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管理番号:712「CMF療法について」