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肉芽腫性乳腺炎について

[管理番号:5982]
性別:女性
年齢:35歳
はじめまして。
よろしくお願いいたします。
去年11月に右胸に鈍い痛みを感じ、生理が遅れていたためそのせいだと思いそのままにしていました。
11月末に生理がきたあとも痛みが続き、12月あたまに胸のしこりに気づきました。
すぐ近隣の乳腺外来を受診して、マンモとエコーの結果『乳腺症』だろうとのことで抗生物質を飲んで経過観察になりました。
1月(上旬)日に再度エコーで診察したところしこりがやや大きくなっていることいびつになってきたこと、皮膚に赤みが一部でてきたことなどから乳ガンの疑いがあるとのことで細胞検査しました。
(中旬)日に出た検査の結果は『肉芽腫性乳腺炎の疑い』でした。
一先ずガンでないことに安心したのですが、その日のエコーで膿がたまっていたので注射針で膿をぬきました。
今通っている先生は、肉芽腫性乳腺炎の場合ステロイドを使うらしいがリスクがあるので使いたくないとのことでとりあえず抗生物質をまただされました。
病名をきいて自分なりに調べたところ、先生のブログでもステロイド治療が効果的のように思い、細胞検査の傷跡から出血もしたため(下旬)日再度受診しステロイドを使いたいと伝えてみました。
先生の説明は、乳腺の治療でステロイドを
あまり使わないことや副作用(胃潰瘍や顔がむくむなど)のこと、今膿がたまっているので切開排膿してそれでも効果がなければにしないかとのことでした。
ステロイドのせいで膿がたまっているところが悪化するかもしれないとも言われました。
確かに(中旬)日に注射で膿を一部とってから、
圧迫感や痛みが少し和らいだように感じてます。
でも切開してチューブを刺すことが
少し怖いのと、細胞検査の小さな傷がしばらくくっつかないことから切開したらさらに傷が治らないんじゃないのかと不安です。
良性疾患で今痛みも落ち着いているので、
切開する前にそちらの病院を受診できたらと考えています。
どうか御意見いただけますでしょうか。
よろしくお願いいたします。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
肉芽腫性乳腺炎について、(それを理解していない)乳腺外科医が「どう言う治療をして、(その結果)どのような状態になっているか?」
前医で大変な思いをして、(当院を受診し)当院で診療している同疾患の方を数多く(あくまでも乳がん専門の筈の私が何故こんなに全国からの肉芽腫性乳腺炎の方を数多く診療しているのか時々「途方に暮れる」ほど)見ているので、了解しています。
「でも切開してチューブを刺す」
「切開したらさらに傷が治らないんじゃないのかと不安」

⇒「ドレナージ(チューブを刺す)」も「切開」も全く不要です。
 私は(冒頭でコメントした通り)「前医でおかしな治療をされた」数多くの肉芽腫性乳腺炎の患者さんを見ていますが…
 (前医で)すでに切開されている患者さんを見る事は珍しくありません。(結局「切開」など何の意味も無かったわけですが)
 最終的に、ステロイドで治癒するのですが、(一度切開された傷は)当然ながら(切開された創は)「元には戻りません」
★外科医の習性として「感染して膿瘍を形成したら切開しろ!」というものがあります。
 我々乳腺外科医も元は一般外科医だったので、研修医時代に(そのことを)叩きこまれます。
 ただ、「肉芽腫性乳腺炎は感染ではない」のです。
 「壊死組織を外へ出す」ことで「一時しのぎ」となることはありますが、本質的な意味はありません。
 『肉芽そのものを除去する』しかないのです。
 外科医にとって「ステロイド」を使う習慣がない(唯一の例外は「抗癌剤の副作用予防での使用」くらいです)ので「膿があるのに、なぜステロイド?」みたいに躊躇する乳腺外科医も多いのが現状です。(成功体験がないから尚更でしょう)