[管理番号:67]
性別:女性
年齢:23歳
23歳です。
良性の乳腺腺腫があります。
年に一度マンモとエコーの経過観察をしています。
いつもマンモは2方向撮影するのですが、1方向では足りないのでしょうか?
一般的にはどちらなのでしょうか?
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
「良性の乳腺腺腫」とはおそらく「線維腺腫」のことだと思います。
それでは回答します。
回答
「線維腺腫の経過観察」にはそもそもマンモグラフィーは不要です。超音波で十分です。
マンモグラフィーは1方向(MLO)だけでは、乳腺全体をカバーする事ができないので撮影するとすれば2方向が推奨されますが、そもそもマンモグラフィーは不要です。
仮に「両側の乳癌検診を兼ねる」という目的であったとしても20代では、マンモグラフィーはお勧めできません。
その年代では超音波の方が見易い事が多いし、マンモグラフィーは低線量とはいえ被爆の問題があるからです。
質問者様から 【質問2】
繊維腺腫です。
私の通っている病院ではマンモとエコーセットで年に一度ほど経過観察しています。
生検は以前行いました。
大きさが8mmと大きいです。
マンモは必要ないのでしょうか?
田澤先生から 【回答2】
こんにちは。田澤です。
先日「マンモは不要」と回答した方ですね。
それでは再度、回答します。
回答
マンモは不要です。
線維腺腫の経過観察にマンモは必要ありません。
超音波で経過観察(形状やサイズなど)しているものが、「マンモでどう見えるか?」など全く無意味です。
「8mmの線維腺腫」は大きくはありません。「8cmの間違いではないですよね?」(8cmの場合には、例え良性でもさすがに経過観察ではなく摘出するはずです)
私の感覚では線維腺腫で「大きい」のは3cm位です。3cmだと摘出を勧めます。(これ以上大きくなると疼痛の原因や美容面で気になる様になるからです)
マンモグラフィーが経過観察に必要なケース
(参考にしてください)
- 石灰化:これは、マンモでしか解らないことが多いため
- 「超音波で捉えずらく、マンモでしか解らない所見」:これは「マンモでの引きつれ(distortion)所見」や「脂肪性乳房の中の陳旧性線維腺腫」などかなり例外的となります。
今回は8mm(当然超音波での測定でしょう)と超音波で捉えられているので、このケースにも当てはまりません。
◎超音波のみで「経過観察が可能」なのに、何故1年に1回マンモを併用する事が多いのか?
その理由は、1年に1回の「経過観察」の際に、1年に1回の「乳癌検診を兼ねさせる」目的です。
マンモは(経過観察目的ではなく、むしろ)1年に1回の「乳癌検診」目的なのです。
ただ20歳代ではそもそも、(乳癌の頻度が極めて低いため)乳癌検診自体が推奨されていません。
それでも乳癌検診を望む際には、超音波だけにすべきです。(20歳代でマンモグラフィー健診が有効などというエビデンス:証拠 はありません)
※マンモグラフィーは低線量ながら、やはり被爆の問題があるので「意味も無く」若い方に撮影するべきではありません。
質問者様から 【質問3】
8センチの間違いでした。
まだ若いので出産等終えてからの摘出がいいと主治医と相談しました。
8センチでもマンモは不要でしょうか?
田澤先生から 【回答3】
こんにちは。田澤です。
8cmですか。一般的には「摘出を勧められる」はずですが、主治医とよくよく話しあっての(経過観察という)方針なのでしょう。
それでは回答します。
回答
(大きいのであれば)なおさらマンモグラフィーは不要です。
その大きさで、超音波で見失う事は考えられません。
つまり、超音波できちんと「経過観察」ができるのです。
●(前回の回答にも記載しましたが)超音波でしっかり見えるものを「わざわざマンモではどう見えるだろうか?」など全く不要です。
超音波の方が、「質的診断=何であるか?」の面でも「 サイズ測定」の面でもマンモグラフィーよりも圧倒的にフォローアップに向いています。
フォローアップで「マンモが必要」なのは「石灰化」だけです。
※石灰化はマンモでしか見えないからです。 逆に言えば「石灰化以外は、超音波だけでのフォローでいいのです」