[管理番号:4931]
性別:女性
年齢:36歳
ホルモン受容体ER90% PR60%、HER2陰性、
Ki67値10.2% 、病理学的悪性度1でルミナルAタイプと診断されました。
AB領域で、腫瘍は12mm程で、温存手術の後、放射線治療とホルモン療法の予定です。
3cm程、円柱にくりぬく手術になると主治医に言われました。
今は手術前です。
◯切開について
胸の内側に傷が入るのが気になったため主治医に相談したら、胸下の溝に沿って切る方法もあると言われました。
この場合、傷口は大きくなるとのことでした。
先生も、胸の下溝に沿って手術されることもありますか?
この方法も一般的でしょうか。
本屋等で調べて見ても、この方法が見つからなくて、ふと不安になりました。
また、傷痕は決して消えないのでしょうか。
整容性が保たれるという言葉は、個人差はもちろんあるとはいえ、パット見て、変形とは思わないという程度でしょうか。
◯ホルモン療法について
ホルモン療法は、エストロゲン等の影響を受けないようにするもので、がん細胞を死滅させるものではないとの理解で良いでしょうか。
であれば、ホルモン療法を休んで妊娠する事に不安は残るのですが、休薬して妊娠することで、問題(再発、転移)が起きた方は、いらっしゃいませんか。
◯放射線治療について
術後に卵子凍結を予定しています。
ですが、病理結果が出れば放射線治療が始まります。
場所が違うとはいえ、この時期が重なると、
やはり問題でしょうか。
どうしても気になり、質問させていただきました。
どうか宜しくお願いします。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
「先生も、胸の下溝に沿って手術されることもありますか?」
⇒基本的には行いません。
腫瘍が乳腺の下方にある場合の選択肢にはなります。
「この方法も一般的でしょうか。」
⇒一般的なやり方の「一つ」です。
「また、傷痕は決して消えないのでしょうか。」
⇒その通りです。
癌の治療だという意識は必要です。
そこで誤ると、(癌は進行性なので)「後戻りできない窮地」も存在するのです。
「整容性が保たれるという言葉は、個人差はもちろんあるとはいえ、パット見て、変形とは思わないという程度でしょうか。」
⇒そういうことでです。
「変形とは思わない」=「形が保たれる」ということです。
「エストロゲン等の影響を受けないようにするもので、がん細胞を死滅させるものではないとの理解で良いでしょうか。」
⇒(もしも、死滅しなければ)ホルモン療法で現実に、ホルモン療法を行う事で「生存率が上がる」ことをどう説明しますか?
「休薬して妊娠することで、問題(再発、転移)が起きた方は、いらっしゃいませんか。」
⇒それが原因という方はいらっしゃいません。
ホルモン療法をやってても再発する人もいれば、無治療で再発しない方もいらっしゃいます。
原因を特定することは不可能です。(それを解決するには大規模臨床試験で差がでるのかを調べるしかないのです)
「場所が違うとはいえ、この時期が重なると、やはり問題でしょうか。」
⇒推奨はされません。