[管理番号:3688]
性別:女性
年齢:48歳
田澤先生
はじめまして。
友人よりこちらのサイトを紹介されました。
時間を作り、少しずつ拝読させていただいています。
手術も無事に終了し、今後の治療方針を決めることとなりましたが、
抗がん剤治療を受けるか迷っています。
これまでの経過を下記にまとめましたので、先生のご意見をお聞かせくださいますでしょうか?どうぞよろしくお願いいたします。
{経過}
48歳 女性 閉経前
8月末に浸潤性乳管癌(硬癌>乳頭腺管癌)+浸潤性微小乳頭癌との診断を受けて、右乳房全摘術とセンチネルリンパ節生検をいたしました。
{病理結果}
組織型:浸潤性乳管癌(sci>pap>IMP)
浸潤径:18mm 拡がり:脂肪
リンパ管侵襲:ly+++ 脈管侵襲:V0
リンパ節転移:0 断端:陰性
ER:陽性90% PgR陰性
HER2(2+)FISH法1.3増幅なしで陰性
核グレード3
Ki67は測定中(9月末に主治医との面談で測定をお願いしました。)
ステージ1
以上が現時点で説明を受けた内容です。
主治医の先生は、「抗がん剤を使用する場合の上乗せは4%だが、組織型を考慮するとTC療法を3か月間の4コースで追加しても良いのかなと思います。
ホルモン療法だけだと少し弱い気がします。
ご希望でKi67を測定しますので、結果をみて最終判断としましょう。」とのことです。
質問をさせていただきたいのは、Ki67の測定結果による治療方法の選択肢を教えていただけないでしょうか。
先生の「やるべき事をやる。
これが全てです。」を心にとめて、これからの治療を頑張りたいと思います。
どうぞよろしくお願いいたします。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
pT1c(18mm), pN0, luminal
十分な早期癌です。
担当医のいう「組織型を考慮する」というのは「浸潤性微小乳頭癌」の事ですね?
(無視しましょう)
「質問をさせていただきたいのは、Ki67の測定結果による治療方法の選択肢を教えていただけないでしょうか。」
⇒①Ki67≦20 無条件でホルモン療法単独です。
②20<Ki67≦30 ホルモン療法単独でもいいと思いますが、「抗ガン剤も厭わない」というのであればOncotypeDXして確認しましょう。
③30<Ki67 (OncotypeDXしないのであれば)暫定ルミナールBとして「化学療法の適応」となります。 ただし、OncotypeDXすれば「かなりの数の無駄な抗癌剤が省ける」ことになります。(化学療法が本当に効くのか?もし疑問が少しでもあれば、
是非OncotypeDXすべきです。
質問者様から 【質問2】
田澤先生
こんにちは。
{管理番号:3688}{今後の治療について}で質問させていただいた者です。
前回はご助言をありがとうございました。
先日、Ki67の結果が出ましたので、ご報告と共に、今後の治療へのご助言をお願いいたします。
Ki67:45.6%でルミナールBとして、抗癌剤治療の適応となりました。
しかしながら、先生の「オンコタイプdxをすればかなりの数の無駄な抗癌剤が省けることになる」とのコメントをいただき、9月末の診察時に主治医の先生に申し出ました。
ただ、オンコタイプdxの結果が出るのは、手術後約9週間後となります。
この期間の治療について、主治医の先生と相談いたしました。
主治医の先生のご意見は、
①手術後、6~8週間くらいまでには治療を開始したいけれど、文献によると術後9週間以上経過して治療を開始した例もあります。
②この9週間、私としては、結果が返ってくるまで無治療でもいいかと思います。
ホルモン療法は長い目でみなくてはいけませんし、1か月飲んだとしても劇的に作用するわけではありません。
③一番心配なのは、オンコタイプdxでハイリスクとなっても、患者さん自身が、ホルモン療法を始めているのだからと安心され、必要とされる次の治療に踏み込めない気持ちになることです。
以上のことをおっしゃっていました。
私は主治医の先生がお話された①~③を考えつつ、やはり無治療への不安感が強いため、オンコタイプdxの結果が出る1か月間は、ホルモン療法先行で受けることにしました。
そこで、
①田澤先生でしたらオンコタイプdx結果が出るまで、どのような治療方針をお考えになるのかご助言をお願いいたします。
②また、オンコタイプdxの結果、低~中間リスクは抗癌剤治療を受けない予定ですが、高リスクになった場合、どのような治療方針をお考えでしょうか?
以上です。
どうぞよろしくお願いいたします。
田澤先生から 【回答2】
こんにちは。田澤です。
「私は主治医の先生がお話された①~③を考えつつ、やはり無治療への不安感が強いため、オンコタイプdxの結果が出る1か月間は、ホルモン療法先行で受けることにしました。」
⇒勿論、それでも問題ありません。
「①田澤先生でしたらオンコタイプdx結果が出るまで、どのような治療方針をお考えになるのかご助言をお願いいたします。」
⇒無治療で何ら問題ありません。
ただし「上記でコメントしたように」ホルモン療法は(どうせやるのだから)ご希望があれば開始しておいても問題はありません。
「②また、オンコタイプdxの結果、低~中間リスクは抗癌剤治療を受けない予定ですが、高リスクになった場合、どのような治療方針をお考えでしょうか?」
⇒早期でルミナールなのだから、TCです。
質問者様から 【質問3】
田澤先生
こんにちは。
以前、管理番号:3688で質問させていただいた者です。
その節はありがとうございました。
オンコタイプDXで、高リスク(52)、タモキシフェン単独療法での10年間遠隔再発率34%の結果に基づきTC療法を受けました。
TC療法終了後の2月より、タモキシフェンの服用がはじまっています。
オンコタイプDXを受けたことで、十分に納得してTC療法を受けることが
出来たのですが、二点ほど質問させていただきたいと思います。
① 私のオンコタイプDXのレポートでは、
抗癌剤+タモキシフェンで、10年間遠隔再発率が34%から14%に下がることが読み取れました。
しかしながら、レポートの抗癌剤がTCではなく、CMF/MFとなっています。
これはどうしてなのでしょうか?
② TC療法を受けた私の場合、10年間遠隔再発率はどの様に変わるのでしょうか?
以上です。
どうぞよろしくお願いいたします。
田澤先生から 【回答3】
こんにちは。田澤です。
OncotypeDXのデータは過去の臨床試験を基にしています。
単純に(アンスラサイクリンやタキサンが登場する前の)標準療法がCMFだったというだけです。
「レポートの抗癌剤がTCではなく、CMF/MFとなっています。これはどうしてなのでしょうか?」
⇒過去の標準治療がCMFだったからであり、実際にその臨床試験で化学療法を選択された患者さんがCMFを行っていたから、そのような記載となっているのです。
「② TC療法を受けた私の場合、10年間遠隔再発率はどの様に変わるのでしょうか?」
⇒CMFから「アンスラサイクリン」⇒「タキサン」への時代は変遷しています。
当然、「いい治療」だから「治療が変遷」しているわけですから、「CMFよりも成績はよい」ことになります。
つまり、質問者の場合には14%以下(実際の数字を予想することは困難ですが、一桁となりそう)となります。