[管理番号:4773]
性別:女性
年齢:33歳
田澤先生、こんにちは。
いつも参考にさせていただいてます。
5月(上旬)日に左乳房温存術センチネル生検を受けました。
以下が病理結果です。
腫瘍の大きさ 23×16×12
リンパ節転移なし (0/1)
ステージ2A
組織学的異形度 Ⅱ 静脈侵襲が軽度みられます。
浸潤がん (硬がん)
Ki-67 labeking index:28.2%
ハーセプテスト 0
今後の治療としては、放射線25回。
部分切除でがんはとりきれてると判定されたため。
ホルモン療法
・ゾラデックス又はリュープリン(2年)
・ノルバデックス(5年)
質問は、この治療法に抗癌剤をプラスするかどうかです。
担当医も微妙なラインだから、決めかねるといっており強いて気になるとすれば年齢と、28%の数値くらいかなと。
30%超えてれば抗癌剤適用らしいです。
実費でOncotypeDxっていう検査方法もあるけど…と。
あとは、ご自身の判断で考えてきてって言われました。
術前の診断でホルモン受容体でステージ1だったので抗癌剤は、まったく考えておらず
今もどちらかというとしなくても大丈夫かなと思ってはおりますが、先生のご意見も聞きたく質問させて頂きました。
どうぞ、よろしくお願いします。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
「担当医も微妙なラインだから、決めかねるといっており強いて気になるとすれば年齢と、28%の数値くらいかなと。」
⇒年齢は気になりませんが…
「28%が微妙なライン」という感覚は、私と同様です。
「実費でOncotypeDxっていう検査方法もあるけど…と。」
⇒それが最も確かな方法です。
「術前の診断でホルモン受容体でステージ1だったので抗癌剤は、まったく考えておらず」
⇒私の感覚では…
この場合ステージは無関係です。
ステージ1でも(もしも)ルミナールBならば化学療法が勧められるからです。
○「ハイリスクだから抗癌剤を行う」というのは過去の話です。今は「効くのなら抗癌剤を行う」というように頭を切り替えましょう。(それを明確にするのがOncotypeDXなのです)
質問者様から 【質問2】
田澤先生、こんにちは。
前回はお忙しい中回答ありがとうございました!
Q&Aやコラムを拝見して、乳がんの知識を深めていけている気がしますし、希望が持てます。
その中で、確認も含め再度聞きたい事があり質問させて下さい。
同じ様な内容かもしれませんが、よろしくお願いします。
前回の質問で今後の治療に抗癌剤を入れるかどうか迷っていましたが、
やはりオンコタイプDxを受けることにしました。
前回の結果でp90 e90
が抜けてました。
私は、どうしても確定しないとしたくないという思いが強いためです。
主治医はしなくても大丈夫だと思うよ。
上乗せ効果もそこまでないからねと。
統計ソフト?の数値を出してくれました。
先生がいつも出してくれているものだと思います。
再発率と、生存率の比較です。
一応、ルミナールAだからといってくれましたがむしろ家族が心配しており、納得させるためにも確定させようと思いました。
(母が子宮体がんで若くして[40歳前半]亡くなっているので仕方ないとこではあります)、オンコでハイリスクになったら私も効果があるわけですから、きちんと受けるという事で決まりました!
そこで、再確認ですが結果で、ハイリスクになった場合のみ化学療法が適応という事で大丈夫でしょうか?
コラム53.69.70も読みましたし、中間リスク以下は、ベネフィットなしと解釈してますがそれでよろしいですか?
確かに、同じ中間リスクでも21%と29%の数値だと迷いがでるのではないかと。
やはり、主治医なども先生がよくおっしゃるようにオンコをしても迷うこともあるよと言います。
でも、グラフで見るとハイリスクの場合のみ大丈夫だと思っています。
コラムを読んでハイリスクになってもそれは効くわけだから前を向いて行えそうです。
そして、もし抗癌剤となった場合はTC?4がベストでしょうか?
そして、上記した様に母が子宮体がんで亡くなっており私自身も多嚢胞性卵巣症候群の診断を受けており27、28歳の頃は無月経のときもありました。
デュファストンを度々服用し生理をおこしていました。
乳がんが見つかった時はホルモン剤飲んでたからか?などと疑いましたが、最初のクリニックのドクターにまだ、そういうデータはないし、たばこ吸ってる人が必ずしも肺がんにならないでしょ?と言われそうだなと思いました。
ここ一年はダイエットの効果もあり体質改善を意識していたからか生理は戻りましたが排卵はしていないようです。
元々、子宮体がんリスクがあると思うのですが、ホルモン治療で偽閉経することやホルモン治療で子宮体がんリスクは上がりますよね?
私は、より注意した方がよさそうですか?
かかりつけの婦人科に3か月くらいの間隔で検診してエコーみるから大丈夫だよと言ってもらってますが、婦人科フォローはみなさんどのくらいしているのでしょうか?
ホルモン治療ですが、ゾラデックス2年。
タモキシフェン5年。
タモキシフェンなんですが、ジェネリック[MYL]を処方される予定です。
ノルバデックスとの違いはありますか?内容は同じなのでしょうか。
がんセンターははじめからジェネリックの方針の様です。
私は、あまりジェネリックは好きではなかったので。
30前半、半ば、40歳などで処方は変わりますか?
ちなみに、出産経験はなく、ゾラデックス2年が終われば一度休薬して不妊治療しようかなと思っていたりします。
先生も同じ様な処方でしょうか?
長くなりすみません。
私は、3月半ばに自分で左乳房のしこりに気付き下旬に家の近くのクリニック(行田クリニック、マンモまであるのに全然混んでおらずラッキーでした 余談でした。)で触診、エコー、マンモ、針生検。
思い起こせばこの針生検が一番痛かったです。
1週間後に、悪性だと分り、4月の頭には千葉がんセンターを受診し、バネ式生検、エコー診察。
1週間の間にマンモ、造影CT、骨シンチ、
MRI、胸部X線、その他オペに対しての諸々検査、採血などをし4月下旬にはオペの予定でしたが、(先生のQ&Aを読んでいると医療被爆してたなーと思いますが。)
骨シンチで頭蓋骨に異形成と思われる所見がみつかり、整形外科受診、
頭部CTがプラスしましたが、特に異常ではないとの事。
5月(上旬)日にはオペが出来ました。
今、非常に混んでる乳腺クリニックやオペ待ち2、3ヶ月という方を拝見するとすごくスピーディーに進みそこはラッキーでした。
主治医も最初から変わらずきちんとエコーも毎回して下さいますし、信頼しております。
オペも一時間もかからず傷跡もそこまで気になりません。
左乳房、内側上部辺りの腫瘍で乳輪周りからアプローチしてくれマージン含め6cm位摘出し、乳房の凹みをなくすために上下の筋肉をくっつけた?みたいな感じです。
ただひとつ単純な疑問で、田澤先生は術後の診察が病理結果が出る時だけで創部処置はないと拝見しました。
私は、退院日5/(上旬)と術後毎週一回外来受診し水を抜いています。
この違いは何なのだろう?という疑問です。
水はたまらないのでしょうか?
私は、毎回20ccほど水を抜きます。
溜まってくる感じも分かります。
少なくはなっていますが、三回ほどしました。
主治医も三回目くらいの時は
まだ溜まってるね~って珍しそうではありましたけど。
外来が多いのはやっぱり少し負担でしたので、ただ主治医の事は信頼のおける方だと思ってますしオペもして頂いてよかったと思ってます。
病理結果や、画像などこちらから言わずとも全てプリントアウトしてくれます。
がんセンターのルーティン感はありますが。
前置きが長くなってしまいましたが、単純に疑問になったので知りたくなりました。
水が抜けてからじゃないと放射線も始められないみたいなので。
オペが始まるまで、何もかもスピーディーに進み一気に来てしまったので、乳がんの知識を持たぬまま終わり。
オペが終わり一段落してしまいました。
でも、とりあえず身体から腫瘍をすぐ取り除けたことはなによりです。
ここからが長い道なんだなと日々勉強しております。
全て終わってから、江戸川病院や市川クリニックを知ったので、家から近かったのでちょっと残念な気持ちになりましたが、しこりに気付いてから二ヶ月でここまでこれたのは良かったと思ってます。
コラムやQ&A、大変かと思いますが大変勉強になりますし心強い思いになれますので無理なさらない範囲で続けて頂けると幸いです。
長文、乱文失礼いたしました。
田澤先生から 【回答2】
こんにちは。田澤です。
「もし抗癌剤となった場合はTC?4がベストでしょうか?」
⇒その通りです。
「ホルモン治療で偽閉経することやホルモン治療で子宮体がんリスクは上がりますよね?私は、より注意した方がよさそうですか?」
⇒婦人科にかかっている位だから、そうは思いますが…
ただ、タモキシフェンによる子宮体癌はそもそも閉経後に起こる事が多い事が解っています。
あまり神経質にならないようにしましょう。
「婦人科フォローはみなさんどのくらいしているのでしょうか?」
⇒1年に1回です。(十分です)
「ホルモン治療ですが、ゾラデックス2年。タモキシフェン5年。」
⇒昔はLH-RHagonistは2年~3年と言われてきましたが…
現在は5年が一般的になっています。
おそらく、質問者が「初期だから」ということで「2年」と提示されていると思いますが、(私なら)「33歳」と言う年齢の方が重視し、「5年」とするでしょう。
「タモキシフェンなんですが、ジェネリック[MYL]を処方される予定です。ノルバデックスとの違いはありますか?内容は同じなのでしょうか。」
⇒同じです。
「30前半、半ば、40歳などで処方は変わりますか?ちなみに、出産経験はなく、ゾラデックス2年が終われば一度休薬して不妊治療しようかなと思っていたりします。」
「先生も同じ様な処方でしょうか?」
⇒私であれば、(不妊治療も含め)「妊娠、出産」希望があるなら、ホルモン療法は後回しにします。
「造影CT、骨シンチ」
⇒33歳の早期癌なのに…
とても残念です。
「主治医も最初から変わらずきちんとエコーも毎回して下さいますし、信頼しております。」
⇒が○センターにしては珍しい(失礼しました)
幸運なことです。
「ただひとつ単純な疑問で、田澤先生は術後の診察が病理結果が出る時だけで創部処置はないと拝見しました。」
⇒私も最初は「術後1週間目に受診」としていました。(それを省略して、現在の形になったのは半年前位からです)
そもそも当院では「遠方からの方」が多く、遠方の人達からは(来るのが大変だから)「1週間後の外来は省略できないか?」という要望が当初から多かったのです。
(最初は)「遠方で1週間目受診を避けたい方」だけで省略していたのですが、(それらの人達にも安心して手術が受けられるように)最終的に「たかが20分、されど20分」により精度を上げていった結果、「全員で省略しても大丈夫」という段階に達したのです。
『今週のコラム64回目 そして到達したのが「創処置なし」です。』
『今週のコラム 80回目 僅か20分、されど20分『神は細部に宿る』まさに、そういうことなのです。』
♯この20分を使っているのは「全摘」だけでは無論なく、「部分切除」でも同様です。
「この違いは何なのだろう?という疑問」
⇒私が特別な才能を持っているなどでは全くありません。
ただ、私は一人で年間300件以上手術(全て執刀)しているのです。(局麻の手術を加えれば軽く400は超えます)
もう一つ言えば、外来も私一人で行っています。
それだけの手術患者さんで、術後合併症があったら「そもそも診療が成り立たない」ことが解りますね?
「スピード」もそうですが、「絶対に合併症を作らない」という前提が無い限り「その数を一人で手術して診療することは不可能」なのです。