Site Overlay

乳癌の診断結果について

[管理番号:567]
性別:女性
年齢:31歳
こんにちは、はじめまして。
4月の始め頃から左脇あたりに違和感があり、4月の終わり頃に乳頭左下に小さなしこりを見つけました。
すぐに乳腺外来を受診し、視触診+超音波で「乳腺が腫れてるだけでしこりではない」と言われました。
不安だったので違う乳腺外来へ行き、
そこで視触診+超音波+マンモをしてもらい「良性だと思うが、細胞診しておく?」と聞かれ細胞診をしてもらいました。
その細胞診の結果がクラス5でした。
ただ、クラス5の結果ではあるけど、病理の所見は「疑い」とのこと。
ものすごくショックで家族全員で落ち込みました。
細胞診の結果が出たその同日に針生険(組織診)をしました。
その組織診の結果では悪性は認められず、良性でした。
先生の最終診断は「良性だから心配ない」。
ですが、一応ということでがんセンターを紹介されました。
昨日紹介先のがんセンターへ行ってきましたが、がんセンターの先生は診察開始と同時に「細胞診のクラス5が出てるんだからほぼ乳ガン確定だよ、組織診で良性だったのは組織が取れてないんだよきっと」と。
またどん底に落とされた気持ちでした。
検査をすべてやり直しになりました。
がんセンターの先生に視触診をしていただきましたが、「これは悪いものじゃなさそうだなぁ」と。
その後、ようやく前の病院から持ってきた書類に目を通しはじめ、
「この良性が出てる組織診の組織は取れてそうだなぁ、向こうの先生の所見は良性だけどね」と。
昨日はそのままマンモ+超音波をしました。
結果は半月後です。
4月から結果が二転三転して、夜も眠れず吐き気もあり食べれません。
一生懸命明るく振る舞っていますが、そろそろキツいです。
いつになったら結果が出るのか…乳ガンの検査や診断はこんなものなのか。
ここまでのいきさつでどう思われますか?
難しいとは思いますが、私は何を信じたらいいのでしょうか。
組織診の組織が取れているかは見てわかるものなのか?
細胞診の結果、疑いなのにクラス5をつけることがあるのか?
細胞診がクラス5で細胞診が良性の場合は珍しいのか?
その場合、どちらが確実なのか。
今のところ、乳腺外来の先生三人の視触診で良性と言われ、その内二人の先生に画像も良性と言われています。
加えて組織診は良性です。
細胞診のクラス5のみが気がかりです。
動揺していて内容がしっかりお伝えできているか心配ですが、ご意見をくださいますと、幸いです。
よろしくお願いいたします。
 

田澤先生からの回答

 こんにちは。田澤です。
 「細胞診」と「組織診」ですね。
 今回のケースでは「乳頭左下」「小さなしこり」という2点が気になります。
◎小さなしこりというのは「どの程度の大きさ、1cm以下?」なのでしょうか?

回答

「ここまでのいきさつでどう思われますか?難しいとは思いますが、私は何を信じたらいいのでしょうか。」
⇒まず「客観的事実」からいいますと
 「細胞診クラス5」で誤診(つまり良性)は通常「1%以下」です。
  確定診断は「針生検」が当たり前となった現在、「細胞診では無理をしない。つまり余程自信が無い限りはクラス4どまりとする」筈です。
  通常は「クラス5で良性はありえない」と考えます。
 一方で
 「組織診で良性」とする誤診(つまり、腫瘍に当たらなかった:サンプリングエラー)の可能性は不明です。
  これは「針生検の技術」が関係するし、今回注目すべきは「乳頭左下」「小さなしこり」という2点です。
  ○乳頭左下…乳頭近傍だと「超音波画像が(乳頭の影響を受けて)解りずずらくなる」(針生検に慣れていない=技術が稚拙だと) 狙いが外れる一因となる可能性
  ○小さなしこり…どの程度小さなしこりなのかは不明ですが、やはり(技術が稚拙だと)狙いが外れる一因となる可能性
「組織診の組織が取れているかは見てわかるものなのか?」
⇒何らかの乳腺組織が採取されているのかは解りますが、きちんと『狙った部位から採取されたのか?は判断しようが無い』のが実情です。
 つまり、正しく組織診がされていないケースにも以下の2通りあるのです。
 ①「乳腺組織が採取されていない」場合は、「これはサンプリングエラー」だと断定する事は可能ですが、
 ②狙いが外れて(全く異なった部位から)「正常な乳腺組織が採取されている」場合には『正しい組織なのか、(狙いが外れた)別の組織なのか』までは解らないのです。
 今回のケースでは「この良性が出てる組織診の組織は取れてそうだなぁ」というコメントから①ではない事はわかりますが、『②の可能性が大いにある』のです。
「細胞診の結果、疑いなのにクラス5をつけることがあるのか?」
⇒細胞診でクラス5を付けると言う事は「癌で間違いない」と考えてつけています。
 
『クラス5の結果ではあるけど、病理の所見は「疑い」とのこと』
 ⇒これは、まるで「細胞診でクラス5との記載ではあるが、今回はわざわざ『疑い』というコメントがついているので、通常のクラス5とは違うのでは?と「質問者が感じている」いうニュアンスですが、事実は異なります。
 『細胞診ではクラス5とつけても必ず「疑い」として、組織診で確認してください』と記載する事になっているのです。
 つまり、細胞診のクラス5は(質問者のケースだけではなく)全ての場合で乳癌「疑い」というコメントになります。
 以下が、その理由です。
 (細胞診ではクラス5としても、必ず「疑い」とする理由
 「細胞診では『癌を考えますので生検による確認を勧めます』として確定診断を避ける」のが現在の常識です。
 ◎病理医の立場からすると「せっかく針生検があるのに」敢えて「少ない材料での検査である細胞診で確定診断をして、誤診となるリスク(高くはないですが)」を避けようとする事は極めて自然です。
 
「細胞診がクラス5で細胞診が良性の場合は珍しいのか?」
⇒珍しい事です。
 「細胞診がクラス5」となると、『病理医は、癌で間違いない』と確信を持っています。
 通常、「細胞診よりも、針生検の方が」癌の診断は容易
  ○細胞診ではクラス3⇒針生検では乳癌
  ○細胞診ではクラス4⇒針生検では乳癌
 というパターンの方が圧倒的に多いのです。(細胞診と組織診では採取される細胞量が圧倒的に組織診で多いため、針生検の方が診断は容易なのです)
 
「その場合、どちらが確実なのか。」
⇒通常は「圧倒的に針生検の方が確実」です。
 上記で記載したように、「採取される細胞量が圧倒的に多い」からです。
 ただし、『細胞診でクラス5というのは病理医は確実に癌と判断』しています。
 「細胞診でクラス5」⇒「組織診で良性」という結果を見て「まず疑う」のは「組織診でのサンプリングエラー」です。
  ○特に今回は(病変の描出が困難となりがちな)「乳頭付近」であることと、(的が小さい)「小さなしこり」であるということがあります。
 ◎通常は「組織診が圧倒的に信頼度が高い」のですが、「細胞診でクラス5の場合には、逆に「細胞診の方が信頼性が高い」と考えます。
 

私の結論

「細胞診でクラス5」となった場合には、「とことんまで癌を疑う」必要があります。
今回、もう一度「針生検」をしているのは当然の事です。
○それでは、「もしも今回の針生検でも良性ならば、経過観察でいいか?」これが最終的に問題となってくると思いますが、
 私の意見では『絶対に、経過観察では駄目』です。
○やはり、「病変が微妙」で「今回の針生検を行う医師もサンプリングエラーをする可能性」があります。
 その場合は『外科的生検』をすべきです。
★「細胞診でクラス5」というのは、それくらい「ほぼ癌を確信する結果」と考えて、(針生検で良性と出るなら)『外科的生検を行うべき』というのが私の結論です。
 
 

 

質問者様から 【質問2】

細胞診でクラス5→組織診で良性だった者です。
迅速丁寧なお返事ありがとうございました。
貴重なご意見感謝致します。
小さなしこりですが、自分で触った感じは1㎝くらいでしたが、
超音波検査で計ると
横が1.7㎝縦は8㎜の横長のしこりでした。
次はマンモトーム生検の予定ですが、もしかしたらそれでもわからないかもしれないと言うことですよね?
それで良性でも結局オペが必要となるならマンモトーム生検は受ける必要はあるのでしょうか?
超音波検査、マンモ、視触診でファーストオピニオンの乳腺外来の先生は「しこりなんてないよ?」とのこと。セカンドオピニオンの検診センターの先生も「良性だから心配ない」とのこと。
サードオピニオンでは視触診で「悪いものではなさそう」と、画像や視触診では全く問題なさそうでしたが、自分から希望して受けた細胞診でクラス5だと全てが悪性の疑いになってしまうのでしょうか?
すみません、長々と。すごく不安で、先生の回答がとても心強いです。
またお返事頂けたら幸いです。よろしくお願いいたします。
 

田澤先生から 【回答2】

 こんにちは。田澤です。
 1人の医師は「腫瘍は無い」他の2人は「良性」との見解ですね。
 しかし「小さなしこりですが、自分で触った感じは1㎝くらいでしたが、超音波検査で計ると横が1.7㎝縦は8㎜の横長のしこりでした。」とあるのを見ると、意外に大きなしこりなのですね。
 それであれば、「針生検で外しそうもない」気がしますね。

回答

「次はマンモトーム生検の予定ですが、もしかしたらそれでもわからないかもしれないと言うことですよね?」
⇒1cm以上あれば、通常は解ります。(私だったら、100%大丈夫です。というところです)
 
「良性でも結局オペが必要となるならマンモトーム生検は受ける必要はあるのでしょうか?」
⇒確かに、「細胞診のクラス5」をひっくり返すのはかなり困難です。
 現実に「腫瘍がはっきりしているのなら」最初から「外科的生検」も考慮されるべきです。
 
 ただ、(私は画像を見ていないので解らないのですが)担当医からすると「本当にこれが癌?」という所見であれば、「マンモトーム生検を自ら行い、自分の技術に自信があるならば、「(細胞診でクラス5とでていますが)組織診で良性なので、癌では無いと思います。経過観察しましょう」とする可能性はあります。
 
「自分から希望して受けた細胞診でクラス5だと全てが悪性の疑いになってしまうのでしょうか?」
⇒まるで「細胞診をしたことを後悔」されているようですが…
 もしも「本当に癌」だとしたら、大変な幸運なのです。
 早期発見を自ら導き出したとしたら、それは「奇跡的な幸運の持ち主」となります。
 
 

 

質問者様から 【質問3 細胞診でクラス5→組織診で良性】

細胞診でクラス5→針生検で良性だった者です。
先日はご丁寧なご意見ありがとうございました。
とても参考になり、心強く次の診察までを過ごせました。
ありがとうございました。
只今、ファーストオピニオンからセカンドオピニオン、現在はサードオピニオンのがんセンターでの再検査中です。
先日はがんセンターで画像一式撮り直し、
がんセンター2回目の昨日の診察の後にはマンモトーム生検をする予定になっていたのですが、
セカンドオピニオンの細胞診と組織診の検体をがんセンターで複数の細胞検査士や、医師たちが見直したところ、
細胞診はクラス5からクラス3bになり、
組織診はやはり良性の診断になり

がんセンターの先生は「細胞はクラス3bで、針生検は良性と出たけど、これから妊娠出産を考えると、今、はっきりなんなのか調べたほうがいいと思う」と。
(11月に結婚式を控えております。)
先日、がんセンターで取り直したマンモと超音波の画像+セカンドオピニオンから持ち込んだ画像一式を見ても「画像がしょぼい」とのことで、
「午後からのマンモトーム生検は中止。
まだやらずに次の診察の時にMRIをしてみよう」とのことになりました。
予約表を見るとMRIの次の週にマンモトーム生検の検査変更されていました。
マンモトーム生検の前にMRIに変更になったのは何故なのでしょうか?
先生はここまでの流れでどう思われますか?
このしこりががんだった場合の転移などもとても心配です。
しこりを見つけた4月からただただ不安な毎日です。
お返事頂けたら幸いです。
よろしくお願いします。
 

田澤先生から 【回答3】

 こんにちは。田澤です。
 随分、核心に近づくのに遠回りをしているような気がしますが…

回答

「細胞はクラス3bで、針生検は良性と出た」
⇒細胞診が「見直しでクラス3b」
 これの意味を御存じでしょうか?
 「細胞診でクラス3b」というのは「通常、乳頭腫以上の病変がある」ということです。
 「良性とされた針生検で採取した組織」の中に「乳頭腫などの病変があった」のでしょうか?
 やはり、「細胞診をクラス3bと見直し」したとしても、「針生検との乖離」は明らかです。
 
「これから妊娠出産を考えると、今、はっきりなんなのか調べたほうがいい」
⇒そもそも「細胞診と針生検での乖離(例え細胞診が5でなく3bだとしても)」を説明できなくては「確定診断」とは言えません。
 
「マンモトーム生検の前にMRIに変更になったのは何故なのでしょうか?」
⇒「大学病院とか癌センターなどではMRIが大好き」なのは知っているつもりですが、ここまで来ると私にはお手上げです。
 きっと、「MRIでも癌の疑いが低い」から「様子を見ましょう」とする根拠を作ろうとしていると思います。
○私には、それほどまでに「マンモトームを避ける必要性」を感じませんが…
 
「先生はここまでの流れでどう思われますか?」
⇒癌センターらしい「慎重な」時間をたっぷりかけた診療が続いていますね。
 完全に私の考えとは異なる流れとなっていますので、正直「私にはコメントしずらい展開」となっています。
 
 

 

質問者様から 【質問4】

先日MRIへ行ってきました。
マンモトーム生検の前にMRIを撮ったのはマンモグラフィーや超音波では画像が分かりにくい。
超音波で元々あったしこりに繋がってしこりのようなものがあるように写っているから、狙いを定めるためにもマンモトーム生検の前にMRIで確実な場所の組織を取るか決める為だったようです。
セカンドオピニオンで採取したクラス5の細胞診は調べ直し、細胞診はクラス3bで組織診で良性だったのですが、組織診の所見はセカンドオピニオンのときま今回も乳腺症や乳頭種とのことでした。
次はマンモトーム生検です。
しこりを見つけてから長く不安な時間を過ごしていておかしくなりそうで、がんセンターの先生に「私がもしがんだったら転移はしているのか?ステージは?」とお聞きしたのですが、
「まぁ、多分早期でしょうね。開けてみなきゃわかんない」とのこと。
「今はがんかどうか五分五分」とも言われましたが、不安です。
コメントしにくいと仰っておりましたが、不安でまたここに相談してしまいました。ごめんなさい、田澤先生のご意見を貰えたら幸いです。
 

田澤先生から 【回答4】

 こんにちは。田澤です。
 「細胞診はクラス3bで組織診で良性だったのですが、組織診の所見はセカンドオピニオンのときま今回も乳腺症や乳頭種」ということですが、同じ検体を調べても「ガンセンター」だから正しいというのは誤りです。
 「前の病院の病理医よりも、ガンセンターの病理医が上などと言う事は決して無い」のです。
○私のコメントといっても、
 「前の病院で悪性と言われた」⇒「ガンセンターでは良性と言われた」
 ガンセンターで「良性と言われたから安心」というような問題ではありません。
 一度、細胞診で「悪性」とでたものを「ガンセンターでクラス3bとなった」では解決しないのです。無論「画像がしょぼい」であっても「MRIを撮影」しても同じ事です。
 きちんとした精度で「マンモトームができるか?」でしょう。