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温存手術後の全摘手術について

[管理番号:5901]
性別:女性
年齢:65歳
初めて質問します。
昨年7月に右乳頭より赤茶色の分泌物にあったので、受診しました。
 検査の結果、この分泌物から癌は確認できませんでしたが、左右乳房の上部に石灰化があることと、右乳房に浸潤性乳管癌が判明しました。
(検査は、ぜんそくがあるため、造影剤はせず)
 11月初め、部分切除、センチネルリンパ節生検を行いました。
この結果TIaNOMOステージ1LuminalBLiketype
 浸潤部分は0.1ミリ、細胞の顔つきおとなしい、核異型度普通、
 核分裂像目立たない、細胞の増殖率Ki67、ホルモン感受性陽性、
 エストロゲン91,09%、プロゲステロン0,00
 HER2 陰性、 リンパ節転移 陰性、浸潤部はごくごく小さい範囲であったが、しこりの周りに非浸潤癌(根っこ)が広がっており、切除した範囲の際まで続いていたため、残してきた乳腺にも残っている可能性ありといわれました、ただ、切り取った場所(体の中の上下左右)の4か所の検査からは、癌は出ませんでした。
今後の治療として、乳房全摘も視野に入れて考えてくださいと言われました。
やっと、温存手術も無事終わり、ほっとしたところで、また再手術(それも全摘)にびっくりしています。
放射線治療、ホルモン療法では無理でしょうか。
よろしくお願いします。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
まずは(血性分泌があったことにより)早期発見となったことを純粋に喜ぶべきです。(シコリとして自覚するよりも「1年位は早期発見」となっています)
また「浸潤部分は0.1ミリ」は(T1aではなく)T1mi(微小浸潤)となります。 ♯T1miは 浸潤径≦1mmのことをいいます。
本来「血性分泌(おそらく単孔ですね?)」があれば(分泌液の細胞診など無関係に)、その「乳管の走行」を乳管造影で確認しつつ手術をしていれば「断端陽性」は防げたかもしれません。
「しこりの周りに非浸潤癌 (根っこ)が広がっており、切除した範囲の際まで続いていたため、 残してきた乳腺にも残っている可能性ありといわれました、ただ、切り取った場所(体の中の上下左右)の4か所の検査からは、癌は出ませんでした。」
⇒この表現からは、「断端陽性」ではなく「断端近接」ということのようです。
 実際の「癌の拡がり」がどの程度なのか(この場では)不明なので判断はできませんが、「ある一方向だけ」の近接ならばいいですが、「もしも、全ての方向に近接している」ような場合には追加手術(全摘)も考慮しなくてはならないと思います。
「放射線治療、ホルモン療法では無理でしょうか」
⇒拡がりの程度で判断すべきです。
 もしも「全方向に近接するほどの拡がり」ならば、全摘した方が安全です。(T1miで全摘すれば、非浸潤癌同様「根治」となります)
 ただ、「一方向のみの近接」ならば放射線照射(Boost+)でもいいでしょう。
(ホルモン療法は副作用の観点からT1miでは私は行いません)
 その場合には主治医にきちんと「超音波で経過観察」を半年に1回程度は行ってもらいましょう。(乳房内再発は、その際に全摘すれば「最初から全摘と同じ」なのです)
 
 

 

質問者様から 【質問2 温存手術後の全摘手術について】

性別:女性
年齢:65歳
再質問です。
浸潤癌(0.1ミリ)手術の結果、このしこりの周りに非浸潤癌(根っこ0.01ミリ)が広がっていたため追加全摘を
するかどうかでご質問しましたが、、手術はしない選択をしました。
(この広がりは一方向ではなく点々と散らばっていたようです。)
今現在は放射線照射(25回)を受けています。
追加のポイント照射(5回)はしません。
今後は、ホルモン療法(タモキシフェン5年間)の服用が始まる予定です。
(標準治療?)
前回先生のご回答の中で「ホルモン療法は副作用の観点からT1miでは私は行いません」というお言葉がありました。
私としては、正直なところ5年間も服用することに心配があります。
経過観察でいけるならと思う反面、副作用があったとしても予防として服用すべきなのか選択できずにおります。
ホルモン療法の、メリットデメリットについてもう少し詳しくご教示ください。
よろしくお願いいたします。
 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。
「ホルモン療法の、メリットデメリットについてもう少し詳しくご教示ください。」
⇒メリット:再発率を下げる
 
 デメリット:副作用(関節痛などの副作用、骨密度低下)
       経済的負担(ご自身だけでなく、保険医療財政)
 ★良く考えて貰えば、解りますが…
  メリット>デメリットのケースとは 「再発率が高い場合」となりますね?(再発率がもともと低い症例で行うと、「メリット<<<<デメリットとなるのです)