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オンコタイプの結果と今後の妊娠について

[管理番号:3783]
性別:女性
年齢:34歳
 
いつも大変お世話になっております。
以前もここで質問に答えていただいたことがありますが、また新たな質問です。
私は現在34歳、子供が1人います。
 
2人目がほしいと思いながらも4年間
妊娠できず(そのうち1年半は通院して不妊治療)、体外受精の準備中に乳がんが見つかりました。
今年8月上旬に温存手術を受け、その後断端陽性で10日後に2度目の温存手術を受け、現在放射線治療中です。
 
しこりは18mm程度の浸潤癌、ステージ1、センチネル転移なし(0/1)、そして先日、オンコタイプの結果が出ましてスコア17、ERスコア9.7、PR
スコア7.5、HER2スコア9.7(FISH陰性)でした。
低リスクですのでホルモン治療(名前が分かりませんが3ヶ月に一度の注射と、タモキシフェン)をするということです。
 
質問ですが、
①主治医は、オンコタイプは「乳がんの再発リスクを見るもの」と話していたので、私は乳房にできる癌だけを指すのだと思っていましたが、
家で資料を読んだところ、『遠隔再発の可能性』を表すと書いてあり驚きました。
非常に基本的な事ですが、オンコタイプの数値は肺や骨な
ど、乳房以外の再発可能性を見るもので間違いないですか?(遠隔転移と遠隔再発の言葉の違いが分かっておりません)
 
②オンコのスコア17で、遠隔再発率は11%です。
私にとってはあまり低い数値ではありませんでした。
乳房やリンパへの局所再発の可能性はも
っと高くなると思いますが、具体的に何%くらいでしょうか?
 
③私の場合、センチネルを1つしか調べていないことが今になって不安になっています。
転移なしの方も0/3や0/4と書かれているのに何故私は
1つだけだったのか…主治医には失礼にあたりそうで聞けていませんが、先生はどうお考えでしょうか?
 
④今後の妊娠について、
1.放射線が終わり次第、半年程度と目安を決めて妊娠を目指す(→妊娠
出来ない場合は一旦区切ってホルモン治療開始)
2.先に1~2年の間ホルモン治療をし、主治医と相談しながら中断し妊娠を目指す
どちらかで迷っています。
 
ただ、私の場合4年間授かることが出来ずにい
たので(不妊の原因について基本的な検査は全てしましたが原因不明)、
自然妊娠出来る可能性は高くないと思っています。
妊娠について、手術前は一度諦めようとしたのですが、このページで先生の意見を知り勇気づけられて希望を捨てたくない思いです。
でも遠隔転移だけは絶対に避けたいです。
 
先生のコメントで、遠隔転移を考えすぎないようにということを何回も読んでいたので、乳房以外の癌についてはあまり考えていませんでしたが、具体的に11%という数字を見て、
さらにホルモン治療していない状態だともっと可能性は上がると思うので怖くなり迷っています。
 
先生のご意見を聞かせていただきたいです。
宜しくお願い致します。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
 
OncotypeDXでのRS=17は低リスクです。
ホルモン療法単独で全く問題ありません。
 
「私は乳房にできる癌だけを指すのだと思っていました」
⇒全くの勘違いです。
 「乳房内再発」は「手術(術式も含め)の因子」です。
 例えば「全摘すれば、ほぼゼロ」となるわけです。
 温存の場合でも「断端との距離」などが大きく関わってくるわけです。
 
「オンコタイプの数値は肺や骨など、乳房以外の再発可能性を見るもので間違いないですか?」
⇒全くその通りです。
 
「遠隔転移と遠隔再発の言葉の違いが分かっておりません」
⇒全く「同じもの」を指しています。
 ただし、「言葉の定義」で敢えて分けるとしたら…
 遠隔転移…初期治療の段階(手術の際など)も含めて、全ての期間におこる遠隔転移のことを指します。
 遠隔再発…初期治療の段階にすでに存在しているものは、ここに含まれません。
 つまり、「遠隔転移=(初診時にすでにある)遠隔転移+遠隔再発」となります。
 ○再発は「局所再発」と「遠隔転移再発」に分けると考えやすいです。
  局所再発は(術側)乳腺及び領域リンパ節であり、遠隔転移再発は(それ以外の部位の)再発をさします。
  ♯(繰り返しになりますが)OncotypeDXでみているのは「遠隔転移再発のみ」です。
 
「乳房やリンパへの局所再発の可能性はもっと高くなると思いますが、具体的に何%くらいでしょうか?」
⇒これも勘違いです。
 局所再発の率はもっと低いです。
 (前述したように)あくまでも「手術因子が影響するので一概には言えませんが」
温存で放射線照射すれば「10年で5%程度」となります。
 
「…主治医には失礼にあたりそうで聞けていませんが、先生はどうお考えでしょうか?」
⇒私も原則として1個しかセンチネルリンパ節生検しません。
 正確なアプローチをすれば、「センチネルリンパ節は1個」なのです。
 ♯逆に言えば(本当にセンチネルリンパ節がどれか解らない=自信が無い)医師は「複数とっている」と思います。
 
「④今後の妊娠について、 1.放射線が終わり次第、半年程度と目安を決めて妊娠を目指す(→妊娠出来ない場合は一旦区切ってホルモン治療開始) 2.先に1~2年の間ホルモン治療をし、主治医と相談しながら中断し妊娠を目指す」
⇒何度も同様の質問に回答していますが…
 今回も一緒です。
 「妊娠出産を優先」で問題ありません。
 不眠治療や、妊娠出産をすることによるリスクは証明されていません。
 
 

 

質問者様から 【質問2】

いつもお世話になっております。
 
質問の内容は違うのですが、前回の質問からの続きなので同じ管理番号で書かせて頂きます。
去年の8月に温存手術をうけ、9~10月に25回の放射線治療をしました。
その後、私は妊娠希望でしたので無治療でいましたが、主人は治療を優先して欲しいとのことで、今年1月からホルモン治療を始めました。
二ュープリンとタモキシフェンです。
しかしニュープリンの副作用でホットフラッシュや動悸、息切れが辛くて、夜も眠れずイライラしたり精神的にも辛くなってきて、主人も賛成のうえでホルモン治療を一旦中止することにしました。
今月上旬の検診で主治医にそう伝えました。
生理が再開したら妊娠にむけて頑張ってみるつもりです。
 
しかし、その今月の検診のエコーで、術側の乳房に新しく影が映っていました。
以前癌があった場所のすぐ近くです。
3mmくらいの大きさらしいです。
触っても分かりません。
(主治医はエコー写真を見ただけ)
主治医には嚢胞と言われましたが、再発ではないかと心配です。
私が見た感じだと、去年の癌のエコー写真と今回と、とても似ていますが、お医者様が見ると違いは明らかなのですか?
 
嚢胞について主治医の話では、乳液(母乳のようなもの?)がたまったものみたいなことを言っていましたが、そもそも放射線治療した乳房に乳液があるのでしょうか?また、ネットの情報ですが、乳房の嚢胞は女性ホルモンの影響でできるとあったのですが、私の場合はホルモン治療中に出来ています。
前回の検診は3月で、そのときには無かったです。
大きさが3ミリとのことなので、生検できないから様子見のつもりで嚢胞と言っているのでしょうか?とても不安です。
 
先生でしたらこの場合、再発を疑いますか?
再発の場合、それがどんなに小さくても次は全摘になりますか?
長くなりましたが宜しくお願い致します。
 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。
 
「(主治医はエコー写真を見ただけ)」
今回は、これが全て(の元凶)です。
○そもそも温存術後の乳腺には「瘢痕」や(破壊された脂肪が融解したことによる)
「脂肪嚢胞」ができます。(温存手術をしていて、全く所見が無いとしたら「むしろ、不気味」ということです)
 それは術後の乳腺を「自分でエコー」していると、そのパターンが自動的にインプットされ、(それらの所見は「当然なるもの」として)「異常とは認識しない」ようになってきます。(これが経験です)
 担当医も「自分でエコーする習慣」がもしもあったなら…
 
「主治医には嚢胞と言われましたが、再発ではないかと心配」
「嚢胞について主治医の話では、乳液(母乳のようなもの?)がたまったものみたいなことを言っていました」

⇒手術した部位の近傍なら、(先でコメントしたように)「脂肪の溶けた嚢胞(本来の意味の嚢胞とは異なりますが)」などでしょう。
 
「大きさが3ミリとのことなので、生検できない」
⇒それは誤りです。
 エコーで見えている以上、生検(細胞診にしろ組織診にしろ)できるのです。
 ♯ただし、明らかな液体の貯留(分泌液にしろ、溶けた脂肪にしろ)と(エコー画像で)判断できるのであれば、(敢えて)検査する必要はありません。
 
「先生でしたらこの場合、再発を疑いますか?」
⇒上記コメント通りです。
 「再発ではない」と想像します。

 
 

 

質問者様から 【質問3 】

オンコタイプの結果と今後の妊娠について
性別:女性
年齢:36歳
病名:乳癌ステージ1、子宮頚がん 高度異形成
症状:

お世話になっております。

前回の質問から2年近くが経ちました。

乳がんは再発無しで、元気にしております。

まず、今迄の経緯ですが、

2016年8月(34歳) にルミナールAのステージ1で温存手術。
不妊治療中、
体外受精の準備中に乳癌が見つかりました。
転移無し。
オンコタイプスコア17、ホルモン2種とも強い陽性です。

放射線後にホルモン治療(タモキシフェン+ニュープリン)を始めましたが、更年期症状が辛かったこと、妊娠を諦めきれなかったことから半年程度でホルモン治療を中止、2017年10月に生理再開、その後無治療のまま自然妊娠を希望していましたが、残念ながら出来ずにいます。

2018年の夏には子宮頸癌の検診で高度異形成が見つかり、11月に円錐切除の手術をうけました。

その手術のあとから、生理前に不正出血するようになり、病院で見てもらったところ手術の傷とは関係なく、黄体ホルモンが少ないせいだと言われました。
実際に血液検査の結果でも黄体ホルモンが少なく、自然妊娠できる状態ではないようです。

妊娠希望するなら、黄体ホルモンを補う薬を飲む必要がある。
癌への影響はほぼ無いと思われる。
と言われていますが、再発が怖くてためらっています。

私は乳がんと子宮頸癌の経験者、円錐切除しているので流産、早産のリスクは高い。
との事で、もう妊娠は諦めたほうが良いのでは、と病院から言われています。
しかし私はまだ諦められずにいます。
ですが無治療になってそろそろ2年経ちますので、タイムリミットが近いことも感じています。

先生に質問したいことは、

①以上のような状況で、先生の場合はまだ妊娠希望を優先させて良いと思いますか?

②妊娠を目指す場合、黄体ホルモンの薬を服用することで乳がん再発への影響をどうお考えですか?

③ホルモン治療再開の場合、タモキシフェン単独でも効果はありますか?私の主治医は、45歳まではタモキシフェン+ニュープリン と言っています。
ただ私はニュープリンの副作用が辛いのでなるべく使いたくありません。
(もうすぐ37歳になります)

以上です。

今まで再発なく元気に生活出来ていることには喜びを感じますが、ただ手術して終われない、再発が無くとも何年も心に残る病気だとつくづく感じています。
今でも先生のQ &Aを拝見して勉強させてもらっています。
いつもありがとうございます。

 

田澤先生から 【回答3】

こんにちは。田澤です。

「①以上のような状況で、先生の場合はまだ妊娠希望を優先させて良いと思いますか?」
→勿論!

「②妊娠を目指す場合、黄体ホルモンの薬を服用することで乳がん再発への影響をどうお考えですか?」
→ありません。

「③ホルモン治療再開の場合、タモキシフェン単独でも効果はありますか?」
→タモキシフェン単独が標準治療です。

「私の主治医は、45歳まではタモキシフェン+ニュープリン と言っています。」
→誤り。
 『35歳以上ではLH-RHagonist(リュープリンなど)による上乗せはない』ことが解っています。