[管理番号:9105]
性別:女性
年齢:35歳
病名:浸潤性乳管癌
症状:
投稿日:2021年1月12日
いつも参考にさせていただいております。
私のケースについて質問です。
【経緯】
・2020/09 乳房の左右差が気になりクリニック受診
・2020/10 精密検査(細胞診、MRIなど)後、確定診断
・2020/11 術前化学療法(DHP×4、FEC×4)
→現在DHP4クール目
【症状】
・目立つしこりはなく、皮膚の硬結、むくみあり
・診断ではT4N3M0、ステージⅢ
カルテに「炎症性乳がん疑い」の記載あり
・ER:+、PR:+、Her2:score3、Ki-67:40%
→細胞診による判定
【質問】
①9月は左右差のみで、精密検査の間に全体的な硬結および一部
発赤がでてきました。
MRIは線状に散らばっていて明確なしこりがないタイプと言われています。
乳腺内科の先生に見るなり「炎症性乳がん」と言われました。
こちらのコラムの30%以上の~に当たらない気がするのですが、本当に炎症性乳がんでしょうか。
②このままでは手術できず、術前化学療法しています。
治療方針に不満はないのですが、私のタイプ(ルミナールher2 )の場合、
pCRでも予後改善にならないとガイドラインで読みました。
どこを目指せば良いのでしょうか。
③加えて、このタイプは早期再発、脳転移も多いと聞きます。
これまで乳がん検診を受けたことがないのですが、検診は40歳からと思っていました。
自分の過去どこを反省するべきか分からないず、現実を受け止めきれません。
私に根治の可能性はありますか。
田澤先生からの回答
こんにちは田澤です。
「①9月は左右差のみで、精密検査の間に全体的な硬結および一部発赤がでてきました。
MRIは線状に散らばっていて明確なしこりがないタイプと言われています。
乳腺内科の先生に見るなり「炎症性乳がん」と言われました。
こちらのコラムの30%以上の~に当たらない気がするのですが、本当に炎症性乳がんでしょうか。」
⇒診察していないのでコメントは難しいですが…
違う(T4dではなく、T4b)ような印象です。
「②このままでは手術できず、術前化学療法しています。
治療方針に不満はないのですが、私のタイプ(ルミナールher2 )の場合、
pCRでも予後改善にならないとガイドラインで読みました。
どこを目指せば良いのでしょうか。」
⇒手術です。
根治の可能性が出てきます。
「③加えて、このタイプは早期再発、脳転移も多いと聞きます。
これまで乳がん検診を受けたことがないのですが、検診は40歳からと思っていました。
自分の過去どこを反省するべきか分からないず、現実を受け止めきれません。
私に根治の可能性はありますか。」
⇒勿論。
そのためにも「手術可能な状態」⇒「手術」を目指して頑張りましょう。
質問者様から 【質問2 】
抗がん剤の薬剤選択と乳房再建について
性別:女性
年齢:35
病名:左乳がん
症状:
投稿日:2021年1月19日
先日の質問にはご回答ありがとうございました。
DHP4クール終え、2月から薬剤が変わります。
そこで追加質問です。
①先生から当初はCEFの予定でしたが、CEFもECも予後に差がないのでECに変えましょうと提案がありました。
予後に差がないならどちらでも良いですか?
選ぶ決定打になるようなことありますか?
②春頃手術できそうな経過で、おそらく全摘とレベルⅢまでのリンパ節郭清になります。
・レベルⅢ郭清の場合リンパ浮腫が心配ですが、どのくらいの割合で発生しますか?
・できれば乳房再建もしたいのですが、ステージⅢ、術後放射線も予定されている場合、自家組織なら可能でしょうか?できるできないの決めては何ですか?
田澤先生から 【回答2】
こんにちは田澤です。
「①先生から当初はCEFの予定でしたが、CEFもECも予後に差がないのでECに変えましょうと提案がありました。
予後に差がないならどちらでも良いですか?
選ぶ決定打になるようなことありますか?」
⇒ECでいいと思います。(当院は最初からECです)
「②春頃手術できそうな経過で、おそらく全摘とレベルⅢまでのリンパ節郭清になります。
・レベルⅢ郭清の場合リンパ浮腫が心配ですが、どのくらいの割合で発生しますか?」
⇒基本的には、殆ど発生しません。
ただし、「術者側の因子」及び「患者さん側の因子(転移の状況)」によって確率は当然かわってきます。
「・できれば乳房再建もしたいのですが、ステージⅢ、術後放射線も予定されている場合、自家組織なら可能でしょうか?できるできないの決めては何ですか?」
⇒同時再建は非現実的です。(主治医からもそう言われることでしょう)
まずは命(根治)優先で
治療が終わって半年以上経ったら「2次再建」にしましょう。(自家組織なら問題ありません)
質問者様から 【質問3 】
サブタイプの変化について
性別:女性
年齢:35
病名:乳がん
症状:
投稿日:2021年6月28日
以前9105で治療について質問しましたが、手術不能が術前抗がん剤により手術適用となり、
先日乳房全摘出およびリンパ節郭清術を受けました。
病理の結果が出たのですが、ホルモン陽性→陰性に変わりました。
術後の治療について見解をお聞かせ頂けますでしょうか。
<病理結果>
残存浸潤径:2mm以下
ER,PgR:0(術前陽性→陰性に変化)
HER2:3+、Ki67:50%
リンパ節転移0/19
<質問>
①リンパ節転移は病理上消失していましたが、予後は良いと考えられますか?
②ホルモンが陽性→陰性になったのですが、これはどういうことでしょうか?術後ホルモン治療は必要でしょうか?
③当初カドサイラの予定でしたが、ハーセプチンに変更も検討されているようです。
治療が軽くなる?ことが不安ですが、
カドサイラでは過剰治療になりますか?
田澤先生から 【回答3】
こんにちは田澤です。
化学療法治療効果はGrade2b 極めて高度の効果 で大変良かったですね。
「①リンパ節転移は病理上消失していましたが、予後は良いと考えられますか?」
⇒pCR(Grade3)に近いわけだから期待できます。
「②ホルモンが陽性→陰性になったのですが、これはどういうことでしょうか?」
⇒2mmしか残っていなかったからだと思います。
「術後ホルモン治療は必要でしょうか?」
⇒化学療法前の方が正しいと考えます。
したほうがいいでしょう。
「③当初カドサイラの予定でしたが、ハーセプチンに変更も検討されているようです。
治療が軽くなる?ことが不安ですが、
カドサイラでは過剰治療になりますか?」
⇒pCR(Grade3)でなかったわけだからT-DM1の適応があります。
化学療法前の状況(ステージ)を考えれば「やるべき」でしょう。
質問者様から 【質問4 】
カドサイラと放射線の副作用について
性別:女性
年齢:36
病名:乳がん
症状:
投稿日:2021年8月10日
いつもお世話になっております。
術前抗がん剤→手術が終わり、7月からカドサイラと放射線治療を並行して行っています。
副作用はほとんどないと聞いていましたが、カドサイラ1回目は1日後、2回目は4日後に激しい嘔吐があり、脱水で二回とも緊急入院となりました。
カドサイラ2回目はコロナワクチン2回目の接種と重なり、38度の発熱もありました。
主治医からは熱中症もあったのか、治療が重なったのか、嘔吐について原因は特定されませんでした。
いずれも水分の点滴と吐き気止めで、数日後に退院しています。
ここで質問なのですが、
①カドサイラや放射線で、脱水になるほど嘔吐する副作用は出るものでしょうか?
②今後カドサイラに吐き気止めを加える予定ですが、それでも効果がなければハーセプチン+パージェタに変更も示唆されています。
標準治療はカドサイラですが、ハーセプチン+パージェタに変更した場合、再発リスクはどれくらい上がりますか?
田澤先生から 【回答4】
こんにちは田澤です。
「①カドサイラや放射線で、脱水になるほど嘔吐する副作用は出るものでしょうか?」
⇒T-DM1投与で、そんな副作用が出たことは見たこともありません。
ただ、通常「抗がん剤と放射線は併用しない」のが常識だし(当院では決して併用しません)、放射線との併用が影響している可能性もあります。(無論、この暑さも影響するでしょう)
「②今後カドサイラに吐き気止めを加える予定ですが、それでも効果がなければハーセプチン+パージェタに変更も示唆されています。
標準治療はカドサイラですが、ハーセプチン+パージェタに変更した場合、再発リスクはどれくらい上がりますか?」
⇒臨床試験ではあくまでも「trastuzumab vs T-DM1」です。
つまり、「trastuzumab + pertuzumab vs T-DM1」の比較はないのです。(故に「不明」です)