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乳腺症で血性乳頭分泌

[管理番号:6786]
性別:女性
年齢:36歳
病名:乳腺症
症状:

田澤先生、どうぞよろしくお願いします。

5年前、2人目の授乳期に右乳腺D領域に短期間で2cm程度のしこりができ、大学病院にて組織診にて良性と診断を受けました。

今年4月、3人目の授乳を終え、
6月に5年前にできたしこりの下に1cm程度のしこりを発見しました。

すぐに同大学病院を受診。

①エコー②マンモ(石灰化)
③細胞診(間質細胞と軽度核肥大異型上皮細胞→乳管過形成疑い、良悪識別困難)
④造影MRI(右D領域T2WI高信号、造影ダイナミック増性の増強、拡散強調像高信号→DCIS疑い)
⑤組織診(免疫の検査?CK14.P63.CD10→乳腺症と診断)
※組織診の際、エコー上と触知する位置が違うとかなり苦戦された様で先生が2人変わり、組織診を一旦中断して検査室でエコーとって頂き指示書を見ながら組織診されていました。

※しこりは、17mm(穿刺1ヶ所)、6×4mm(穿刺3ヶ所)です。

上の経過で8月に診断をうけ経過観察となり安心していたのですが、
9月に入り単孔性の血性乳頭分泌がある事(絞るとコーヒー様もの)と乳頭の上方に1cm程のえくぼが目立ち不安になりました。

これは組織診の影響(1ヶ月経過)によるものなのでしょうか?

乳腺症でも血性乳頭分泌やえくぼはできますか?

乳癌、乳管内乳頭腫、生検後以外で単孔性の血性乳頭分泌がある場合はありますか?

ない場合、やはり乳癌を疑い摘出生検を考えていた方がよいのでしょうか?

今、病院予約が3週間先しかとれず待っている状態です。

 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。

正直な話、その大学病院で2人がかりで行った組織診の結果は「確定診断とは程遠い」ものだと思います。
今回、それとは別に注目したのは「腫瘤の位置」です。

「5年前、2人目の授乳期に右乳腺D領域に短期間で2cm程度のしこり」
「6月に5年前にできたしこりの下に1cm程度のしこりを発見」「乳頭の上方に1cm程のえくぼ」

→腫瘍はD領域(外下方)にあり、その「えくぼ」は乳頭の上ですね?

 その「えくぼ」は「5年前から自覚してきたシコリ達」とは全く別の部位(乳管系)のようです。
 それを考えると、その「えくぼ」は、「一連の腫瘍とは無関係」のようなので単に組織診(ばね式なのか、MMTEなのか不明ですが)によってできた瘢痕による「引き攣れ」と考えても良さそうです。
  ♯組織診の針は「しこり」を貫いて、その先まで達するため、D領域のしこりを貫いた針の先端による瘢痕では?

「9月に入り単孔性の血性乳頭分泌がある事(絞るとコーヒー様もの)」
「これは組織診の影響(1ヶ月経過)によるものなのでしょうか?」

→たしかに、組織診の際にできた血腫が「溶けて出ている」可能性はあります。

「乳腺症でも血性乳頭分泌やえくぼはできますか?」
「乳癌、乳管内乳頭腫、生検後以外で単孔性の血性乳頭分泌がある場合はありますか?」

→血性乳頭分泌自体は、「乳腺症」でも起こるし、(組織診後の)「血腫が溶けること」でも起こります。
 ただ、その場合には(当然ですが)「いずれは(血腫が溶けきって)出なくなる」ことで鑑別できます。(乳管内の腫瘍によるものであれば、継続します)
 
 ★だから、(私がこのQandAで口酸っぱく言っているように)分泌で重要なのは「血性かどうか?」ではなく、その『継続性』なのです。

「やはり乳癌を疑い摘出生検を考えていた方がよいのでしょうか?」
→根拠がありません。

 ★むしろ、「血性乳頭分泌は継続するのか?」経過をみるべきです。
 「血性」だからといって、緊急性がある(3週間、待てない)という考え方は誤りなのです。

「今、病院予約が3週間先しかとれず待っている状態」
→正直な感想として…

 「3週間待つ」ことには全く不安はない(緊急性は決してありません)が、その大学病院の診断能力の方に疑問があります。(余計なコメントだったら、申し訳ありません。忘れてください)