[管理番号:4842]
性別:女性
年齢:45歳
はじめまして。
乳がんと診断され、治療方法について悩んでおります。
現在の診断は以下の通りです。
T2N2-3a
HER2 score0
ER score3b
PgR score3b
<MRI結果> l
右乳房 C領域、後方、Mass(+)23x29x18(D)mm
Kinetic curve assessment
1. Initial Phase c.Fast
2. Delayed phase b.Plateau
NTD 44㎜、DSを疑うenhancement(+)
<超音波検査結果>
C領域に17x17x10㎜大のlow echoic lesion
近傍に12xmm8x8㎜大のlow echoic lesion
乳頭方向に明らかなDSは認めません。
NTD59㎜程度と保たれています。
Rt Ax(Level I)に31x18x10㎜大までのLNを2個認めます。
Rt Ax(Level Ⅱ)に8×6㎜大までのLNを3個認めます。
Rt Scに6x6x4㎜大のLNを認めます。
Rt Ax(Level Ⅲ)、Rt PsとLt側に明らかな腫大するLNは認めません。
主治医、腫瘍内科医より、術前化学療法6か月
(AC+DorP)をすすめられております。
ただし、ルミナルタイプのため、抗がん剤は効きにくい。
しこり等のサイズが、大きくならない限り(縮小、現状維持)の場合は、抗がん剤を最後まで、大きくなった場合は、途中で手術になる。
(稀に大きくなり手術が出来なくなることもあるが少ない)
と説明を受けております。
先に手術をしない理由を尋ねた所、年齢的なこと、転移の疑いがある鎖骨まで取り切れないので先に抗がん剤で小さく(消えるかも)、また全身にあるかもしれないがん細胞を潰したい、術後だと抗がん剤の効果が分からないといった回答でした。
ホルモン陽性ということで、ホルモン剤の治療は平行して行えないのか?と聞いた所、副作用が強くなる、ということで抗がん剤治療の後になるとのこと。
抗がん剤が効きにくいタイプ(大きくなり手術不可になることもある)であるのに、なぜホルモン剤ではなく抗がん剤を先にするのか?
ホルモン剤治療をしながら、先に手術をして、術後に抗がん剤ではだめなのか?
といったところが、とても気になっております。
抗がん剤への抵抗があるため、あまり効かないと聞くと、そのために半年も?辛い副作用もあるのに?と思わずにいられません。
上記の診断を見て、先生でしたらどういった判断をされますでしょうか?
どうぞよろしくお願いいたします。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
質問者が、このQandAを(ある決心をもって)読破したなら…
私が「小さくして温存」以外の目的の術前化学療法は決して認めていないことが、すぐに解ると思います。
「先に手術をしない理由を尋ねた所、年齢的なこと、転移の疑いがある鎖骨まで取り切れないので先に抗がん剤で小さく(消えるかも)、また全身にあるかもしれないがん細胞を潰したい、術後だと抗がん剤の効果が分からないといった回答でした。」
⇒担当医の(これらの)「しょうもない理由」については、このQandAで再三コメントしましたが…
1.とにかく術前術後の抗癌剤は「行う抗癌剤が決まっているので、効果を見る意味がない」
2.「全身の癌細胞うんぬん」は全く根拠がなく、それを言えば(もしも抗癌剤の効果が不十分であった場合に)「目に見えるしこりを身体に長期間残したまま治療をすることによるリスク(シコリから新たな転移がおこる可能性)」がある。
「抗がん剤が効きにくいタイプ(大きくなり手術不可になることもある)であるのに、なぜホルモン剤ではなく抗がん剤を先にするのか?」
⇒術前ホルモン療法は(効くとしても)パワーが不十分なので、基本的には勧められません。
「ホルモン剤治療をしながら、先に手術をして、術後に抗がん剤ではだめなのか?」
⇒それでいいのです。
「上記の診断を見て、先生でしたらどういった判断をされますでしょうか?」
⇒私であれば…
全く「術前化学療法」など考えもしません。
手術先行で、鎖骨上は放射線照射します。
其の上でサブタイプに応じた術後療法を行います。(術後に抗癌剤が必要となるかもしれません)