[管理番号:3455]
性別:女性
年齢:39歳
田澤先生よろしくお願いします。
毎年、乳がん健診を受けています。
異常を指摘されたことはありません。
年齢的なものもあるかも知れませんが、最近両胸が痛みます。
チクチクしたり圧痛があったり、なんだか両胸から汁が出てきそうな感覚があります。
最近では半年前にエコーとマンモをしましたが問題ありませんでした。
①この両胸の痛みや違和感は乳がんの可能性はありますか?
年齢的なものと考えて放置でよろしいですか?
また、乳がんの自己検診として、しこりのチェックと一緒に乳頭を絞ってみましょう!と呼びかけていた広告があったのですが、以前に絞ると、量に左右差はあるものの、両胸から黄色~白色の乳汁がでたことがあり、その際に乳がんかも???と非常にパニックなり慌てて乳腺外科に行き、細胞診までしてもらった経過があります。
結果、問題なかったのですが、痛いのもあるし、絞りすぎて出血するのも怖いし、絞って乳汁が出るのも怖く、またあの時のようにパニックになるのが怖くてそれ以来絞っていません。
②自己検診で絞る必要ありますか?
③絞らなくても下着に付いているかのチェックくらいでもよろしいですか??
④病的な乳頭分泌であれば絞らなくても毎日下着が汚れるくらい乳汁が出ると考えても良いです??
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
「乳房痛」「30代後半~40代にかけて」
このキーワードで我々「乳腺外科医」で検索してヒットするのは決して(乳がんでは
なく)『女性ホルモンによる刺激症状』となります。
○30代後半~
卵巣機能が衰えてきて不安定となり、(今までは生理前にしか痛くなかったのが)
「生理とは無関係に」刺激されて、胸が張ったり痛くなったりします。
「①この両胸の痛みや違和感は乳がんの可能性はありますか?年齢的なものと考えて放置でよろしいですか?」
⇒乳癌とは無関係です。
上記コメント通りです。
「量に左右差はあるものの、両胸から黄色~白色の乳汁がでたことがあり、その際に乳がんかも???と非常にパニック」
⇒明らかに「誤った理解」です。
「両胸から多孔性」にでることで「乳がん(乳管内病変)」を想像する必要など1000%ありません。
○乳頭分泌
無意味に「恐れる」のではなく、きちんと「理屈」を理解しましょう。
乳頭分泌で問題となるのは、唯一『乳管内病変が原因とした分泌の可能性があるのか?』というものです。
乳管内病変が(もしも)出現するとすれば、それは必ず「1箇所」なのです。
★複数個所に同時に「たまたま」分泌を起こす様な乳管内病変が出現することはありません。(確率的に)
つまり『気にするべきは単孔性』だけです。
「乳腺外科に行き、細胞診までしてもらった」
⇒全く無意味な検査です。
そもそも、この医師自身も「乳頭分泌の意義についての正しい理解が欠けている」
可能性があります。(単に、患者さんを安心させるためであれば、無害な検査ですが、全く無意味です)
「②自己検診で絞る必要ありますか?」
⇒月に1回位、軽く絞るくらいならいいでしょう。(あまりに気にし過ぎるような
ら、しなくてもいいくらいです)
ただし、1回絞って出たからといって慌てる必要はありません。
◎しばらく毎日絞ってみて「これは間違いない」となって初めて受診すればいいのです。
「③絞らなくても下着に付いているかのチェックくらいでもよろしいですか??」
⇒それでもいいくらいです。
下着についているようであれば、「どれどれ、どこの乳管が原因かな?」という感じで、「自分で絞ってみて」ください。
もしも「単孔性」ならば、そこで初めて「乳管内病変かな?」ということで(乳管造影ができる)「乳腺外科を受診」すればいいのです。
「④病的な乳頭分泌であれば絞らなくても毎日下着が汚れるくらい乳汁が出ると考えても良いですか??」
⇒「病的な乳頭分泌=単孔性分泌」であっても、最初は勿論「絞らなくては出ない」時期があるわけです。
そこから「絞らなくても出る」時期へと移行するわけだから、より早い時期に見つけると言う意味では(神経質にならない程度に)「月に1回程度、軽く絞ってみてもいい」わけです。
○乳汁(ミルク、白)は、そもそも気にする必要はありません。
緑や黄土色も乳腺症に伴う分泌なので、これも放っておいてください。
あくまでも「黄色、茶、黒、赤」で単孔性分泌が(一次的では無く)有る程度(1カ月以上は)続くかどうかに注意すれば十分なのです。
★そもそも乳頭分泌はたとえ、それが本当に「乳管内病変に起因したもの」だとしても、「緊急を要する」ものではありません。
それで「浮きは、沈むまで待ちましょう」と言っているのです。