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3cmの葉状腫瘍について

[管理番号:4957]
性別:女性
年齢:25歳
5月上旬に右胸しこりに気づき、乳腺科を受診しました。
エコーにて2.7cm×2.6cmの腫瘍が確認でき、後日に針生検。
結果が「葉状腫瘍の疑いあり。良性か悪性か判断できないグレーゾーン(境界)」と伝えられ摘出手術が決定。
6月上旬に局部麻酔で1cmのマージンをとって摘出しています。
(摘出時の大きさは左程変わりなく、3cmあるかないかでした)
8日後に抜糸で来院し、この日には病理検査結果がでるだろうと医師に言われていたのですが
「まだ結果でてないんだよね。簡単なもの(良性か境界なら?)ならすぐ来るんだけど…複雑な病変かも」と言われ今は検査結果が出るのを待っています。
焦り、ストレスになるのはよくないとわかっているのですが、もし悪性だったら…と不安でたまりません。
調べると悪性葉状腫瘍の場合、乳房全摘や肺転移する場合もあると知りました。
いざ病院に行くと動揺からなのか、聞きたいことがうまく聞けなくなってしまう性分です…。
3cmは葉状腫瘍としてはまだ小さいほうのようですがもし悪性と診断され医師から経過観察のみ言われた場合追加でマージン確保のための再手術を申し出るべきなのでしょうか?
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
「もし悪性と診断され医師から経過観察のみ言われた場合追加でマージン確保のための再手術を申し出るべきなのでしょうか?」
⇒そうすべきです。
 悪性葉状腫瘍の場合には(癌よりも)「寧ろ大きなマージンが必要」です。(悪性葉状腫瘍は局所が全てだからです)
 
 

 

質問者様から 【質問2】

田澤先生、先日はお早い回答ありがとうございます。
引き続き、先生のご意見を聞きたく思います。
葉状腫瘍の病理結果が境界型でした。
切除材料検体:40×35×20 / 腫瘍サイズ:27×22×16
間質成分の細胞密度は中等度、核分裂像は目立ちませんが周囲脂肪組織・乳腺組織に浸潤性増殖を示します。
よってborderlineと判定します。
また、乳管成分の腺上
皮が目立ち、一部成分に異型を認めます。
腫瘍の間質成分の一部が切除縁に達します。
<5/50 HPF;間質の過成長なし;成長パターン
invasive;壊死なし;異種成分なし
Surgical margin: positive(see comment)
間質一部が切除縁に2か所、どちらも1~2mmの幅です。
(足が伸びたような、出っ張って断端に向かってる)
「腫瘍の断面ではない。悪性なら追加手術するけどこれは必要な状況じゃない」と3か月ごとの検診を伝えられました。
私としては追加でとっておけば再発リスクが全然違うのではと不安です。
他にも切除縁に達していないとはいえギリギリな所も。
術後の形について質問していましたし、変形を気遣って頂いたのかもしれませんが。
主治医とは別に院長先生にも不安を述べましたが頷いてもらえず「どこ受けても同じように言われるだろう」と。
1)この結果から追加なしでいいのか?この結果は追加を見送る医師のほうが多いものなのでしょうか。
完全切除が重要だという意見を田澤先生含む他で多く目にする反面、2人の先生から心配しすぎだと、検診が大事だと言いきられて混乱します。
2)再手術した方がよい場合、何か月までが目途でしょうか?(6月上旬に初回手術)
3)セカンドオピニオンで「追加したほうが良い」という意見をもらい、それを元に同じ医師に執刀をという事も考えています。
(手術跡がわかりやすいと思いますし、無理であれば転院という形で)
江戸川病院へSOすればその意見をもらえる結果でしょうか?
長文失礼します、よろしくお願い致します。
 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。
「borderline malignancy」
とても重要なところです。
葉状腫瘍は癌ではありません。
「局所が全て」なのです。
○ただし、3cmの境界悪性葉状腫瘍の再手術となれば、乳房の変形は覚悟が必要です。
 もしも乳房の形に拘るのであれば(主治医のいうように)経過観察しかありません。
 ♯想像してください。
  初回の手術で3cmの腫瘍に2cmのマージンを付けることと、(術後の状況で)「マージン分を確保するような追加手術」では、(結果として)「同じ切除にはならない」のです。
  
  つまり「再手術」では「どこまで取ればいいのか?」不明瞭である以上、「大きめに取らざるを得ない(中途半端な手術では再度断端陽性のリスクがある)」のです。
「1)この結果から追加なしでいいのか?」
⇒(追加しないと)borderline malignancyでは再発のリスクがあり、(再発した際には)グレードアップして「malignant phyllodes tumor」となってしまうリスクはあります。(主治医に、その可能性の認識はありますか?)
「この結果は追加を見送る医師のほうが多いものなのでしょうか。」
⇒実態は解りません。
 ただ、(質問者と同様に悩んで)当院を受診される患者さんは、(主治医が)「経過観察を勧めて、手術は頑として行わない」ことに悩んでいることは事実です。
 ♯そもそも「手術を見送らない医師」に診てもらっている患者さんは当院を受診しない(その場合、私が認識できない)ので、そこでバイアスがかかっているのです。
「再手術した方がよい場合、何か月までが目途でしょうか?」
⇒つい最近のQandAでも回答していますが…
 3カ月程度が目安です。
「江戸川病院へSOすればその意見をもらえる結果でしょうか?」
⇒その通りです。