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手術後のしこり、痛み

[管理番号:167]
性別:女性
年齢:54歳
昨年5月に左乳房部分切除手術をうけました。
術前は非浸潤癌と言われていましたが、術後の病理にて20%の浸潤部分があり、充実腺官癌、T1N0M0、
断端陰性、ki67,4.7%
ホルモン受容体で現在放射線治療を経てゾラテックス
1か月製剤、タスオミンを服用しています。
CYP2D6の遺伝子検査をうけました、注意という検査結果となり、子宮筋腫も大きくなってきていたので婦人科の先生とも相談してゾラテックスをスタートしました。
現在6回目の注射がおわりました。
ホットフラッシュと血圧の上昇の副作用がでています。
2月中旬に切除部分の左上側にしこりを発見し予約外に受診をしました。動くしこりらしく(この場所には乳腺はないと言われました)、
現在は針生検はできないといわれました。要観察ということです。脂肪の塊かもしれないとも言われました。しこり部分および手術した乳房がずっと鈍痛やら
痛みがあり、不安です。
また右側も手術前のMAIできになる陰が2つあり針生検した結果異常なしということで要観察になっています。
手術入院中から右側の乳房や脇が痛いと、ずっと主治医や看護師にも伝えてきましたが、エコー検査からも異常なしとのことです。
4月30日に術後1年の検査があります。
しこりと痛みに明確な答えがなく不安です。
主治医の先生はほとんどPCの画面を見てお話されるし、先生自ら胸に触診されることがありません。
予約外にしこりができて受診した際は、神経質すぎると言われ、胸の痛みを伝えることができませんでした。
昨日から、咳がでてきて、よけい心配がつのっています。
術後のしこり、また胸全体の痛みはほっておいていいのでしょうか?
(2015年3月の質問)
 

田澤先生からの回答

 こんにちは。田澤です。
 「術後10カ月」ですね。
 文面を拝見しますと、「手術前からの不安」(右側の痛みやしこり)と「2月中旬に自覚した左上側のしこり」どちらも解消されずに不安な状態が続いている事を大変お気の毒に思います。
 本来、「患者さんの不安を解消すること」も重要な医療なのですが… 配慮が足りない面があるようです。

回答

「切除部分の左上側にしこり」
⇒(この場所には乳腺はない)というコメントからすると、「鎖骨の少し下」あたりでしょうか?
 脂肪腫の可能性が高そうです。
 
「現在は針生検はできないといわれました」
⇒針生検はできると思います。 
 
 また局所麻酔下に「摘出」する事も容易です。
 「要観察などとせずに、確定診断すること」こそが「不安を解消する」最善の方法と私は考えます。
 
「しこり部分および手術した乳房がずっと鈍痛やら痛みがあり、不安です」
⇒「手術した乳房の痛み」は術後疼痛と思います。(個人差があり、長期間鈍痛が継続する事も珍しくはありません)
 「しこり部分の痛み」しこりが何であるのか?にもよりますが、ステージⅠ期で(内分泌療法感受性があり)内分泌療法中に、再発する可能性はとても低いと思います。
 
「しこりと痛みに明確な答えがなく不安」
⇒「しこり」については「針生検もしくは、摘出」して確定診断することが重要
 「痛み」に関しては、「術後の疼痛」と「(右側などは)女性ホルモンの刺激による正常乳腺の痛み」だと思います。
 
「術後のしこり、また胸全体の痛みはほっておいていいのでしょうか?」
⇒「術後のしこり」については、良性(脂肪腫など)の可能性が高いと思います。
 ただ、場所的に不安の原因になっているのであれば、私であれば「局所麻酔下に摘出」を提案します。
⇒「胸全体の痛み」は「女性ホルモンの刺激や、術後疼痛の範囲内」と考えられます。
 ステージ1で内分泌療法感受性陽性であれば、再発リスクは低いです。
 
「先生自ら胸に触診されることがありません」
⇒これはどういう事でしょうか?
 「術後のしこり」とか、「右側の(術前に針生検した)しこり」の診察は誰がしているのでしょうか?
 まさか、「技師さんのエコー」した写真を見るだけ? なのでしょうか?
 
◎主治医の「不安に対して応える」という積極的姿勢に欠けている態度が気になります。
 あまりにも不満が大きい場合には転医もひとつの方法です。