［管理番号:3310］
性別:女性
年齢:62歳
62歳女性です。
１ヶ月前に右乳がん部分切除を行いました。
腫瘍径1.20×2.00×1.50cm
切除術Bp+SNB 8.5×7.5×1.50cm
組織分類：浸潤性乳管癌
核異型スコア：3、核分裂スコア：3、核グレード：3
ER：Allred PS0, IS0, TS0, PgR：Allred PS1, IS2, TS3
HER2＝2
術前のBiopsyにおけるKi67=44％
術前のMRIとPET-CTでは遠隔転移なし
術前のエコーで腋窩リンパ節転移なし
Triple negativeとのこと
2個のセンチネルリンパ節(0/2)に転移は見られず、腋窩リンパ節郭清は行いませんでした。
以上からStage1Aと診断されました。
また、術後に採取した腫瘍は、組織学的には、明瞭な核小体を有して腫大した核の異型細胞が索状・小胞巣状に浸潤・増殖しています、癌細胞はN/C比高く、核異型も高度で核分裂像もしばしば認められますとありました。
今後は3週間おきのAC療法を4回から始め、その後、パクリタキセルの12週投与が始まる予定です。
ドクターからAC療法では心毒性があるので、あらかじめ心エコーもとりました。
たまたま米国の癌センターのドクターに直接面会し、これらのデータをもとに術後の抗がん剤治療＋放射線治療について尋ねたところ、ドクターは上記データをPCにinputした結果、無治療による5年の無再発率は73％程度と言われました。
ところが、そのドクターは無治療に比較して抗がん剤＋放射線による術後治療では3～4％程度しか、無再発率が上がらないと言われました。
私は患者の乳がんの状況次第で、こんな数字があるのかどうかがわかりません。
これでは、辛い抗がん剤治療をやる意味がないと思います。
一般的には抗がん剤のきわめて重い副作用や後遺症を考えると、QOLの観点から果たして抗がん剤治療は意味があるのか悩んでおります。
現在は手術後は無治療でと考えております。
田澤先生のお考えをお聞かせいただければ幸いです。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
pT1c(20mm), pN0, triple negative
早期癌です。
「今後は3週間おきのAC療法を4回から始め、その後、パクリタキセルの12週投与が始まる予定です」
⇒全く「正しい治療」です。
術前のＰＥＴは無用な被爆でしたが…
「一般的には抗がん剤のきわめて重い副作用や後遺症を考えると、QOLの観点から果たして抗がん剤治療は意味があるのか悩んでおります。現在は手術後は無治療でと考えております。田澤先生のお考えをお聞かせいただければ幸いです」
⇒私は担当医と同様「アンスラ＋タキサン」を勧めます。 NewAdjuvant.comを用いると「上乗せ効果は8％」です。
質問者様から 【質問２】
管理番号3310の62歳女性です。
１A期の早期乳がんで、6月に乳房温存部分切除。
8月半ばから３週ごとのAC療法を開始し、現在、3回目を終えたところです。
いろいろと副作用があってもがんばっているところです。
幸いいままで白血球数は１回目直前6700、2回目直前4700、3回目直前4800と正常範囲で推移しております。
好中球の数も60％程度あります。
ところが、３回目のAC治療後数日で原因不明なのですが、個人的にはおそらく抗がん剤の影響なのか、歯科領域での骨隆起のようなものが突然出現してきました。
右上の歯茎と左上の歯茎に白い突出したものがあります。
指で触れてみるとある程度硬く、どうやら骨のようなものが隆起しているように思います。
また下の前歯の歯茎にも一様に白いものが歯に沿って直線的に観察できます。
しかし痛みや発赤もありませんし、体全体にもとくに著変はありません。
ようやく吐き気や不整脈も治まり、これから白血球数が減少する時期です。
Netで調べたところ、
３－３．歯茎にできる歯槽隆起－この写真に非常に似ています。
http://www2.ha-channel-88.com/soudann/soudann-00032502.html
また32歳の方の上記URLの写真とそっくりです。
３回目の開始直前にはありませんでしたが、抗がん剤でこのようなことが起きた患者さんのご経験はありますでしょうか？また当面放置しておいてもよろしいでしょうか。
歯科的には骨隆起だとすると放置しても問題ないとされているようですが。。。
田澤先生から 【回答２】
こんにちは。田澤です。
「３回目の開始直前にはありませんでしたが、抗がん剤でこのようなことが起きた患者さんのご経験はありますでしょうか？また当面放置しておいてもよろしいでしょうか。」
⇒炎症が無ければ全く問題ありません。