[管理番号:8529]
性別:女性
年齢:54歳
病名:乳癌
症状:左浸潤性乳管癌、リンパ節転移多数
投稿日:2020年5月13日
こんにちは。
先日(2020年5月(上旬)日)、母が田澤先生に乳がんの手術でお世話になりました。
この度はありがとうございました。
母はテープの締め付け感やかぶれが少し大変そうですが、術後まだ数日しか経過していないとは思えないほど、概ね元気に過ごしています。
さて、母ですが、しこりの自覚からおよそ半月で乳がんと診断され、術前の田澤先生の診察などで以下の様に診察されています。
・左乳癌(浸潤性乳管癌)
・原発の腫瘍が約3cm
・リンパ節転移多数(レベル1~3およびRotterにかけてゴロゴロ、レベル1,3には3cm大の腫瘍あり、鎖骨上リンパ節に5mm大の腫瘍あり)
・CT、骨シンチの結果、遠隔転移なし
・トリプルネガティブ
ステージは3Cということになると思います。
左乳腺全摘、リンパ節郭清を行い(取れるものは全て取ったと説明を受けました、ありがとうございました。)現在は病理結果待ちで、その後抗癌剤を開始する予定です。
(術後4週間待たなくても良いとは言われましたが、おそらく術後4週開始にすると思います)
そこでいくつか質問があります。
(術後の外来まで待てないこと、母の前では聞きづらい質問であるため、Q&Aで質問させていただきます)
①術後の治療は抗癌剤(アンスラサイクリン4クール→タキサン4クール)→放射線になると母が説明を受けたそうです。
以前「鎖骨上リンパ節の腫瘍は小さく放射線で十分コントロール可能」と診察で仰っていましたが、鎖骨上リンパ節転移が画像上認められる場合も放射線が後なのでしょうか?
抗癌剤が鎖骨上の腫瘍に効かず、抗癌剤治療中に鎖骨上の腫瘍が大きくなる、というようなことは起こり得ないのでしょうか?
②田澤先生の以前の記事で「トリプルネガティブで急速に増大する群は、初診でかなり進行した状態で見つかり、予後が悪いことが多い」というようなことをおっしゃっていたと思います。
(記憶違いでしたらすみません)
私の母は自覚から受診までの期間が短く、放置していたわけではないにもかかわらずステージ3で見つかった訳ですが、そのようなケースなのでしょうか?
③(私個人として)母の乳がんは、リンパ節転移がとても進んでいる割に、原発の腫瘍が小さいという印象を受けたのですが、これは単にリンパに行きやすかったというだけでしょうか?それとも、悪性度が高いのでしょうか?
④適切な治療を受けたとして、無再発率や生存率はどれくらいになるのでしょうか?
⑤先生の患者さんの中にも、同じような状況の方は沢山いらっしゃいますか?
また(先生の感覚として)同じような状況で再発無く元気に過ごしている患者さんはどれほどいらっしゃるのでしょうか?
これから長い治療と再発への恐怖が続くと思うととても辛いのですが、田澤先生に診てもらえる事を不幸中の幸いだと思い、家族一丸となって頑張っていきたいと思います。
何卒よろしくお願いします。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
「①術後の治療は抗癌剤(アンスラサイクリン4クール→タキサン4クール)→放射線になると母が説明を受けたそうです。
以前「鎖骨上リンパ節の腫瘍は小さく放射線で十分コントロール可能」と診察で仰っていましたが、鎖骨上リンパ節転移が画像上認められる場合も放射線が後なのでしょうか?
抗癌剤が鎖骨上の腫瘍に効かず、抗癌剤治療中に鎖骨上の腫瘍が大きくなる、というようなことは起こり得ないのでしょうか?」
⇒全く問題ありません。
鎖骨上リンパ節は非常に小さく、現時点で「局所治療(トモセラピー)を優先」する必要は全くありません。
「②田澤先生の以前の記事で「トリプルネガティブで急速に増大する群は、初診でかなり進行した状態で見つかり、予後が悪いことが多い」というようなことをおっしゃっていたと思います。
(記憶違いでしたらすみません)
私の母は自覚から受診までの期間が短く、放置していたわけではないにもかかわらずステージ3で見つかった訳ですが、そのようなケースなのでしょうか?」
⇒リンパ節転移は「急速増大」にはあたりません。
ご安心を。
「③(私個人として)母の乳がんは、リンパ節転移がとても進んでいる割に、原発の腫瘍が小さいという印象を受けたのですが、これは単にリンパに行きやすかったというだけでしょうか?それとも、悪性度が高いのでしょうか?」
⇒「リンパ節にいきやすかった」=「リンパ行性」と思います。
「④適切な治療を受けたとして、無再発率や生存率はどれくらいになるのでしょうか?」
⇒70%~80%と思います。
「⑤先生の患者さんの中にも、同じような状況の方は沢山いらっしゃいますか?
また(先生の感覚として)同じような状況で再発無く元気に過ごしている患者さんはどれほどいらっしゃるのでしょうか?」
⇒上記通りです。
70~80%は再発なく元気に過ごされています。
質問者様から 【質問2 】
母の乳がんについて
性別:女性
年齢:54歳
病名:乳がん
症状:左乳房充実腺癌ステージ3C、術後EC中
投稿日:2020年6月14日
こんにちは。
先日は診察ありがとうございました。
母の乳がんについてなのですが、病理結果が出まして、改めて先生にお聞きしたいことがいくつかあります。
母の前では聞きづらい内容であるため、外来で無くこの場を借りることをお許しください。
<これまでの経過>
2020年3月中旬 しこり自覚
4月中旬 他院にて乳がん告知、江戸川病院へ
4月下旬 CT,骨シンチ(異常なし)
5月上旬 手術(左乳房全摘出,リンパ節郭清レベル3)
6/4~ EC療法1クール目
現在は抗がん剤の副作用も軽く元気に過ごしております。
<病理結果>
左乳房 充実腺管癌
腫瘍径 41mm(皮膚浸潤あり(真皮まで))→pT2
リンパ節転移 34/34→pN3
ステージ3C
リンパ管侵襲ありly2
静脈侵襲ありv1
核グレード3(3+3)
ER 1%未満
PgR 陰性
HER2 陰性
→トリプルネガティブ
Ki67=68%
質問①
皮膚浸潤ありですが真皮までということでpT4で無くpT2と説明を受けました。
これは、腫瘍が皮膚に近かったために皮膚浸潤が起こったという解釈でよろしいでしょうか?
また、皮膚浸潤の有無は予後に影響ありますか?
質問②
静脈侵襲あり、グレード3、Ki67やや高値と、一見悪そうな要素が揃っています。
(これらは予後に大きく影響しないとは信じているのですが……)
病理結果が出る前の前回の質問で、無再発率は70~80%ほどになると回答頂きましたが、この病理結果を受けてもご意見は変わらないでしょうか?
質問③
Ki67の値はトリネガの中では通常程度と説明を受けましたが、それでも高値で増殖力は強めと思います。
予後の再発は特に術後何年ほど気をつければ良いのでしょうか?
また、抗がん剤治療中に再発するようなことは有り得ますか?
何卒、よろしくお願いします。
田澤先生から 【回答2】
こんにちは。田澤です。
「これは、腫瘍が皮膚に近かったために皮膚浸潤が起こったという解釈でよろしいでしょうか?」
⇒そう思います。
「皮膚浸潤の有無は予後に影響ありますか?」
⇒ありません。
皮膚を切除したから気にしなくてOKです。
「無再発率は70~80%ほどになると回答頂きましたが、この病理結果を受けてもご意見は変わらないでしょうか?」
⇒その通りです。(抗がん剤を完遂しての数値とご理解ください)
「予後の再発は特に術後何年ほど気をつければ良いのでしょうか?」
⇒まずは2年間、そして(次は)5年間です。
「また、抗がん剤治療中に再発するようなことは有り得ますか?」
⇒その心配はありません。(抗がん剤中は毎月、腫瘍マーカー取っているのでご安心を)
質問者様から 【質問3 】
術後DTX中の母の寝汗について
性別:女性
年齢:54
病名:左乳房充実腺癌ステージ3C、術後DTX中
症状:寝汗、不眠
投稿日:2020年9月6日
こんにちは。
いつも母がお世話になっています。
現在、母はEC4クールの治療を終え、DTX1クール目の11日目になるのですが、現在の母の症状で少し気がかりな事があり質問させてください。
薬剤をDTXに変えてから母は寝汗が酷く、汗が冷やされることで夜中に何度も起きてしまうようになりました。
また、ECの時に比べて寝つきが悪くなっているようです。
現在服用している薬はデカドロンとランソプラゾールなのですが、ドセタキセルやそれらの薬剤を調べても、寝汗や盗汗といった副作用は報告されておらず、この寝汗の原因は何だろう?とヤキモキしています。
(デカドロンには不眠の副作用があるようですが……)
この寝汗の原因は何でしょうか?
薬の副作用?あるいは、薬がホルモンなどに影響することによる更年期障害などでしょうか?
それとも、腫瘍由来など全く別の原因が考えられますか?
よろしくお願いします。
田澤先生から 【回答3】
こんにちは田澤です。
「この寝汗の原因は何でしょうか?
薬の副作用?あるいは、薬がホルモンなどに影響することによる更年期障害などでしょうか?」
⇒考えられるのは、おっしゃるように「薬の副作用=docetaxelによる水分貯留作用」や「(もともと更年期の時期に)化学療法閉経による症状」のどちらかでしょう。
あるいは(後者が主体で)両者合わさった症状とも思えます。
いずれdocetaxelが終われば軽減することでしょう。(化学療法閉経の症状も徐々に緩和されてくるため)
心配はありません。
「それとも、腫瘍由来など全く別の原因が考えられますか?」
⇒それはありません。
ご安心を。
★(術後)抗がん剤中に起こる様々な症状は、「抗がん剤によって引き起こされる(卵巣毒性も含め)症状」と考えるのが妥当です。
「病状進行による症状?」と考える必要は全くありません。