[管理番号:3807]
性別:女性
年齢:34歳
現在産後8ヶ月(第一子)、授乳中の者です。
右胸の乳頭下側にあるしこりをとても不安に感じています。
再度乳腺外科を受診したほうがいいのか、また、現在の状況を先生としてはどう思われるかご意見をいただければと思い、ご質問させて頂きました。
このしこりには産後2ヶ月くらいの時に気付き、今日に至るまで産院の母乳外来を2度、総合病院の乳腺外科を2件受診しています。
妊娠中、産院の検診で乳房の触診はありましたが、これまで乳がんの検診等は受けたことはありませんでした。
乳腺外科では2件とも視診、触診とエコーで、1件目の病院は産後4ヶ月の頃受診して「授乳中で発達した小葉に触れるのだと思います」との診断、2件目は産後8ヶ月で受診し、「乳瘤でしょう」との診断で、2件とも1年後くらいに心配ならまた来てくださいという感じでした。
ただ、同じく産後8ヶ月、先日受診した母乳外来では、2件乳腺外科を受診したことも伝えましたが、助産師さんと、念のため診てもらった産婦人科の先生ともにうーん…といういぶかしげな雰囲気。
お薬を出してみますとの事で葛根湯を2週間分処方してもらい、2週間後もう1度来院して下さい、その時にまたマッサージをして改善が見られないようならもう一度乳腺外科を受診したほうがいいかもと言われ、悪いものなのでは?と不安になっています。
また、心配になって調べていたサイトで、乳がんだった場合、マッサージはかえって乳がんを悪化させるとの記事も見かけ、またマッサージに行ってもいいのか?とも思っております。
私が不安に思うポイントとして、2件の乳腺外科での診断が違うこと、
またエコーは2件とも先生本人が行ってくれたものではなく、検査室の技師さんが行ったということ。
そして1件目では特にしこりが写らなかった気がするのですが、2件目では黒く丸いしこりがはっきり写ったこと。
(技師さんは大きさを測っていたようですが、ちょっと動揺してしまって大きさがどれ位なのか聞けませんでした。
先生からも特に大きさについては触れられませんでしたが、母乳外来では小豆大と言われました)それは、技師さんの腕による違いなのか、それともしこりそのものが大きくなったから写ったのか?
そして、しこりの場所が変わらないこと、触るとコリコリして指からくりっと逃げる感じもありますが、痛みに関しては、痛いような痛くないような…微妙な感じで、大きさも同じように変わらないような、日によって微妙に違うような…というのが正直な感想で、自分ではいまいちよく分からないことです。
また、つい最近気付いたのですが、右側の脇(背中寄り)にしこりというよりは腫れてもったりしている感じなのですが、触ってみて少し違和感を感じるようになったことも不安です。
腕を動かしてみて、特にひきつれているとか、そういう感じは受けません。
このまま薬を飲み、母乳外来へ受診しマッサージを受ければいいのでしょうか?
それとも、別の病院、または2件診てもらったうちのどちらかでもう1度診てもらった方がいいのでしょうか?
私のこの症状は一体何と思われますか?
長文になりすみません。
お忙しいとは思いますが、初めての胸の違和感で不安な気持ちが拭えないので、ご意見頂ければと思います。
よろしくお願い致します。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
私の第1印象としては「乳瘤」です。
「乳瘤」は「分泌される乳汁が鬱滞などすることが原因となり硬く触れる腫瘤」と定義されます。
♯これに対して「ミルク嚢胞」は(詰まった)乳管が拡張して「ミルクそのものが貯まった状態」です。
違いが解りますか?
例えば、(細胞診などで)注射針を刺した際に「ミルク嚢胞は(内容液である)ミルクが引けて(嚢胞自体が)消失する」ことになりますが、「乳瘤は(ミルクが引けるとしても)ごく少量で、(瘤自体が)消失することはありません」
◎今回の問題点は「医師自身がエコーしていない」ことです。
「ミルク嚢胞」ならば、簡単に描出できますが、「乳瘤」は「エコー像としては捉えどころがない」のです。
だから、(技師の撮影したエコー像を見ても)医師は「乳瘤と判断することは時として難しい(乳瘤に典型的なエコー像などはないのです)」のです。
それで「小葉の拡張」など「色々な事を想像」しなくてはならないのです。
ただし、ここで重要なことは、「乳瘤を典型的なエコー像として描出することは困難」ではあるが、「癌を含めた腫瘍との鑑別は容易」だということです。
★結論として(結果として2名の技師がエコーしているのに)「癌を見逃す事などありえない」
ただし、本当に安心したいのであれば「医師自らがエコーしているクリニックを探す」ことです。
「つい最近気付いたのですが、右側の脇(背中寄り)にしこりというよりは
腫れてもったりしている感じなのですが、触ってみて少し違和感を感じるようになったことも不安」
⇒脇のしこりを気にする必要はありません。
(妊娠中に発達した)副乳でしょう。(ただし、産科の医師に聞いても「解らないなぁー」と言われそうですが…)
乳腺に「はっきりとした異常が無い」のに「脇の下を心配する」こと自体、(我々乳腺外科医から見れば)全くナンセンスなのです。