[管理番号:4018]
性別:女性
年齢:37歳
先生よろしくお願いします。
2ヶ月前に左胸外側に痛みとニセンチ程のしこりを見つけました。
すぐに乳腺外科に行き、マンモとエコー検査。
多分大丈夫だけど、念のためと細胞診をしました。
結果はランクⅡで、乳腺炎だと言われました。
一歳半の子供が居ますが
授乳はもう一年前にやめてます。
針生検までやってもらえないか聞きましたが、必要じゃない。
乳癌じゃないですと何回も言われました。
抗生剤を処方されて3ヶ月後にエコーでみる。
3ヶ月後には、しこりは
なくなってると言われました、
しかししこりが痛く再度受診しましたが、
エコーで大丈夫と言われました。
抗生剤を変えて処方されて終りました。
それから2週間立ちますが、しこりが痛くて痛くてたまりません。
下着があたるだけでも痛いです。
どうしたらよいでしょうか?
本当に乳腺炎なんでしょうか?
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
このメールを拝見して私に思い浮かぶのは「肉芽腫性乳腺炎」です。
担当医は安易に「乳腺炎」という言葉を使っていますが、実際には「(通常の)乳腺炎というのは、理由が無ければ起こらない」ものであり、「安易に用いるべき」ではありません。
♯ 授乳中の「鬱体制乳腺炎」や陥没乳頭に伴う「乳輪下乳腺炎」など
画像を見ていませんが、「明らかなシコリを形成」しているのであれば「肉芽腫性乳腺炎」だと思います。
肉芽腫性乳腺炎には「抗生剤は全く無効」です。 steroid投与もしくはvolume
reductionしか有効ではありません。
「どうしたらよいでしょうか?本当に乳腺炎なんでしょうか?」
⇒肉芽腫性乳腺炎の可能性が高そうです。
診断には組織診(この場合にはマンモトーム生検が有効)が必要です。
これにより、質問者の「癌では?」という言いようの無い不安から、完全に解放されます。
そして「肉芽腫性乳腺炎」と診断されればsteroid投与となります。
○乳腺専門医でも「肉芽腫性乳腺炎を知らない」ものが多いこことは嘆かわしいことです。
今週のコラムでも数回取り上げています(21-22, 39, 42-44)。
今週のコラムの一覧表示
質問者様から 【質問2】
乳腺炎と言われて、しこりが痛いです。
2回目 番号4018
性別:女性
年齢:37
乳腺炎と言われて、その後、痛みとしこりが無くならず受診したら抗生剤を替えてもらってた者です。
2回目の質問になります。
その後、やっぱり痛みが引かず、しこりも継続したために再度受診しました。
エコーで明らかに黒い部分が増えていて、エコーと針生検をしました。
今の時点で、癌の確率は7割だそうです。
1ヶ月前は、癌じゃない!と断言していたのに。
リンパにも黒い部分が移っていました。
来週、針生検の結果と造影CTの予約になりました。
こんな1ヶ月で診察の内容が変わるのでしょうか?急に大きくなったか、見落としですか?
また、私は今、准看として働きながら正看護学校に通ってます。
2月の国家試験受けられますか?
先生の診察を受けたくて、市川に電話したら3月まで予約はいっぱいだと言われました。
江戸川の病院は新患は水曜日のみでした。
千葉にすんでるので受診出来ればと思っていますが、
田澤先生から 【回答2】
こんにちは。田澤です。
私自身が診察していないので、確実なことは言えませんが…
「担当医から癌の可能性が高い」と言われた以上は、「100%確定診断」が必要です。
そのためには「もしも今回行った針生検」(バネ式ですよね?)で確定診断がつかない場合には、マンモトーム生検で確定させるべきです。
♯今回 造影CTを撮るようですが、MRIなど変な方向へ流されないように注意が必要です。
「エコーで明らかに黒い部分が増えていて、エコーと針生検をしました。」
「今の時点で、癌の確率は7割」「リンパにも黒い部分が移っていました。」
⇒誤解を恐れないでコメントすると、
以前、私自身が市川で診察した肉芽腫性乳腺炎の患者さんが、前医(千葉県の某有名?病院)での診療にそっくりです。
是非『今週のコラム 42回目 肉芽腫性乳腺炎(前医での診療~当院初診まで)』を参照してください。
「千葉にすんでるので受診出来ればと思っています」
⇒もしも、現在の医師の診断が上手くいかないなら「秘書メール」してください。
緊急性を考慮した診察案内を差し上げます。
ちなみに「秘書メールの該当」は①手術希望 ②QandAで相談し、その回答で「秘書メールを」とコメントした場合だけです。
秘書室へメールは、
各ページの右上にある 「秘書室へメール」からご相談ください。
もしくは、こちらのリンクをクリックしてください。
質問者様から 【質問3】
先生いつもありがとうございます。
3回目の質問になります。
しこりが痛く乳腺炎と診断されたものです。
あれから針生検(バネ)を二ヶ所おこない、
7割は癌と言われていましたが、結果は肉芽腫性乳腺炎でした。
田澤先生が当初から言った通りでした。
そのため、造影CTと採血はキャンセルになりました。
今は痛みが軽減されているため、治療はナシ。
1か月後にエコーで経過観察となりました。
痛みが増したり、しこりが大きくなったりしたらステロイドかオペの検討と言われました。
しかし心配な点があります。
1、乳頭がもともと陥没だったのが、針生検のせいか、しこりのせいか、さらに陥没してきた→主治医に見てもらったら、しこりが引っ張ってる、これ位なら大丈夫と。
しかし、明らかに凹んできてます。
2、診断が二転三転して、正直不安です。
針生検の結果は間違いないでしょうか?
CTなど別検査は要らないでしょうか?
田澤先生の所で、もう一度検査してもらう方が良いでしょうか?
3、治療なしで、このまま治りますか?
今は痛みは、以前よりは殆どなくなってきてます。
時より痛みますが自制内ですが、しこりは変わらず2~3センチはあると思います。
よろしくお願いします。
田澤先生から 【回答3】
こんにちは。田澤です。
肉芽腫性乳腺炎で良かったですね。(いくらか、治癒するには面倒な疾患とはいえ、あくまでも良性であり、癌でなかったことは幸いなことです)
「ステロイドかオペの検討」
⇒まともな乳腺外科医で良かったです。
もしかして、このQandAで勉強しているのかもしれません(冗談です)
「1、乳頭がもともと陥没だったのが、針生検のせいか、しこりのせいか、さらに陥没」
⇒もしも癌を心配しているとしたら、
それは無関係です。
担当医のいうように「癌でなくても」引っ張れば、陥没するのです。
「針生検の結果は間違いないでしょうか?」「田澤先生の所で、もう一度検査してもらう方が良いでしょうか?」
⇒針生検で診断がついているのであれば、問題ありません。
あとはエコー画像が『今週のコラム 42回目 肉芽腫性乳腺炎(前医での診療~当院初診まで)』に(エコー画像を)載せている様に「不整形でありながら、横長に連続するような典型像」であれば間違いありません。
ただ、「診断的治療(肉芽のvolume reduction)」目的でマンモトームで可能な限り削るという手もあります。『今週のコラム 47回目 マンモトームで「肉芽をとことんまで削り倒したら、どうなのか?」』をご参照ください。
「CTなど別検査は要らないでしょうか?」
⇒全く無駄な検査です。
画像診断は「エコーで十分」です。
あとは「組織診断」なのです。
「3、治療なしで、このまま治りますか? 今は痛みは、以前よりは殆どなくなってきてます。」
⇒ここは微妙ですね。
肉芽は「長期的」には自然に消退することは知られていますが、「一旦、活動期」となると油断はできません。