[管理番号:3492]
性別:女性
年齢:37歳
こんにちは。
抗がん剤の追加についてお伺いします。
病理結果は浸潤性乳管癌で
しこり9mm×8mm
ER90 PR50
ki67 50%
異形度2
HER2 3+
現在AC×4を終了し来週からハーセプチンが始まります。
AC×4、ハーセプチン、放射線、ホルモン治療の予定なのですが、それにドセタキセルを追加するかどうかで迷っています。
しこりが1cm以下でリンパ節転移もないのですが、ki67が50と高いことと年齢(37歳)を考えてどうなのかと。
1.ドセタキセルを追加した時の効果はどのくらいあるのでしょうか?
2.主治医に再発率を聞いてみたのですが数字は教えてもらえませんでした。
私の場合の再発率と10年
生存率を
AC+ハーセプチン+ホルモン治療
AC+T+ハーセプチン+ホルモン治療それぞれに教えていただけますか?
3.ki67が50%は再発しやすい要因になりますか?
よろしくお願いいたします。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
pT1b(9mm), pN0, luminalB(HER2 陽性)
超低リスクです。
pT1bは「抗HER2療法を考慮」するに留まり「絶対的適応」でさえありません。
質問者には、そもそも「非アンスラサイクリンレジメン」で良かったと思いますが、
「ACをしている」のでタキサンは不要です。
「現在AC×4を終了し来週からハーセプチンが始まります。」
⇒確認ですが、「ハーセプチンの前」に放射線ですよね?
ハーセプチン「終了後」にハーセプチンは誤りです。
「しこりが1cm以下でリンパ節転移もないのですが、ki67が50と高いことと年齢(37歳)を考えてどうなのかと。」
⇒完全な「考え過ぎ」です。
どう考えても「low risk」であり、「アンスラタキサンなど不要」です。
「1.ドセタキセルを追加した時の効果はどのくらいあるのでしょうか?」
⇒殆ど無いと思います。
「私の場合の再発率と10年生存率をAC+ハーセプチン+ホルモン治療AC+T+ハーセプチン+ホルモン治療それぞれに教えていただけますか?」
⇒残念ながら…
①抗HER2療法の10年データはありません。
②抗HER2療法の中身(AC+T)と(AC)での比較もありません。
○3年の「抗HER2療法(種類は問わず)のデータ」はあります。
3年再発率 | 3年生存率 | |
抗HER2療法なし | 7% | 99% |
抗HER2療法あり | 3% | 100% |
「3.ki67が50%は再発しやすい要因になりますか?」
⇒考え過ぎです。
なりません。(いずれにせよ、再発低リスクです)
質問者様から 【質問2】
田澤先生こんちには。
一つ一つに丁寧に答えてくださり、ありがとうございました。
ハーセプチンを使う方はタキサンもされている方が多いように思えて不安だったのです。
しかし先生のアンスラタキサンは不要とのお答えに、安心しました。
放射線治療について、主治医からはハーセプチンの3回目から始めるかハーセプチン終了後、と言われています。
どのタイミングで始めるといいのでしょうか?
また併用するのでしょうか?
ホルモン治療についても開始するタイミングを教えてください。
よろしくお願いいたします。
田澤先生から 【回答2】
今日は。田澤です。
抗HER2療法における放射線照射のタイミングは「(一般の)抗癌剤」⇒放射線⇒
「ハーセプチン(単剤)」の順番です。(これについては、完全な常識です。
♯ハーセプチンが(1年間)終わった後など、とんでもありません。
「放射線治療について、主治医からはハーセプチンの3回目から始めるかハーセプチン終了後、と言われています。」
⇒全く賛成できません。
常識外といってもいいでしょう。
「どのタイミングで始めるといいのでしょうか?」
⇒「抗ガン剤」の後、「ハーセプチン単剤となる前」です。
一般常識です。
「また併用するのでしょうか?」
⇒(一般の)抗癌剤とは決して併用しません。 (ガイドライン推奨度C2) 放射
線肺臓炎のリスクなどがあるからです。
ハーセプチン(単独)とは併用しても構わないというデータが出てはいるのですが、長期的な影響という点ではデータ不十分です。
現時点でではハーセプチンとは原則として併用しない(特に心臓のある左側の場合に)ことになっています(ガイドライン推奨度C1)
「ホルモン治療についても開始するタイミングを教えてください。」
⇒抗ガン剤が終了して、「放射線が始まる」タイミングです。
ホルモン療法は(抗癌剤も含めて)ハーセプチンや放射線照射との併用は全く問題ありません。
♯抗癌剤との併用だけは「エビデンスは殆ど無いながら」習慣的に併用を嫌う傾向にあります(副作用が重なる事を回避する意味もありますが)