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5mm浸潤といわれました。

[管理番号:3514]
性別:女性
年齢:44歳
田澤先生、初めまして。
アドバイスをいただきたく思います。
妻(44歳)ですが、5年前に左胸に乳がん(非浸潤、ステージ0)の温存手術を受け、その後放射線治療もうけました。
その後も定期検診はうけておりました。
今年の2月ごろ、おなじ左胸にしこりを見つけ、7月に日帰りの切除手術を受けました。
良性だろうとのことでしたが、病理検査で5mmの大きさで浸潤と判断されました。
先生は、この大きさでよく見つけられたと驚いていたようですが、
妻もこれからのことを考えて温存ではなく摘出手術をうけたいと話しています。
先日、妻が右にもできていたらどうしようと主治医に相談したら、PETを受けてみるか?ということで検査を受けました。
今は検査の結果待ちなんですが、この大きさならかなり深刻なものなのでしょうか?この部類なら早期といえるのでしょうか?転移とかもあるのでしょうか?
 仕事もしているので、その点も心配しています。
手術を受けたあとはやはり抗がん剤治療になるのでしょうか?
いちばん不安なのは妻なのですが、こちらもわからないことだらけでかなり参っています。
ドバイスをよろしくお願いします。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
5mmの癌で抗ガン剤は不要(適応外)となります。
「妻が右にもできていたらどうしようと主治医に相談したら、PETを受けてみるか?」
⇒誤りです。
 「右を確認」するのであれば、(担当医が自ら)「右胸のエコーをきちんとするべき」です。
 PETで「対側乳腺の精査」など正気ではありません。
「今は検査の結果待ちなんですが、この大きさならかなり深刻なものなのでしょうか?
この部類なら早期といえるのでしょうか?転移とかもあるのでしょうか?」

⇒「5mmで深刻」と本気で思っているのですか?
 当然早期です。
 転移はありません。
「手術を受けたあとはやはり抗がん剤治療になるのでしょうか?」
⇒なりません。
 
 

 

質問者様から 【質問2】

管理番号3514  タイトル 5mm浸潤といわれました。
田澤先生、先日はお忙しい中、アドバイスをありがとうございました。
 いろいろと考えすぎて、おかしくなりそうな自分でいましたが、少し落ち着きました。
感謝しております。
 お手数をおかけしますが、もう少し教えていただきたいことがあるので、どうぞよろしくお願いします。
 1、先生は、5mmの大きさでは転移はないとおっしゃいましたが、それはどのような根拠でそうアドバイスしていただけたのかを教えてください。
(詳しい病理検査データなどがなくて誠に申し訳ありません)
今回のがんは、5年前の取り残しということでしょうかそれとも局所再発と考えてよろしいのでしょうか?
 2、転移はないということは、リンパ節にもいっていないと考えていいのでしょうか? 
 3、これから受ける手術は全摘になると思いますが、センチネルリンパもする必要はありますでしょうか?
 4、先生は抗がん剤治療はないとおっしゃいましたが、やはりホルモン治療は必須になりますよね。
その場合の副作用はどのようなものがありますか?
 5、まったく悲観する必要はありませんか。
根治は目指せますよね?
 貴重な先生の時間を割いてしまって申し訳ありませんが、どうかよろしくお願いします。
 先生の言葉で、本当に希望が見えてきます。
 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。
まずメール内容を読んで、質問者には大きな勘違いがあることに気が付きました。
(おそらく)
今回のケースは温存術後5年の「温存乳房内再発」です。
これはたんに(5年前の時点で乳腺内に潜んでいた)癌細胞が大きくなっただけであり、所謂「遠隔転移再発とは全く無縁」な話です。
5年前を思い出して欲しいのですが…
担当医から「温存して、たとえ温存乳房内再発しても、その際に乳房全摘すれば予後は同じ」と聞いていませんか??
その通りなのです。
○温存乳房内再発は、(再発後に)「残存乳房全摘」することにより「最初から(つまり5年前ですね)全摘した」場合と予後は同等なのです。
 つまり感覚的には「5年前、(少し無理して)温存を選択してしまったけど、こうなったからには乳腺は全摘するしかないな」という事です。(それが正しいのです)
「 1、先生は、5mmの大きさでは転移はないとおっしゃいましたが、それはどのような根拠でそうアドバイスしていただけたのかを教えてください。」
⇒常識です。
 それは沢山の症例を経験してくれば自ずと解ることです。
「今回のがんは、5年前の取り残しということでしょうかそれとも局所再発と考えてよろしいのでしょうか?」
⇒同じことを言っていますね。
 「5年前の取り残し」=「局所再発」です。
 ♯強いて鑑別を挙げるとしたら、「温存乳房内の(完全な)新期乳癌の発生」ですが、(治療の上でも予後の上でも、これを区別する意味はありません)
 ○おそらく質問者が危惧しているのは「遠隔転移再発と同じ様な意味無いの再発」なのだと推測しますが…
  それとは全く無縁な話です。
「 2、転移はないということは、リンパ節にもいっていないと考えていいのでしょうか?」
⇒浸潤癌だから、「その可能性はゼロとはいいませんが…」 前回の手術で「センチネルリンパ節生検をしているとしたら、転移はないでしょう」(リンパ管のルートが無くなるから)
「 3、これから受ける手術は全摘になると思いますが、センチネルリンパもする必要はありますでしょうか?」
⇒前回の「温存術の際に、行っていない」のですか??
 前回の手術時に(センチネルリンパ節生検もしくは腋窩郭清が)行われていれば当然不要です。
 ○もしも「何らかの事情で(前回の手術時に)センチネルリンパ節生検もしくは腋窩郭清が行われていなかった」とすれば、少々迷うところです。(前回全く手をつけていないのであれば、私ならセンチネルリンパ節生検を勧めるでしょう)
「 4、先生は抗がん剤治療はないとおっしゃいましたが、やはりホルモン治療は必須になりますよね。」
⇒質問者は明らかに「勘違い」しています。
 治療は「サブタイプ」に応じて行われます。
 ただし、「5mm以下」であれば、サブタイプが何であれ(トリプルネガティブであろうと、HER2タイプであろうと、ルミナールBであろうと)化学療法の適応は無いことを前回コメントしたのです。
 ○ホルモン療法が必要かどうかも、やはりサブタイプに応じて選択されます。
  つまり、「ルミナールタイプ」でなくてはホルモン療法は行いません(無駄なのです)
「その場合の副作用はどのようなものがありますか?」
⇒まだホルモン療法の適応があるのかは不明です(上記コメントの通り)
「 5、まったく悲観する必要はありませんか。」
⇒何を悲観するのですか???
 
 「5mmの浸潤癌で非観」していたら、このQandAで悩んでいる多くの方に悪いではありませんか?
 5mmの浸潤癌で再発する確率は「殆どゼロに近い」のが事実です。
「根治は目指せますよね?」
⇒5mmの浸潤癌で「根治が目指せない」と考える方が(寧ろ)非常に不自然な話です。
 質問者のこの(私にとっては、非常に不自然に感じる)発言が、(私が冒頭でコメントしたように)質問者は「温存乳房内再発=遠隔転移再発のような勘違い」をしているのではないかと疑った点です。