Site Overlay

追加切除後の断端陽性

[管理番号:7873]
性別:女性
年齢:43歳
病名:乳癌
症状:

今年3月に左胸上部に乳癌がみつかり、現在治療中です。

いつもこちらのサイトを参考に勉強させていただいていますが、どうしてもお伺いしたいことがあり質問させていただきました。
よろしくお願い申し上げます。

病期*ⅡA
浸潤径*2.2センチ
腋窩リンパ節*転移なし
血管侵襲*なし
リンパ管侵襲*なし
核異形度*1
組織学的異形度*1
ER*陽性
PR*陽性
HER2*陰性
ki67*37%
オンコタイプ再発リスク*28
断端*陽性(乳頭方向に陽性)

5月に温存手術→一部断端陽性+乳頭から出血が止まらないため追加切除→オンコタイプの結果を踏まえてTC療法4クールを現在受けています。

(10月の抗がん剤終了後、ホルモン剤を開始します。)

残念なことに、追加切除した部分の乳輪あたりの1箇所、少量ですが、断端陽性となってしまいました。

主治医としては、1箇所だし、少量であるので放射線+追加照射で十分ということですが、私としては放射線ではがんが消えたか確認ができないのが不安である旨を話したところ、考え方によるが、気持ち的な安心を求めるなら、予防も含め全摘+再建の方法もあると言われました。
いずれも局所再発率は変わらないので、私の気持ち次第ということです。
とても迷います。

そこで質問です。

①断端陽性+放射線(追加照射含む)は、断端陰性+放射線より再発率はあがりますか?

②局所再発率にグレードやki67,オンコタイプの数値は関係ありますか?
私の場合は再発しやすいですか?

③断端陽性+放射線+追加照射vs全摘は、本当に局所再発率に変わりはありませんか?

④2回も断端陽性とでてしまい、かなり落ち込んでいます。
でも再発をしないようにできる限りがんばりたいと考えています。
予防をふくめ、、
先生なら全摘を進めますか?放射線を進めますか?

⑤仮定の話ですが、、もし放射線を選んで局所再発した場合、それから全摘しても間に合うものなのですか?また全摘した場合再建は可能ですか?(放射線をした後に再建はできるのか?)

⑥今のところ再建はあまり考えていませんが、先生が考える再建のメリット、デメリットを教えてください。

的外れな質問もあったかもしれません。

お忙しい中、恐れ入りますが、ご教授のほど、よろしくお願い申し上げます。

 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。

「①断端陽性+放射線(追加照射含む)は、断端陰性+放射線より再発率はあがりますか?」
⇒それは当然です。

 そうでなければ「断端陰性にする意義がない」ことになりますよね?

「②局所再発率にグレードやki67,オンコタイプの数値は関係ありますか?」
⇒無関係。
 「局所」と「全身」は明確に分けましょう。

「私の場合は再発しやすいですか?」
⇒その「再発」とは??

 「局所」再発率は、断端陽性であれば、やや高いでしょうし、「全身(遠隔転移)」再発率は2A期(しかも1期に近い)のだから、かなり低いでしょう。(OncotypeDXに記載がありますよね??)

「③断端陽性+放射線+追加照射vs全摘は、本当に局所再発率に変わりはありませんか?」
⇒全摘すれば「局所再発率はゼロ」になりますよ?

「予防をふくめ、、先生なら全摘を進めますか?放射線を進めますか?」
⇒局所再発率に拘るのであれば…

 当然「全摘」を勧めます。

「もし放射線を選んで局所再発した場合、それから全摘しても間に合うものなのですか?」
⇒勿論、その通りです。

 それが大前提なのです。
 温存術とは、(もしも温存乳房内再発しても)そこで全摘すれば予後が同じなので成り立つのです。

「また全摘した場合再建は可能ですか?(放射線をした後に再建はできるのか?)」
⇒皮膚の伸びなど不利な点がありますが、筋皮弁(自家組織再建)ならばそれ程問題はないでしょう。

「⑥今のところ再建はあまり考えていませんが、先生が考える再建のメリット、デメリットを教えてください。」
⇒メリットは「乳房を失う喪失感の解消」 デメリットは「それに伴う煩雑さ(手術や術後のメンテナンス)」