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浸潤性微小乳頭癌 ステージ3B

[管理番号:3531]
性別:女性
年齢:39歳
三年前に、1cm程度の しこりを見つけ受診しました。
その時は、マンモとエコーのみで良性の腫瘍と診断されました。
半年から一年後に受診してくださいと言われたのですが、良性という言葉を信じて三年放置してしまいました。
その頃には、皮膚のひきつれがあり4cm弱になっていました。
今年の2月から、FEC4回、ドセタキセル4回
8月初旬に、全摘手術を受けました。
大きなしこりは、消えていましたが微小転移がたくさんあり かなりショックでした。
抗がん剤が効いていなかったのでしょうか。
術後の病理組織診断の結果
浸潤径が11×6cm
Grade 1
TNM pT4aN1
ER 90
Pgr 90
Ki 19
リンパ2ヶ所転移
水平断面は陰性ですが、深部断端は、胸筋と胸筋筋膜の明らかでない脂肪織に面して、微小乳頭癌の癌巣が散見され陽性となりました。
放射線治療の後にホルモン治療という流れになります。
この結果を見て、再発率や予後の悪いタイプという事で気になって涙が出るばかりです。
手術も、失敗だったのかと思えてきました。
良くない事ばかり考えて、毎日辛いです。
希望を持っていいのでしょうか。
先生の患者様で、このようなタイプはおられましたか?
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
「三年前に、1cm程度の しこりを見つけ受診しました。その時は、マンモとエコーのみで良性の腫瘍と診断」
⇒まさに、ターニングポイントとなったのですね。
 「生検無しの良性」は信用してはいけません。
「大きなしこりは、消えていましたが微小転移がたくさんあり かなりショックでした。抗がん剤が効いていなかったのでしょうか。」
⇒質問者は「ルミナールタイプ」だから抗癌剤が劇的に効かなくても当然です。
 
 ◎そもそも抗がん剤は、手術の「前後」に行い、再発予防に用いるものです。
 抗がん剤だけで「癌が無くならない」のは、「むしろ当然」です。
「水平断面は陰性ですが、深部断端は、胸筋と胸筋筋膜の明らかでない脂肪織に面して、微小乳頭癌の癌巣が散見され陽性」「手術も、失敗だったのかと思えてきました」
⇒乳房全摘しているわけだから「執刀医が大胸筋面に注意」していれば問題無い筈です。担当医に確認してみましょう。
「希望を持っていいのでしょうか。先生の患者様で、このようなタイプはおられましたか?」
⇒私は何千人も診ているので、「初めてのケース」ということは殆どありません。
 特に驚くこともありません。
 「浸潤径は大きい」ですが、「リンパ節転移も少ない」し「ルミナールタイプ」なのだから「ホルモン療法」をきちっと行えば、全く問題ありません。
 
 ○化学療法閉経されていると思いますが、年齢からすると「再開する可能性が高く」タモキシフェン+LH-RHagonist(5年)⇒タモキシフェン単剤で(更に5年)がスタンダードです。
 
 
 

 

質問者様から 【質問2】

田澤先生
先日は、お忙しい中 御回答いただき ありがとうございました。
少し気持ちが落ち着きましたが気になる事が、あるので よろしくお願いします。
・田澤先生のQ&Aでは、ルミナールAは化学療法 無意味とお答えされていますが私の場合も手術先行すべきで無意味だったのでしょうか?
・先日の質問で、ルミナールAタイプだから抗がん剤が劇的に効かなくて当然と答えていただきましたが、大きなしこりが消えたのは偶然だったのでしょうか?
・ホルモン治療が、まだ一ヶ月程先なのですが どんどん進行していかないか不安です。
セカンドオピニオンを受けた大きな病院の医師に、骨まで転移してるんじゃない?と言われたので その言葉が頭から離れません。
・「執刀医が、大胸筋面に注意」していれば問題無い筈です。
担当医に確認してみましょう。
→実際、主治医にどのように聞けば良いでしょうか?
・5年再発率、生存率
・10年再発率、生存率を教えていただきたいです。
・手術前までは、ステージ2Bと聞いていて術後に3Bになり生存率がガクッと下がるので
怖くて…
浸潤径が大き過ぎて3Bと、なるのでしょうか。
正直、3Bという自覚がありません。
信じたくないからかもしれませんが。
・浸潤性微小乳頭癌は、12人中 6人は亡くなるとか
平均22カ月後に亡くなるという、大学病院の資料を読みました。
本当でしょうか?
気になる事が、次から次へと出てきます。
よろしくお願いいたします。
Ly +
V –
f +
s –
TNM pT4N1
ER 90%
PGR 90%
HER2 1+
Ki 67 index 19%
 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。
「・田澤先生のQ&Aでは、ルミナールAは化学療法 無意味とお答えされていますが
私の場合も手術先行すべきで無意味だったのでしょうか?」

⇒「全く無意味だった」かどうかは誰にも解らない事ですが…
 「術前化学療法の適応外」であることは間違いありません。(術前化学療法の『唯一で正しい』適応は「小さくして温存」だからです)
「・先日の質問で、ルミナールAタイプだから抗がん剤が劇的に効かなくて当然と答えていただきましたが、大きなしこりが消えたのは偶然だったのでしょうか?」
⇒質問者は完全に勘違いしています。
 たとえば、ルミナールAでも「小さくして温存目的」で「術前化学療法」することはあります。
 実際に「腫瘍は目的を果たして」小さくなる事が多いのです。
 ただ、(おそらく)『(ルミナールAでは)腫瘍が小さくなったからと言っても、予後の改善には寄与していない』と(データ上は)考えられます。
「・セカンドオピニオンを受けた大きな病院の医師に、骨まで転移してるんじゃない?と言われたので その言葉が頭から離れません。」
⇒何と無責任な医師でしょうか。
 くだらない医師のいうことは忘れるようにしないと「平穏な日常」をおくることはできません。
「・「執刀医が、大胸筋面に注意」していれば問題無い筈です。担当医に確認してみましょう。→実際、主治医にどのように聞けば良いでしょうか?」
⇒ストレートに…
 (大胸筋面も含めて)「綺麗に取れているのですよね?」と聞いてみましょう。
「・5年再発率、生存率・10年再発率、生存率を教えていただきたいです。」
⇒5年はわかりませんが…(このQandAの3500もの歴史で、いつも「5年は解らない」とコメントしている筈ですが…)
 10年生存率:89%
   再発率:17%
「・浸潤性微小乳頭癌は、12人中 6人は亡くなるとか平均22カ月後に亡くなるという、大学病院の資料を読みました。本当でしょうか?」
⇒くだらない。
 特殊型の予後を「少数例での検討」するのは止めにしてほしいものです。(単なる少数例の症例報告レベルであり、大規模な臨床統計ではありません)
「気になる事が、次から次へと出てきます。」
⇒くだらないネットの情報は今すぐ見るのは止めましょう。
 私も「くだらないネットの情報について」いちいちコメントするのは、あまり「本位」ではありません。
 
 

 

質問者様から 【質問3】

田澤先生、いつもありがとうございます。
先日、主治医に きれいに取れたのか聞いてみたところ
大胸筋面のギリギリまで、切ったのでキレイに取れたとの事です。
いくら、きれいに切除できても顕微鏡で見ると陽性が出てしまう事があると言われました。
安心しても、いいのでしょうか。
乳房再建についてですが、放射線治療すると難しくなり最低でも今後5年~7年は待ったほうがいいと言われました。
せっかく、再建しても再発してしまったら無駄になってしまうからと…
やはり、私のタイプは再発率が高いのかと不安になりました。
いつも、くだらない質問ばかりして申し訳ないです。
病院で、聞くと冷静に質問できなくなり答えが頭に入らなくなってしまいます。
文章に残ると後で何度も読み返せるので本当に、このような場を作って頂けている事が嬉しく前向きになれます。
 

田澤先生から 【回答3】

こんにちは。田澤です。
「乳房再建についてですが、放射線治療すると難しくなり最低でも今後5年~7年は待ったほうがいいと言われました。やはり、私のタイプは再発率が高いのかと不安になりました。」
⇒「最低でも今後5年~7年」って、そんなこという医師がいるなんて信じられません。
 化学療法終了後半年後というところでしょう。
 くだらない医師の言う事をいちいち気にしていたら「心を安泰にしていられません」
 
 

 

質問者様から 【質問4】

田澤先生、いつも丁寧に分かりやすく答えてくださり ありがとうございます。
今日も、よろしくお願いいたします。
3年前に、1cm程の綺麗な楕円形の腫瘍が3年後に4cm×3.5cmの腫瘍になっていたのですが、比較的 進行が早いのでしょうか?
しこりに気付く5年前の授乳中は、よく乳腺が詰まりマッサージにも通っていました。
その頃から、もう腫瘍は出来ていた可能性があるのかと思うと、とても怖いです。
浸潤径が、かなり大きいので遠隔転移しやすいと考えられますか?
Q&Aを拝見していても、私のような浸潤径が大きい方を見ないので、とても不安になりました。
私には、娘がいるのですが遺伝する可能性は高いでしょうか?
あの時に、きちんと検査をしていれば…
あの時に、定期的に検査を受けていれば…
自分の体に、きちんと向き合っていれば良かった…
と、後悔ばかりです。
腫瘍の形も綺麗で年齢的にも良性と言われ、安心しきって受診した日さえも忘れていました。
自分を責めてしまいます。
 

田澤先生から 【回答4】

こんにちは。田澤です。
「3年前に、1cm程の綺麗な楕円形の腫瘍が3年後に4cm×3.5cmの腫瘍になっていたのですが、比較的 進行が早いのでしょうか?」
⇒そんなことはありません。
 むしろ「遅い」かもしれません。
「浸潤径が、かなり大きいので遠隔転移しやすいと考えられますか?」
⇒そんなことはありません。
「私には、娘がいるのですが遺伝する可能性は高いでしょうか?」
⇒違うと思います。
 家族性乳がんは「トリプルネガティブが多い」ですが、質問者はルミナールタイプです。
「あの時に、きちんと検査をしていれば…あの時に、定期的に検査を受けていれば…
自分の体に、きちんと向き合っていれば良かった…と、後悔ばかりです。」

⇒そろそろ…
 「後ろを振り返らず」に「前を向いて」歩きましょう。