[管理番号:636]
性別:女性
年齢:35歳
質問者様の別の質問質問が新たな内容のため、別の管理番号としました。 |
初めまして。現役の医師の方にこうしてネットだけで相談するのも申し訳ないのですが、研究の参考になりそうでしたらご回答いただけると嬉しいです。
現在手術を控えております。針生検したところ、浸潤性乳管がんで推定組織型は硬がんと充実腺管がん。腫瘍は横長で7ミリ程。ER、PgR共に90%以上でki67は10%以下、Her2は2+が出ています。エコーやMRIで現在わかるようなリンパ節転移はないようです。
全ては術後になってみないとわかりませんが、上記の数値から穏やかながんだろうということで、温存後放射線とホルモン療法を目安にしております。自分としては、この予想が大きく外れないよう祈るばかりです。
気になっているのは、同じサンプルを見たもう一人別の病理医が「浸潤の可能性もあるが僅かしか認められないので非浸潤かもしれない」という報告を出してきたことです。
設備や医師の腕で、こうした結果は変わってくるものでしょうか。組織型が出て尚、実は浸潤が少なく非浸潤の範囲内だった、ということはありえますか?単純に、浸潤していると確定出来た方が正確なだけなのでしょうか。
万が一非浸潤だったら、温存という手段はマイナスに働くだろうか、と悩んでいます。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
cT1b(7mm), cN0, luminal A もしかするとpTis(非浸潤癌)かもしれない。という事ですね。
大変明るい材料ですね。「非浸潤癌もしくは微小浸潤(浸潤径1mm以下)」の可能性があります。(そうなると殆ど根治してしまいます)
HER2は2+であれば、HER2-FISHを追加されているのでしょうか?
Ki67≦10%であれば、結果はマイナスだと思いますが…(更に、質問者の状況によってはそもそも不要になりそうですが)
回答
「設備や医師の腕で、こうした結果は変わってくるものでしょうか」
⇒病理医の間で意見が割れる事は時々あります。
但し、大きな違いが出る場面では無いので「浸潤部分が非常に僅か」である事は間違い無さそうです。
「組織型が出て尚、実は浸潤が少なく非浸潤の範囲内だった、ということはありえますか?」
⇒ありえます。
ただし、私の印象では「微小浸潤=浸潤径≦1mm」の方が可能性が高そうです。
「単純に、浸潤していると確定出来た方が正確なだけなのでしょうか。」
⇒そんな事はありません。
浸潤しているかどうか迷う場面はあります。
「浸潤の可能性もあるが、僅かしか認められない」と診断している医師の方が「より細かく」見ていると思います。
「万が一非浸潤だったら、温存という手段はマイナスに働くだろうか、と悩んでいます」
⇒これはどういう意味でしょうか?
非浸潤癌の場合は「温存は良くない、全摘すべき」という事でしょうか?
そんな事はありません。
「温存か全摘か?」という選択に「非浸潤癌か浸潤癌かは無関係」です。
質問者様から 【質問2】
ご多忙の中、お早い回答をありがとうございました。とても励まされる気持ちです。
FISHについては、いずれ調べようと言われています。ただ、もしも陽性が出てもホルモンのみにしたいというのが正直なところです……もちろん、結果が予想より悪ければそんなことも言っていられないでしょうが、比較的腫瘍が小さいので生検と大幅に異なることもないのでは?と思っています。楽観的すぎでしょうか。
術前に非浸潤だと言われていたのに実は浸潤していた、というケースは見たのですが、逆についてはわからず、非浸潤かもしれないと言った方の意見をどう捉えていいか悩んでいたので、先生に質問してよかったです。
こういう言い方が正しいのかわかりませんが、私のがんは浸潤しかかっている途中、境目にいるようなものなのでしょうか。生検から手術まで二か月程の計算になりますが、この時間経過で浸潤が進むことはあるのでしょうか。
現在は浸潤していることを前提に話を進めていますが、もしも微小浸潤で済んで術後の負担が減るようなら嬉しい限りです。また、非浸潤は全摘が望ましいという理解でしたが、温存でも大差ないならばどちらの結果が出ても納得できそうです。
幾つか語尾を疑問にしてしまった点がありますが、修正すべき認識がなければ再度のご回答はいただかなくて結構です。お手間をとらせてすみません。
田澤先生から 【回答2】
こんにちは。田澤です。
腫瘍径7mm しかも微小浸潤の可能性もありとの状況です。
回答
「比較的腫瘍が小さいので生検と大幅に異なることもないのでは?と思っています。楽観的すぎでしょうか。」
⇒その考えでいいと思います。
心配無い状況です。
「私のがんは浸潤しかかっている途中、境目にいるようなものなのでしょうか。」
⇒そのような理解でいいと思います。
所謂 predominant DCIS(非浸潤性乳管癌)という状況を想像しています。
「生検から手術まで二か月程の計算になりますが、この時間経過で浸潤が進むことはあるのでしょうか。」
⇒その可能性はゼロとは言えませんが、通常は心配ありません。
「非浸潤は全摘が望ましいという理解」
⇒その考え方は正しくありません。
「浸潤の有無」は術式選択には全く関係ありません。
あくまでも「拡がり診断」が術式には関係あるのです。
質問者様から 【感想3】
些細な点にもかかわらず、再度のご回答をいただきありがとうございました。
私の場合MRI、CT以降は骨シンチは行わず、心電図等の検査をして手術に臨むようです。まだ間がありますが、先生のお陰で悲観的にならずその日を迎えられそうです。
なかなか人に相談出来ることでもありませんので、このような場を設けて下さったこと、感謝しております。術後再びこちらに不安を書き込むことがないよう、また私の手術が治療の将来に役立つ一例となることを願っております。
質問者様から 【質問4】
お礼のメッセージを送っておきながらごめんなさい、一点だけ追加で伺わせていただけないでしょうか。
効果を調べるために術前からのタモキシフェンの服用を提案されています。これは受けてもいいものでしょうか。
手術までは出張を含め普通に仕事をするつもりなので、もしも強い副作用が出たら困るなと考えています。また、希望的観測ではありますがもしも術後に不要となった場合、子宮等に負担をかけるだけの結果になるのではとも思っています。
ご意見がありましたらお聞かせ願えませんでしょうか。何度も申し訳ありません。
田澤先生から 【回答4】
こんにちは。田澤です。
閉経前の術前ホルモン療法は推奨されません(推奨グレードC2)
回答
「効果を調べるために術前からのタモキシフェンの服用を提案」
⇒この理由は意味不明です。
まさか、(術前化学療法を勧める時にもしばしば使用される)「効果を調べるため」という無責任な理由が(本来、推奨されていない)術前内分泌療法の理由として提案されるとは!
○手術までの期間が3カ月とか、物凄く長いのでしょうか?
あまりに長期間すぎて、「何もしないのは不安」という理由で術前に内分泌療法をする事はありますが、「安易に術前内分泌療法をすべきではありません」
○質問者のおっしゃるように、「非浸潤癌」であれば術後にも不要という可能性もあります。
質問者様から 【質問5 ありがとうございました】
御礼遅れて申し訳ありません。重ねてのご回答、ありがとうございました。
「効果を調べるため」とは医師の正確な発言ではありませんが、タモキシフェンは効く人と効かない人がいると聞いたこと、可能なら術前に自分がどちらか知りたかったという他の患者さんの意見が頭にあり、個人的にそのように解釈しました。
プラスとマイナスどちらが大きいかの判断を迷っていたので、先生のお考えを伺えてよかったです。