[管理番号:6089]
性別:女性
年齢:55歳
身長145cm 体重43㎏
体力不足気味
2018/02/(下旬) 検査結果を主治医より伝えられる
浸潤癌 ER(-) PR(-) HER2 検査中(次回3/6にわかる)
MMG:左内側の乳がん
US:同様
骨シンチ:転移なし
CT:cT3(6cm)cN0 M0 Stage2B
左肺上葉の3mmの小結節1つ→経過をみる
MR:娘結節あり。
乳頭下まで伸展→術前化学療法を薦められる
乳がん卵巣がんの家族歴あり。
田澤先生、初めまして。
乳がんとの宣告を受け色々なサイトを見ていたところ、乳がんプラザにたどり着きました。
腫瘍の大きさや位置から手術は全摘。
サブタイプについては、Her2
リッチかトリプルネガティブのどちらかです。
主治医は、どのみち抗がん剤治療は必要なので、先にやったらどうか、
不安だったら手術を先にする、との事でした。
手術と抗がん剤治療については、順番を前後しても半年間であり、どちらを先にしても再発率は同じであると説明されました。
抗がん剤を術前にするか術後にするかの選択を迫られております。
また、半年前に転んで左胸を強打したので、それが原因で細胞ががん化し、しこりが出来、固くなっていったという自分の考えがあります。
主治医は、ある程度進んでいるので目に見えないがんの根治が問題で、
それには術前化学療法をしっかりやる事が一番重要。
がんの大きさから予測すると、手術だけでは7割再発するが、抗がん剤治療で再発率は3割5分まで下がる。
これが我々のできること。
現代医学の限界でもあると説明して下さいました。
治療が始まれば途中で止めると効果を得られないようなことも活字で目にしまして、納得して治療に入りたいため、田澤先生の考えをお聞かせ下さい。
尚、術前に抗がん剤をやることにより、抗がん剤の効果が目に見えて判るので、がんの縮小具合により今後の再発率の予測がつくと言われております。
完全に消えた場合はかなりの確率で再発が出ないとの予測もつくし、仮に縮小したが完全に消えなかった場合、更に半年間、薬を使うことで再発率が低くなるとも言われております。
Q1 私の検査結果から、田澤先生のご経験なら、手術のみでは何割の再発率とお考えでしょうか?
Q2 全摘手術後、画像で見える転移がないため、抗がん剤治療はしない、という選択について田澤先生のご意見をお聞かせください。
Q3 術前の抗がん剤を薦められておりますがこのQ&Aを読んで術前の化学療法に該当しないと認識致しました。
主治医にはどう話せば良いでしょうか?
次に、抗がん剤治療についてお伺いします。
自分にとっては好きな音楽を聴くことにより血流が良くなる気がしており、よく音楽を聴いています。
Q4 仮に音楽を聴くことにより血流が良くなると仮定した場合、抗がん剤がより活発に体中を巡ってしまうのでしょうか?
抗がん剤が爪に作用してしまい爪に障害が出ることもあるそうなので、血流が良くなるような事は避けるべきなのでしょうか?
Q5 抗がん剤を投与中、仮に抗がん剤が効かなくなってしまった場合、血流が良くなれば、再び効くようになることは考えられますか?
Q6 精神的に弱いので副作用が強く出た場合、抗がん剤の投与量や回数を減らす事はできますか?
Q7 親族に乳がん、卵巣がんに罹患した者が居ます。
Her2陰性で
あった場合、治験に参加し、遺伝子検査を受けて欲しいと言われていますが治験に参加するべきでしょうか?
Q8 針生検で、しこりが固くて針が曲がってしまい採取できなかったのでかなり太い針(4mm)で7~8回刺して組織を採取しました。
採取した先生も驚いていたのですが、このような固いがんは悪性度は高いのでしょうか?また、術前化学療法で縮小したり消える可能性はあるのでしょうか?
以上です、よろしくお願いします。
田澤先生からの回答
今日は。田澤です。
「また、半年前に転んで左胸を強打したので、それが原因で細胞ががん化し、しこりが出来、固くなっていったという自分の考え」
⇒それは、あまりに「奇想天外」なので(絶対にそんなことはありません。
癌は最初から癌であり、良性が癌になることもなければ、癌が良性になる事も無いのです)
「見えないがんの根治が問題で、それには術前化学療法をしっかりやる事が一番重要」
⇒「術前にやっても、術後にやっても同じ」と、いう担当医自身の発現と矛盾してますが…
「納得して治療に入りたいため、田澤先生の考えをお聞かせ下さい。」
⇒私が「小さくして温存」という(真の)目的以外で術前化学療法をすることは決してありません。
「目に見えない…」云々は、「抗癌剤は術前にやっても、術後にやっても予後は同じ」という事実と真っ向から矛盾していることに、その担当医は気づいていますか??
★それよりも、術前抗がん剤は「必ず効くとは限らない」もしも効かなければ「手術不能」という「非常に厄介な事態」に直面することとなります。
もしも術前抗がん剤を(どんな理由であれ、行う事は質問者の自由ですが)行うのであれば、必ず3週間に1回は主治医自身にエコーで(効果を)確認してもらうようにしましょう。(手遅れと言う事態を回避するために)
「Q1 私の検査結果から、田澤先生のご経験なら、手術のみでは何割の再発率とお考えでしょうか?」
⇒手術病理も出ていない状況で「再発率」など解りません。
手術病理が解ってから考えるべき事です。
「Q2 全摘手術後、画像で見える転移がないため、抗がん剤治療はしない、という選択について田澤先生のご意見」
⇒そのような選択肢をされる方(ルミナールタイプだけどホルモン療法をしないという方も、考え方は同様)は時々いらっしゃいます。
「手術自体せずに治療放棄(民間療法に没頭することも含め)」する方は受け入れることは絶対にできませんが、「手術はするが、術後の薬物療法(放射線も含む)はしない」というのは「個人の選択の範囲内」と考えています。
「主治医にはどう話せば良いでしょうか?」
⇒単純に…
全摘希望だから、術前抗がん剤の適応外だから、手術先行します。でいいのです。
「抗がん剤がより活発に体中を巡ってしまうのでしょうか?」
「抗がん剤が爪に作用してしまい爪に障害が出ることもあるそうなので、血流が良くなるような事は避けるべきなのでしょうか?」
⇒考え過ぎです。
「Q5 抗がん剤を投与中、仮に抗がん剤が効かなくなってしまった場合、血流が良くなれば、再び効くようになることは考えられますか?」
⇒無関係です。
「Q6 精神的に弱いので副作用が強く出た場合、抗がん剤の投与量や回数を減らす事はできますか?」
⇒結果的にそうなることは、あります。
「Her2陰性であった場合、治験に参加し、遺伝子検査を受けて欲しいと言われていますが治験に参加するべきでしょうか?」
⇒ご本人の利益にはならないでしょう。
「このような固いがん」
⇒たんに、技術の問題でしょう。
「悪性度は高いのでしょうか?」
⇒考え過ぎです。
「また、術前化学療法で縮小したり消える可能性はあるのでしょうか?」
⇒30%以上縮小するとPRと呼ばれ、(画像上)消失するとCRと呼ばれます。
質問者様から 【質問2 】
抗がん剤について
性別:女性
年齢:55歳
こんにちは
先月質問をさせて頂き、田澤先生のアドバイス通り手術先行で3月下旬に手術を行って頂きました。
私も本心は先に手術をしてもらいたかったため、田澤先生のアドバイスにより勇気を出して主治医に伝えることができ本当に有難う御座いました。
手術は左乳房全摘+センチネルリンパ生検により転移が見つかったため、左脇リンパ節をレベル1,2まで郭清されていました。
先日、病理結果が出たとの事で主治医にその説明を聞いてきました。
術式 全乳房切除(左) + リンパ節郭清
術後病理診断
癌の種類 浸潤癌
浸潤径 3.0cm pT2
リンパ節転移 11個中2個 pN1
遠隔転移 なし cM0
病期 2B期
乳房への照射 不要
脈管侵襲
リンパ管 ly2
静脈 v1
がんの生物学的特徴
癌の悪性度(組織学的異型度) 2
増殖能(Ki67) 61%
Her2発現 あり(3+)
ホルモン受容体
エストロゲン受容体 陰性
プロゲステロン受容体 陰性
でした。
今後の治療は術後補助療法として、抗Her2の標準治療である
1アントラサイクリン系(CEF) 3週間に1度、4回
2タキサン系(タキソテール+ハーセプチン) 3週間に1度、4回
3ハーセンプチンのみ 14回
を勧められました。
病理の説明時、浸潤癌としか書いてない理由は病理の先生が小葉癌か硬癌か迷っているため、との説明でした。
そして、そのどちらの癌であっても今後の補助療法は同じとのお話でどちらのタイプの癌であるのかは教えてもらえませんでした。
Q1.私としてはやはり気になる事なので、次回診察時にでも聞いておくべきでしょうか?
補助療法についてですが、非アントラサイクリン系であるタキサン系+ハーセプチンの是非をお聞きしたところ、
浸潤径2cm以下でリンパ節転移が無い場合はパクリタキセル+ハーセプチンだけでも良いと思うが、浸潤径3cmでリンパ節転移があるので適応外であるとのお話でした。
Q2.田澤先生でしたら、術後補助療法としての抗Her2療法としては、
どのような基準で抗がん剤を選択するのかをお聞かせ頂けますでしょうか。
私としましては、抗がん剤は怖いという気持ちが強く、どうしても抗がん剤が必要との場合でも、より副作用の少ないものがあればそちらの抗がん剤への変更を主治医に検討してもらえないか、聞いてみようと思っておりますので、またまたアドバイスをよろしくお願いします。
田澤先生から 【回答2】
今日は。田澤です。
「Q1.私としてはやはり気になる事なので、次回診察時にでも聞いておくべきでしょうか?」
⇒「追加免染(E-cadherin)しているでしょうから、聞いておくといいでしょう。
(特に意味はありませんが)
「Q2.田澤先生でしたら、術後補助療法としての抗Her2療法としては、どのような基準で抗がん剤を選択するのかをお聞かせ頂けますでしょうか。」
⇒厳密な基準はありませんが…
質問者には「非アンスラサイクリンレジメンでいい」と思います。