[管理番号:5933]
性別:女性
年齢:45歳
田澤先生はじめまして。
乳がんと診断されてからこちらで学ばせていただいていました。
先週、質問を送信したのですが回答公開がまだなかったので、携帯からの送信だったためフォームがエラーになって届いていないのかも、と思い再度送信させていただく次第です。
これまでの経緯と病理結果です。
30代から集団検診で1,2年毎にマンモグラフィーを受けていました。
40歳で要精密検査になりましたが、一番細い針での検査の結果、乳がんではないとの診断。
2年ほど前の結果通知から高濃度不均一と注意書きが付記されるようになりました。
今思えば、高濃度乳腺だから見えにくいとのことだったのですね。
現状です。
先月、全摘出手術を終え、病理結果がでました。
あまりの腫瘍径の大きさに愕然として精神的にも落ち込みがひどく苦しんでおります。
検診を受けていたからと自覚するしこりを長年にわたり放置していたことを本気で悔やんでおります。
まだまだ生きていたいのです。
どうぞよろしくお願いします。
Left breast,Total mastectomy
Invasive ductal carcinoma, scirrhous type,size:80x25mm,f,ly(+),v(-),
pT3 、pN1(1/11),Histologic grade2(3+2+2=7) {Immunohistochemistry}
ER(+,90%) PgR(+80%),Ki-67 index10%
腫瘍は乳管より発生し、脂肪組織へ浸潤している。
腫瘍はクロマチンの濃い異型細胞が主に索状構造を形成しながら増速浸潤する像を認める。
浸潤性乳管癌、硬癌の像である。
リンパ管侵襲像を認め、センチネルリンパ節に転移を認める。
静脈侵襲像は明らかでない。
LN{Sentinel 1/1、Level Ⅰ+Ⅱ 0/10}
Her2はまだ結果がでていません。
術前ではFishにて陰性でした。
①主治医は私の不安が大きい性格を見抜いているのでステージ2とおっしゃってますが、腫瘍径、リンパ節に転移もありステージ3になりますか?
②腫瘍をスライスした画像コピーを見せてもらいました。
腫瘍が8cmと長いせいか1cm幅ほどのカットのようです。
こちらで読んだ回答ではほかの方はほぼ5mmぐらいで顕微鏡していたと認識しているのですが、1cmでの観察で静脈侵襲の見落としの可能性はないのでしょうか?
これだけ大きいしこりなのだからすでに血行転移している可能性はかなり高いでしょうか?
③ルミナールAではありますが、ステージ、しこりの大きさ、悪性度より、術後の治療に
は放射線、ホルモン治療、プラス化学療法をしたほうがよいと田澤先生はお考えになりますか?
これまでの回答からはルミナルAには化学療法の上乗せはないので不要、とおっしゃっているのは知っていますが、これだけ腫瘍が大きいケースはあまり見当たらなかったと思うので、しつこいようですがお聞かせください。
④この進行度だと再発転移の確立は何パーセントぐらいでしょうか。
判定ソフトではこの大きさでは出せないかと思いますので、田澤先生の感覚的なものでも構いません。
死刑宣告を受けたような気持ちで、家族の手前、日々自分を保つのが精一杯です。
どうか前向きに治療に向かえるよう助言をお願いします。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
「先週、質問を送信したのですが回答公開がまだなかったので、携帯からの送信だったためフォームがエラーになって届いていないのかも、と思い再度送信させていただく次第」
⇒そのようです。
私は「全てのQに解答」しています。
(個人的な話ですが)私は「例外が極めて嫌い」なのです。
「①主治医は私の不安が大きい性格を見抜いているのでステージ2とおっしゃってますが、腫瘍径、リンパ節に転移もありステージ3になりますか?」
⇒その通りです。ステージ3Aです。
「これだけ大きいしこりなのだからすでに血行転移している可能性はかなり高いでしょうか?」
⇒冷静になりましょう。
3期の5年生存率は70%を超えています。(場合によっては80%)
「血行性転移の可能性がかなり高い」というのは何を根拠にしていますか??
「ルミナルAには化学療法の上乗せはないので不要」
⇒その通り、明らかなルミナールAです。
心配なら「OncotypeDX]してみましょう。
「これだけ腫瘍が大きいケースはあまり見当たらなかったと思うので、しつこいようですがお聞かせください。」
⇒私が何例手術していると思っていますか??
10cmを超える浸潤径など「珍しくもなんともない」ですよ。
「④この進行度だと再発転移の確立は何パーセントぐらいでしょうか。判定ソフトではこの大きさでは出せないかと思いますので、田澤先生の感覚的なものでも構いません」
⇒私の印象では…
20%以下だと思います。
浸潤径8cmといえども、「知っていて放置していた」人達とは全く異なります。
(現実には「乳がんと承知していて長年放置している人も少なくはないのです)
質問者様から 【質問2 皮膚転移でしょうか?】
性別:女性
年齢:48歳
*****
年齢が前回は45歳、今回は48歳になっています。
*****
田澤先生 おはようございます
管理番号(5933)で回答いただいた者です。
いつもどのような質問にも、どのような状況にも誠意のこもった的確な返答をしてくださり、ありがとうございます。
自分のステージもわかり、今できる治療をひとつひとつ取り組もうと気持ちを立て直すことができました。
毎日、更新を待つようにして全部読んでおります。
最近では週末のコラムも今度のテーマはなんだろうと心待ちにもしております。
その後、ルミナルAではありますが腫瘍が大きくステージも進んでいること、センチネルに転移があったことなどから、私自身納得のうえでTC療法を受けています。
今回、皮膚のことで心配があり質問させてください。
乳癌告知の少し前から乳房上部分の胸全体(デコルテ)にニキビのような湿疹が20個ほど広範囲にできておりました。
色は赤、大きさ1~3ミリくらい。
固くはない。
範囲は右肩先から~左肩先までの広い範囲です。
皮膚再発は患側だけに起こると考えていましたし、手術→抗がん剤とこなすことに精神的にいっぱいだったのて、
これを乳癌と関連づけして考えていなかったのですが、抗がん剤2クール目のいま、それらの湿疹がきれいにひいて治ってきました。
何ヵ月もずっと増えず治らずであったのにすうっと治ってきた感じです。
質問は
①これは抗がん剤が効いている=乳癌皮膚転移の湿疹なのでしょうか?
皮膚再発は患側の乳房や胸壁から発生するけれど、皮膚転移の場合には反対側の胸元や肩先ぐらいまでに起きるケースもありますか?
②腫瘍が大きい状態でしたが手術先行で全摘しました。
その時点ですでに乳房内が相当な浸潤具合で、近辺の皮膚に転移をしていた可能性はありますか?
バネ式針生検を二度やっていて、その頃から湿疹がではじめたので、いま思うと針生検でガン細胞が広まったのかな、と素人考えで思いました。
もちろん確定診断のために必要ですからこの検査をしたことを後悔はしていません。
③もしその場合には、いまの術後補助としているTC ×4クールをすることで皮膚転移の治療ともなるのでしょうか?それとも再発転移としてまた別の抗がん剤やホルモン治療をずっと続けるのでしょうか。
今後の治療計画は抗がん剤が終わったら、腫瘍が大きかったため放射線(胸壁+鎖骨上)、ホルモン10年です。
皮膚のことなので実際に見てみないと、田澤先生としても困るかとは存じますが、前回の相談での進行具合、サブタイプ、状況からの可能性的なものでもかまいません。
ストレートな見解をいただければありがたく存じます。
よろしくお願いいたします。
田澤先生から 【回答2】
こんにちは。田澤です。
手術前からの「皮膚転移?」など全くナンセンス。
皮膚転移(実際には皮膚転移は局所再発の一つ:手術時に腫瘍皮膚に残存していた癌細胞が顕在化したもの)が手術前から存在しているという、その概念自体ナンセンスです(主治医に言えば、笑い飛ばされるでしょう)
「①これは抗がん剤が効いている=乳癌皮膚転移の湿疹なのでしょうか?」
⇒違います。
「皮膚転移の場合には反対側の胸元や肩先ぐらいまでに起きるケースもありますか?」
⇒全くナンセンス
皮膚転移と皮膚再発を区別する事自体全くナンセンス
「近辺の皮膚に転移をしていた可能性はありますか?」
⇒ありません。
皮膚に「転移」という概念が誤りです。
「ストレートな見解」
⇒手術前からの「皮膚転移」という概念が全くナンセンスです。
余計なことを考えずに、納得した術後補助療法を完遂しましょう。