Site Overlay

ステージ4 腋窩リンパ節と鎖骨上の転移について

[管理番号:4560]
性別:女性
年齢:48才
 
いつも学ばせていただいております。
よろしくお願いいたします。
 
以下が経緯と相談です。
2011年 左乳がん温存手術(リンパ郭清なし)
      腫瘍の大きさ  1.5×1.4
      リンパ節の転移 2個中1個
      ER      陽性
      PgR     陽性
      HER2    1+
      脈管への侵襲  あり
    ルミナルAと言われました。
術後25回の放射線治療と、3年のリュープリンとゾラディックス。
5年のノルバディックス服用
2016年4月 CTで8㎜の肺転移1個が発覚。
(ノルバディックス服用中)
2016年8月 提携先服用中)
2016年8月 提携先の大学病院にて右上葉切除手術。
その際、手術前に受けた2016年6月のPETにて、左脇下のリンパが光る。
呼吸器外科の先生から、肺の手術後すぐに乳腺外科の主治医に相談相談するよう指示を受ける。
2016年9月 エコー検査と細胞診にて、左脇下の大小合わせて5つの腫瘍ががんであることが判明。
2016年11月ガンを取り除く手術をする予定でしたが、直前のエコーで、鎖骨上まで広がっていることがわかる。
 
手術を中止し、初めての抗がん剤EC療法へ。
 3回目と6回目の抗がん剤投与直前のエコー検査では、腫瘍は小さくなっていることが判明。
左腋窩は現在9㎜・6㎜・5㎜・5㎜・6㎜、
左鎖骨上は4㎜と3㎜。
 主治医としては、今後、腫瘍の様子を見ながら、薬の種類がたくさんあるホルモン療法を行うのが良いだろうとのことでした。
 
 抗ガン剤投与後2回ほど、イレギュラーな生理はありましたが、1月からありません。
 私としては、元気なうちに、他の抗がん剤も含めて挑戦してもよい気持ちもありますが、
やはり、ここはひとまずホルモン療法で穏やかに治療をし、悪化した際にに再度抗がん剤という治療がよろしいのでしょうか。
 
 また、腋窩のみでも、再手術をした方が、予後がよろしいのでしょうか?
 1週間前のCTでは、肺転移手術後の多臓器への転移は、今のところ確認されてないようです。
アドバイスを頂ければ幸いです。
     
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
 
「再発」と名がつくと、すぐに「消極的」となり「ホルモン療法で様子を見ましょう」という「ステレオタイプ」となってしまう医師が多い事は遺憾に思います。
○やはり「局所」と「遠隔」という概念はきちんと区別すべきであり、そこを曖昧にしてはいけません。
 
 肺転移を肺切除したということですが、(現時点で、肺の他の部分には出ていないようなので)、「英断だった」と感じます。
 ♯肺転移は(肝転移もそうですが)「多発」となりがちであり、「一見単発」に見えても、暫くしたら「他にまた出てくる」ことがあります。それで通常は手術適応とはならないのです。(ただし、繰り返すようですが何事にも例外はあるので、結果的には「英断だった」と思います)
 
○それに対して「鎖骨上リンパ節」は(遠隔とは異なり)「あくまでも局所」です。
 「局所再発」は(可能なかぎり)「局所療法で制御」 これが原則です。
 つまり、このケースでは「腋窩郭清」+(鎖骨上には)「放射線照射(この場合の照射はリニアックよりもトモセラピーの方が望ましい)」となります。
 
「私としては、元気なうちに、他の抗がん剤も含めて挑戦してもよい気持ちもありますが、やはり、ここはひとまずホルモン療法で穏やかに治療をし、悪化した際にに再度抗がん剤という治療がよろしいのでしょうか。」
⇒そんなことはありません。
 「局所療法(腋窩郭清+鎖骨上照射)」の後に、(肺転移のこともあるので)「全身治療として抗癌剤を短期間(3カ月~半年)」というゴール設定の方がいいと思います。
 
「また、腋窩のみでも、再手術をした方が、予後がよろしいのでしょうか?」
⇒その通りです。(上記)

質問者様から 【質問2 ステージ4 腋窩リンパ節転移の郭清について】

性別:女性
年齢:50才
病名:
症状:

田澤先生

2年ぶりの質問となります。
よろしくお願いします。

以下がその後の経過です。

2017年5月
抗がん剤の効果を確認するためのPET-CTでは、 約1年前に左腋窩でぶどうの房のように光っていたものはありませんでした。
ですが、エコーでは小さくなった腫瘍が鎖骨上を含めて9つほど存在。

全てが転移とは限らないとのことでしたが、フェマーラを開始しました。

2018年2月
左腋窩や鎖骨上が若干増悪のため、フェマーラから、イブランス+フェソロデックスへ変更

2018年9月
鎖骨上の腫瘍が消えて、鎖骨下1個 左腋窩4個のみになる

2018年11月 CTで肺・肝臓等異常なし

2018年12月
 鎖骨下の腫瘍が消えて、左腋窩に6mm 7mm 8mm×2の4個のみになる

のみになる

2019年 3月
エコーをしたところ、左腋窩は現状維持でフェソロデックスとイブラン
ス続行中(75mgの減薬で)

 
 2017年4月に、田澤先生より、腋窩郭清と鎖骨上放射線照射のアドバイスをいただきましたので、主治医の先生にもそのことをさりげなく相談したのですが、あまり勧められないような感じでした。

その後、再び肺転移かという騒動があったりしたので(ただの炎症でした)、腋窩郭清を再度相談するタイミングを逸し、現在に至ります。

しかし、せっかく鎖骨上下の転移が消えて、腋窩転移のみ4個ならば、腋窩郭清を主治医の先生に相談してみようと思っています。
(3か月後にに、エコーとCTがあるので、臓器転移もなく、腋窩もこの状態ならば)

田澤先生のコラムでも、腋窩リンパ節転移は、3年以上放っておくべきではないと書かれていました。

それに伴っての質問です。

1.
今の状況での腋窩郭清は、リンパ浮腫等の後遺症もあり得ることを考えても、予後も含めて私にとってプラスになりますでしょうか?

2.
一度肺転移していますので、今画像に見えるリンパ節の腫瘍を切除しても、画像に見えないところに潜んでいる癌のことを考えると、やはり、手術自体が無意味になるのでしょうか?

3.
イブランスの効果が出ているようなので、もうしばらく様子を見るというのもよいのでしょうか?

4.
主治医の先生が、イブランスの次はベージニオという薬もあると仰っていました。

    
田澤先生から見て、このベージニオはどのようなお薬で、実際服用されている方は効果が出ていますでしょうか?

どうぞよろしくお願いいたします。

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。

「1.今の状況での腋窩郭清は、リンパ浮腫等の後遺症もあり得ることを考えても、予後も含めて私にとってプラスになりますでしょうか?」
→?
 発想が逆。
 転移を残しておけば、「そのリンパ節がいずれ、浮腫の原因」となります。

「やはり、手術自体が無意味になるのでしょうか?」
→何が「無意味」なのか、よく考えてみましょう。

 薬物療法が永遠に効けば、それに越したことはないですが、やはり長期的に見れば「効かなくなるタイミング」は考えておかなくてはいけません(転ばぬ先の杖)
 効かなくなって、リンパ節が増大して(他がコントロールされているのに)腋窩のリンパ管を閉塞して患側浮腫となることになります。(著しいQOLの低下では?)

 「リンパ節を郭清することによるリンパ管の損傷」と「リンパ節が周囲に浸潤して、リンパ管を破壊する状況」は「似て非なる」ことです。

「3.イブランスの効果が出ているようなので、もうしばらく様子を見るというのもよいのでしょうか?」
→上記回答をご参照ください。

「田澤先生から見て、このベージニオはどのようなお薬で、実際服用されている方は効果が出ていますでしょうか?」
→下痢がありますが、「減量」や「整腸剤、止痢剤」などによりコントロール可能となります。

 効果は出ています。

質問者様から 【質問3 】

圧迫骨折
性別:女性
年齢:52才
病名:
症状:
投稿日:2020年12月11日

前回に引き続き、約2年ぶりの質問となります。

どうぞよろしくお願いいたします。

2011年 乳癌で左乳房部分切除術
2016年 肺転移で右肺上葉切除術後、ホルモン療法やイブランスで元気に過ごしております。

先日、半年ぶりのCTを撮ったところ、11番の骨が圧迫骨折だと言われました。
画像では、背骨のうち、1つの骨の四角形の上の部分が、ほんの少しだけへこんでいました。

リアルな画像を見て驚いてしまい、「骨転移ではないのですか? このままでは下半身不随になりませんか?」と質問したところ、主治医の先生は、「これは骨転移ではないと思います。
これで下半身不随と言っていては、高齢女性の多くが下半身不随になってしまいますよとおっしゃっていました。

看護師さんも、「立ち仕事ですか?」や「少し運動したらよいかも」とかで、あまり気に留留めていないようでした。
同日に検査した骨密度や腫瘍マーカーは、正常です。
痛みなどは、全くありません。

現在は、月1回の血液検査とフェソロデックス注射、イブランスの処方、3か月に1回のエコー、半年に1回のCTとなっています。
適時、マンモやレントゲンも行っております。

相変わらず左腋窩に、3個ほどの腫瘍はありますが、悪化しておらず、現状維持のままです。

そこで質問です。

「圧迫骨折」は、今回の場合、あまり気にすることはないのでしょうか?

骨転移を疑い、骨シンチ等行わなくても大丈夫でしょうか?
もしくは、整形外科等に行って、MRIを撮ってもらった方が良いのでしょうか?

ここ4か月ほど、血液検査で、ほんの少しだけカリウムが少しだけ低く出ます。

利尿剤や血圧の薬等は飲んでいません。

3.1~3.4ぐらいです。
(基準値が3.5~5.0)
先生は、気にしなくて大丈夫とおっしゃっていますが、心配ないのでしょうか?

ご助言いただければ幸いです。

田澤先生から 【回答3】

こんにちは田澤です。

「「圧迫骨折」は、今回の場合、あまり気にすることはないのでしょうか?」
⇒それ自体は(症状が無いのであれば)問題ありません。
 主治医を信じましょう。

質問者様から 【質問4 】

2度目の肺転移切除後の治療薬について
性別:女性
年齢:53歳
病名:
症状:
投稿日:2021年10月14日

こんばんは。
いつも学ばせていただいていております。

2011年  左乳がん温存切除(リンパ郭清なし)
2016年  肺転移のため右肺上葉切除術
       (事前のPET検査にて、左腋窩が光る)
     その後、エコーにて左鎖骨上までの腫瘍確認
     EC療法にて左腋窩リンパ節縮小
2018年3月イブランスとフェソロデックス開始~2021年9月まで

2021年7月 定期のCTにて肺転移が発覚
   9月 肺転移左肺区域切除術

肺転移手術前のPETでは、左腋窩のみ光っていました
      (肺転移はまだ光る前だったようです)

今回肺に転移したがん細胞は、以下の通りです。

       ER :PS5 IS3 TO8
       PgR:全て0
       Har2:0
ki67:20%

今回提案されたお薬が、抗がん剤のハラベンでした。

さすがに、イブランスはもう無理だろうし、次の治療はベージニオかなと予想していたところ、先生曰く「イブランスの後に、すぐベージニオにしないほうがいいという結果が出てきている」とのことでした。

先生も看護師さんも、ハラベンはいいお薬だとおっしゃっていました。

少し強い治療をしてから、ベージニオ等にしたほういいようです。

2回も肺転移をしているので、理解できます。

また、今画像上で見えるのは、5年前からある左腋窩のリンパのみなので、その腋窩の様子を見ながら、ハラベンの効き具合を把握できるとのことでした。

もう一つ提案されたアフィニトールですが、口内炎がひどくなり、食欲がなくなってしまう人もいて、実はあまり長続きしないいんですと、看護師さんがおっしゃっていました。

私もほとんどハラベンに決めているのですが、田澤先生から見ても、今の私にはやはりハラベンでしょうか?
私の勉強不足なのですが、ハラベンは、肝臓等に転移してから投与するような抗がん剤かと思っていました・・・。
飲み薬も抗がん剤も、いろいろと種類があるようですが、若干の迷いもあります。

アドバイスをいただければ幸いです。

田澤先生から 【回答4】

こんにちは田澤です。

「私もほとんどハラベンに決めているのですが、田澤先生から見ても、今の私にはやはりハラベンでしょうか?」
⇒paclitaxelが供給制限で使用できない(つまりbevacizumab + paclitaxelという選択肢がない)以上、eribulinが(私も)いいと思います

質問者様から 【質問5】

ステージ4 画像上のがんが消えた際の治療について
性別:女性
年齢:54歳
病名:
症状:
投稿日:2022年11月4日

いつも学ばせていただいております。

以下が経緯です

2011年 左乳がん温存術(リンパ郭清なし)
     ルミナルAとのことで、3年のリュープリン・ゾラデックス
     5年のノルバデックス

2016年 右肺上葉切除術(肺転移)
     手術前のPET検査で左わきがブドウの房のように光る
     細胞診でがんと判明
     抗がん剤EC療法で、左わきの光が消える
     フェマーラ服用開始

2018年 エコーで左脇のリンパ節の腫瘍(後にリンパ節ではないと判明)が大きく
なってきた  
    ので、イブランスとフェソロデックス開始

2021年 左肺区域切除(肺転移)
     抗がん剤エリブリン開始

2022年6月 左わき腫瘍の切除手術
  7月 CTで異常なし

来月、エリブリン15クール終了後CTを取るのですが、抗がん剤をずっと投与する
わけにい
かないので、もし異常がなかったら治療を一時中断しましょうか?という話も出てい
ます。

テージ4の私としては、ホルモン療法だけでも続けたいと思っているのですが・・・

実は2016年から脇にあった大小の腫瘍はリンパ節にあると思っていたのですが、今年
6月に切除
したところ、リンパ付近の脂肪への転移だとわかりました。

その腫瘍は、ER陰性 PgR陽性だか弱い HER2陰性 で、ホルモン療法は効かないだ
ろうとい
われました。

しかし、2021年に肺転移の手術をした際は、
 PgR14%以下  しかし、PS5 IS3 TS8 となっているので、ホルモン療法が
効果ある
のでは?と思ってしまいます。

手術は前後しましたが、新しくできた腫瘍(2021年の肺転移)で考えた方がいいのか
もしれな
いと、素人判断で考えてしまいます。

そこで先生に質問です。

1.画像上に癌が見えない場合、いったん治療を休んでいいのでしょうか?

2.その際、ホルモン療法だけ続けるとすると、なにがよろしいでしょうか?

3.2016年からあった腫瘍はホルモン療法不適応とされましたが、2021年の肺転移の腫瘍
  はホルモン療法可の数字だと思いますが、新しくできた2021年の腫瘍で考えてよろしいのでしょうか?

4.やはりホルモン療法不可でしたら、どのような治療で現状維持を目指したらよろしいでしょうか?

どうぞよろしくお願いいたします。

田澤先生から 【回答5】

こんにちは田澤です。

画像上CRとなれば、(その維持には)余裕が出ます。
現在eribulinを行っているのであれば、ホルモン療法単独の前に(過去にpalbociclibを使っているので)abemaciclib+Letrozoleを検討しては如何でしょうか?
有害事象として「下痢」が問題となりますが、それが許容できれば上記をお勧めします。

***
再質問をする場合、下記日付以降にしてください。
2022/11/11
***