[管理番号:10865]
性別:女性
年齢:31歳
病名:右乳がん
症状:しこり、乳頭陥没
投稿日:2023年1月18日
こんにちは。
いつも質問リストを参考にしております。
私は高校生の頃から右乳房に4cmほどのごろっとしたしこりがありました。
20歳で初めて乳腺外科を受診、針生検をした結果線維腺腫と診断がありました。
そこから就職後も、職員検診で超音波エコーをして経過観察となっており乳がんとは思っていませんでした。
しかし、右乳頭が陥没しはじめたのでこれは、、と思い乳腺外科を受診。
結果乳がんの診断がありました。
術前の病理ではルミナールA、MRIでは9cmほどのしこりでタモキシフェンを1ヶ月内服し手術からとなりました。
2022.12に右乳房全摘出+リンパ節郭清を行いました。
以下、病理結果です。
1.Carcinoma of the right breast,EABCD area,Bt state after endocrine therapy:Invasive ductal carcinoma(tubule forming type) with areas of invasive micropapillary carcinoma , 77×22mm, comedo necrosis(+),f+,s+,ly3,v0, ductal spred(moderate),nuclear grade3, endocrine therapy effect:
Grade 1a.
2. Axillary node,positive,Level Ⅰ(16/26),LevelⅡ(0/0).Grade 0(n).
3. BIOLOGY: ER 99%,PgR25%,HER2 1+,Ki-67 35%.
右乳房に広範囲に広がる腫瘍を認めます。
背景にはcomedo壊死を伴うhige gradeDCISをみますが、多くは線管を形成した腫瘍細胞が浸潤性に増殖しており、Invasive ductal carcinoma,tubule forming
typeの組織像ですが、浸潤性微小乳頭癌の成分を伴っております。
最大間質浸潤径は77×22m mとします。
リンパ管侵襲が目立ちます。
腫瘍は一部で皮膚真皮に直接浸潤しています。
nuclear grade:3, nuclear atypia:3, mitotic count:3.
複数の線維腺腫をみますが、線維腺腫の中に腫瘍細胞が浸潤しています。
内分泌療法の治療効果は、一部で腫瘍細胞が脱落した痕跡がありますが、全体としては効果が乏しく、残存腫瘍細胞にはっ治療による細胞形態の変化がみられず、多くの核分裂像を認め、Grade 1a相当の治療効果と評価します。
とありました。
主治医からの今後の治療方針は若いので「ddEC+ドセタキセル」の抗癌剤をして、
リンパ節転移があるため放射線療法、その後ホルモン療法と説明がありました。
田端先生に質問です。
①20歳の時に生検をした時線維腺腫の診断だったが、新たにがん細胞が現れて、、
となると
しこりに気づかない人も多いと思うのですが、このような患者さんは結構おられますか?
②病理結果に「腫瘍は一部で皮膚真皮に直接浸潤しています。」とありますが
これはステージⅢaになりますか?
③若いので「ddEC+ドセタキセル」の抗癌剤と説明がありましたが田端先生でもルミ
ナールBでこの抗癌剤を選択しますか?
④リンパ節転移が多く転移が心配です。
抗癌剤~ホルモン治療まで行ったとして再発率はどの程度でしょうか?
⑤放射線は何回くらい必要だと思いますか?
⑥ホルモン療法は、リュープリン皮下注射+タモキシフェンが一番適応ですか?
最近TSー1の経口抗癌剤も適応になったのでどれが最善なのか迷っています。
ベージニオを内服している人もいますし、何が違うのでしょうか?
質問が多くてすみません。
お時間がある時によろしくお願い致します。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
①20歳の時に生検をした時線維腺腫の診断だったが、新たにがん細胞が現れて、、となると
しこりに気づかない人も多いと思うのですが、このような患者さんは結構おられますか?
⇒かなりなレアケースだとは思います。
ただし、病理レポートから推測するとやはり最初から癌と線維腺腫だったと思います。
大きな腫瘍に対する針生検のターゲットに問題があったと推定します。(今更デスガ)
②病理結果に「腫瘍は一部で皮膚真皮に直接浸潤しています。」とありますが
これはステージⅢaになりますか?
⇒リンパ節転移10個以上なのでpN3となりステージ3Cとなります。
③若いので「ddEC+ドセタキセル」の抗癌剤と説明がありましたが田端先生でもルミナールBでこの抗癌剤を選択しますか?
⇒pN3であれば、(dose denceが必要かどうか?は別として)anthracycline + taxaneとなります。
④リンパ節転移が多く転移が心配です。
抗癌剤~ホルモン治療まで行ったとして再発率はどの程度でしょうか?
⇒30%前後かもしれません。
⑤放射線は何回くらい必要だと思いますか?
⇒放射線科によって異なります。
⑥ホルモン療法は、リュープリン皮下注射+タモキシフェンが一番適応ですか?
最近TSー1の経口抗癌剤も適応になったのでどれが最善なのか迷っています。
ベージニオを内服している人もいますし、何が違うのでしょうか?
⇒TS-1は抗がん剤であり、abemaciclibはCDK4/6 inhibitor(分子標的薬)なので異なります。
副作用とのバランスを考えれば後者(abemaciclib)を私なら勧めます。
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再質問をする場合、下記日付以降にしてください。
2023/1/26
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