[管理番号:4903]
性別:女性
年齢:45歳
乳腺外科クリニック(個人病院)にて、エコーで1センチほどのしこりが見つかり、穿刺吸引細胞診をした結果、C5でした。
本クリニックでは手術ができないため、
総合病院に紹介状を書いてもらい、経皮針生検検査、CT、MRIの検査をしました。
しかし、これらの検査で悪性像は認められず、乳がんの確定診断には至りませんでした。
その後マンモトーム生検をしましたが、やはり悪性像は認められず確定診断には至りませんでした。
はっきり確定診断がでないままでは不安であったため、摘出生検を行いました。
結果、腫瘍はIntraductal
papilloma、No evidence of malignancyと確定診断されました。
(所見:標本の12、14では、乳管内に乳腺上皮が増殖し、乳頭状構造や小腺腔、癒合様腺腔を形成するのを見る。
軽度の核腫大を散見する。
乳腺上皮の2層性は概ね保たれている。
以上の所見により、Intraductal
papillomaに相当する組織像と考えられる。
背景の乳腺組織には、乳管の拡張やリンパ球浸潤を散見する。
ごく一部には乳管上皮の過形成を伴う。
いずれにも悪性像はない。)
乳がんではなかったと安心した半面、最初の検査で悪性の細胞があったのだから、やはりがん細胞が存在したのではないか。
だとしたら部分切除後の放射線治療等必要ではないか。
また、手術はあくまで確定診断のための腫瘍切除であったため、乳がんの切除手術の際行われるというセンチネルリンパ節生検をしていないが、よかったのか・・・と少しの不安が残っています。
ちなみに最初にクリニックでC5の診断が出た検体のプレパラートは、手術をした総合病院の病理医からも悪性の判定がでています。
穿刺吸引細胞診でC5、しかし切除生検の結果良性、ということはあるものなのでしょうか。
逆はありそうな気もしますが・・・。
穿刺吸引細胞診で検体の取り違えでもあったのではないか、とまさかとは思いつつも疑ってしまいます。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
かつて「針生検が無い時代(一般化したのは、ここ15年位です)」には当然、細胞診だけで確定診断だったわけですが(今思えば、病理医も大変だった筈です)
1%の偽陽性(本当は癌では無いのに、癌と言う診断となること)が存在していました。
○昔の症例を紐解くと「癌と思って手術したけど、乳腺症だった。良性で良かったね。と言われた」というものが散見されます。
勿論、今のような「裁判の時代」にはありえないような話しであり、(針生検など組織診が一般化された以上)「細胞診だけで癌と診断して手術をする」ことは危険極まりないことなのです。
その意味で、質問者は(細胞診でクラス5と出た後に)正しい過程(針生検⇒マンモトーム⇒外科的生検)を辿ったと言えます。(私個人的にはマンモトームで100%確定診断となりそうですが、細胞診でクラス5が出たことでより慎重になる気持ちも良く理解できます)
「穿刺吸引細胞診でC5、しかし切除生検の結果良性、ということはあるものなのでしょうか。」
⇒上記の通りです。
あるのです。
だから、今回のような「正しい過程が重要」なのです。