Site Overlay

浸潤性小葉癌 皮膚乳頭温存乳房切除 断端陽性時の対処

[管理番号:7113]
性別:女性
年齢:48歳
病名:浸潤性小葉癌
症状:

昨年12月末に右胸の皮膚乳頭温存の乳房切除をしTRAM flap(お腹のお肉を使った)
による同時再建を行いました。

こちらはカナダ在住で、色々不安もあるのですが、他の先生に簡単にセカンドオピニオンを聞くことも出来ず不安を抱えています。

助言を頂けるとありがたいです。

ステージ2
浸潤性小葉癌 Multi focal Invasive Lobular Carcinoma
腫瘍のサイズ 最大1.5cm
腫瘍の数 6
Glandular(Acinar)/Tubular Differentiation : Score 3 Nuclear Pleomorphism : Score 2 Mitotic Rate : Score 1 Overall Nottingham Score : Grade 2 Pathologic Stage : mpT1c pN1a

断端陽性 部分的な露出 Anterior-Superior margin focally positive for ILC
残りは少なくとも5mm以上のマージンあり

乳頭コア生検 Right nipple core biopsy
微細な小葉癌が乳頭の底部に見られた
Although there is no carcinoma present in the right nipple core biopsy, a shave section of the presumed nipple base area shows a small focus (0.9mm) of microinvasive lobular carcinoma in a background of lobular neoplasia.

リンパ節
センチネルノードバイオプシー 5つ切除、1つにがん細胞あり
Extranodal extension : not idenified
リンパ管浸潤なし

ER Positive
PR Positive
HER2 Negaive
Ki67 は検査の精度にばらつきがあるのでこちらでは検査しないそうです。

手術の結果、断端が陽性と出ました。
マージンが少ないのではなく、露出があったようです。
ただし、断端陽性の場所はAnterior-Superior(前面上?)のFoccalyPositive(部分的)ということで、皮膚と乳頭のみ残した手術ですので、再手術はせず今後はキモセラピーを4か月間行い、その後放射線治療とホルモン療法と言われました。

断端陽性のあった場所が皮膚側なのでこれ以上の切除は難しいだろうという見解でした。
残った小さい癌の正確な場所を突き止めて切除することは可能なのでしょうか?
また、乳頭底部の生検の結果に癌細胞があったのも気になります。

キモセラピー+放射線治療、ホルモン療法とフルセットになるようですが、これらを行って残ったと思われるがん細胞への対処は適切と言えるでしょうか?
せっかくの再建手術も無駄になりそうですが、外科的な手術にこだわって取り切った方が良いのでしょうか?

 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。

「残った小さい癌の正確な場所を突き止めて切除することは可能なのでしょうか?」
→突き止めることは不可能です。
 方法は2つ
 1.慎重に経過をみて、(怪しげな結節が出た時点で)躊躇なくその部分の皮膚を切除する。
 2.病理所見から類推して「ここに、ちがいない!」という部分の皮膚を切除する。

「キモセラピー+放射線治療、ホルモン療法とフルセットになるようですが、これらを行って残ったと思われるがん細胞への対処は適切と言えるでしょうか?」
→抗がん剤や放射線をする根拠が全くない!

「せっかくの再建手術も無駄になりそうですが、外科的な手術にこだわって取り切った方が良いのでしょうか?」
→私からみれば…

 (根拠のない)抗がん剤や放射線をするのではなく、①『ホルモン療法のみで(皮膚に結節が出ないか?)厳重に経過をみる』か、(そもそも多発病巣なのだから「乳頭乳輪温存自体、リスクが高い」ので)②『きちんと全摘(この際に、それらしい部分の皮膚も切除)」する』かの2択とします。