[管理番号:2951]
性別:女性
年齢:60代
60代の母の件です。
先日右胸あたり(胸と脇腹の間)にしこりのような膨れが急にでき、
近所の病院へ細胞診とエコーの検査をしました。
その結果mastopathy・papilloma・早期乳がんのいずれかであると診断されました。
エコーの画像から診断した医者は100%乳がんであると言っておりましたが、エコーだけで分かるものなのでしょうか。
また、母曰くしこりの検査の前に、子宮に膨れがあったため切除しており
(結果は子宮体がん等腫瘍ではありませんでした)、切除した後急に胸に膨れができたと言っていますが関係はあるのでしょうか。
いずれにしても細胞診とエコーした病院より紹介状をもらい、
2週間後に再度大学病院で精密検査を受ける予定です。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
「右胸あたり(胸と脇腹の間)にしこりのような膨れが急に」
⇒60代で新たにできる「しこり」は(残念ながら)乳癌の可能性が高いと思います。
閉経前の若年者とは違い「線維腺腫などの良性腫瘍」が新たにできることは極めて稀なのです。
「エコーの画像から診断した医者は100%乳がんであると言っておりましたが、エコーだけで分かるものなのでしょうか」
⇒解ります。
「100%」という表現からは「ほぼ確定」と思います。
「切除した後急に胸に膨れができたと言っていますが関係はあるのでしょうか」
⇒偶然だと思います。
質問者様から 【質問2】
田澤先生、こんにちは。
60代の母の件です。
7月下旬に右乳房全摘出手術を行い、術後診断結果が下記のとおり出ました。
今後の治療法についてアドバイス頂けますでしょうか。
ステージⅢA
センチネルリンパ節生検及び腋窩リンパ節廓清検体
占拠右A領域腫瘍径浸潤部 3.5×3.5×3.0cm
腫瘍の広がり 7.0×3.5×3.0cm
組織型 invasiveductalcarcinoma papillotublarcarcinoma
浸潤度 G+, F+, S+, P-, W-
娘結節 +
切除断片 約5mm以内
リンパ管浸潤+
静脈浸潤+
Intraductalspreading +
EIC-
壊死 +
石灰化 +
組織学的異形度 Tubularformation 2
Mitosis score 3
Grade 2
Total score 7
Tumor grade 2
リンパ節転移 レベル1 8/15
レベル2 2/3
Sentinel 1/1
ちなみに、組織診では、
ステージ ⅡA
ホルモン受容体 ER 99%
Pgr 99%
Ki-67 20%
HER2 Fish法 陰性
でした。
母個人としては抗がん剤治療を受ける意思はないのですが、今後の適切な治療法について(放射線なのか、ホルモン治療なのか、抗がん剤治療なのか、組合せなのか)アドバイス頂けますでしょうか。
また、PETや骨シンチなどの追加検査は必要でしょうか。
(HP上では不要な追加検査は進めないとのコメントが見受けられますが)
よろしくお願いします。
田澤先生から 【回答2】
こんにちは。田澤です。
「母個人としては抗がん剤治療を受ける意思はないのですが、今後の適切な治療法について(放射線なのか、ホルモン治療なのか、抗がん剤治療なのか、組合せなのか)アドバイス頂けますでしょうか。」
⇒まず、(針生検での値ですが)Ki67からは「ルミナールA」のようです。
考え方として
①ホルモン療法 必須
②抗ガン剤 リンパ節転移4個以上では推奨(絶対ではない)
③(全摘後)放射線 リンパ節転移4個以上では推奨
上記となります。
術後補助化学療法は70歳以上でのデータなので(年齢が60歳代後半であれば)抗癌剤無しという選択もあるでしょう。
ただし、ホルモン療法と放射線照射は行うようにしましょう。
「また、PETや骨シンチなどの追加検査は必要でしょうか。」
⇒不要です。
腫瘍マーカーを術後(落ち付いたら)測定して、「もしも高値ならば」その時に考えましょう。