[管理番号:6615]
性別:女性
年齢:49歳
先生の豊富なご経験、確かな知識、明快なご回答(かつ前向きになれる)に私もまたおすがりしたく、質問させていただきます。
〇再発とは
「ステージ1」でも5%程度(5%はうろ覚えですが)は再発(局所再発ではなく遠隔転移)する。
と先生の回答で拝見しました。
再発してしまうのはどのようなケースでしょうか。
・定期健診にいかず、局所再発を見逃し、それが遠隔転移につながるケース
・グレード(悪性度が高い)によるケース
ほか、予測不可能でしょうか。
〇治療法について
小さくして温存、の目的がない限りまずは手術先行。
その後、サブタイプに応じた再発予防の全身治療を行う。
悪性度、進行度が強いから抗がん剤、弱いからホルモン剤、ではなく
サブタイプによる「効く・効かない」で治療法が決まる。
今週のコラム 131回目 「進行しているから」と言う理由で「効かない筈の治療に我慢する」それでいいのですか? (付記)「ホルモン療法と抗癌剤」は全く別の作用であり、「強い、弱い」ではないのです。
と、その関連のコラムやQ&Aを熟読し、理解したつもりですが
本来抗がん剤が効かない(適用がなく)、ホルモン治療のルミナルAでもリンパ節転移が4個以上あると抗がん剤の適用となる、という記載が通院している病院の冊子にあり、先生もそのようにご回答されていたと思います。
これはどのように考えたらよいのでしょうか。
リンパ節転移は(たとえそれが微小でも)不安材料であり
ないに越したことはないが、予後因子(のひとつ)ではあるものの治療法には関係しない、ということは理解しているつもりでおります。
どうぞよろしくお願いします。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
「〇再発とは 「ステージ1」でも5%程度(5%はうろ覚えですが)は再発(局所再発ではなく遠隔転移)する。」
「再発してしまうのはどのようなケースでしょうか。」
「ほか、予測不可能でしょうか。」
→印象で言えば…
同じステージ1でも「5mmよりは2cm」ということです。(それでも確率的には低いですが…)
「・定期健診にいかず、局所再発を見逃し、それが遠隔転移につながるケース」
→局所再発から遠隔転移というケースは、それほど多くはない筈です。
「・グレード(悪性度が高い)によるケース」
→あまり関係なし。
「本来抗がん剤が効かない(適用がなく)、ホルモン治療のルミナルAでもリンパ節転移が4個以上あると抗がん剤の適用」「先生もそのようにご回答」
「これはどのように考えたらよいのでしょうか。」
→以前にも、全く同様のQに回答した記憶があります。(質問者を責めているわけではなく、皆さんが同じように疑問を感じるところなのです)
理由1)歴史的背景
サブタイプの考え方は、最近(ここ10年)の考え方です。
その前には「リンパ節転移=抗がん剤」という時代が長かったのです。
人間、そう簡単に「手のひらを反すように」変えられないのです。
理由2)ステージが上がるから
単純に「リンパ節転移4個以上=pN2=ステージ3A」となります。
ステージが高い=再発率は(ステージが低い人より)当然上がります。
再発率が高いのに抗がん剤を勧めないのは(医師として)勇気がいるのです。
☆私のスタンスも微妙に変化していて(気付いているかもしれませんが)
「St.Gallen」のvotingにより「ルミナールAでもリンパ節転移4個以上は抗がん剤すべき」と回答していましたが、
その後、「2015年SABCSで発表されたDBCG77B第3相試験]の結果や、OncotypeDXによる実績などから「リンパ節転移4個以上に拘らない」ようになっています。
♯ただし、リンパ節転移4個以上でグレーゾーンの場合にはOncotypeDXをしないのであれば積極的に抗がん剤を勧めています。(もしもルミナールBの場合の「上乗せ」が大きくなるからです)
「リンパ節転移は(たとえそれが微小でも)不安材料」
→もしも本当に不安なら・
担当医自身に「半年に1回」程度のエコーをしてもらうことです。