[管理番号:2830]
性別:女性
年齢:36歳
ホルモン療法の中断と妊娠出産
よろしくお願いします。
昨年5月に受けた検診(40才以下なのでエコーのみ)で「年1回要観察」との結果、一昨年は異常なしでしたので気になり、すぐに乳腺専門医でマンモグラフィーをし乳がんと診断。
針生検の結果は非浸潤がん
MRI画像で早期であるが乳管内に広範囲のため、8月に右乳房全摘+センチネルの手術
(術中検査で乳頭にも癌細胞が認められたので、乳頭温存でなく全摘となりました)
病理結果は
腫瘍 3cm
リンパ転移なし
核グレード3
ER 95%
PgR 20%
HER2 3+
KI67 20%
ly1 v0
切除部分に浸潤は見られないとの事でしたが、
「癌細胞がリンパ管に入り込もうとしている像が疑われる」との病理結果からly1となりました。
主治医の説明では
ly1の疑いがあるため、非浸潤がんとは断定できない
浸潤があったとしても5㎜以下なので抗ガン剤は不要ノルバデックス+リュープリンを5年(ノルバデックスは10年になる可能性も有)
田澤先生にお伺いしたい点は
1、核グレード3 という結果に不安があります。
明らかな浸潤部は見られないので、ly1の疑い程度であれば、抗ガン剤は必要ないでしょうか。
HER2 3+ですが、ハーセプチンは必要ないでしょうか。
2、現在36才で年齢が若い事もあり、再発と健側の予防の為、ホルモン療法を勧められました。
3才の子供が1人おり、第2子を望んでいた矢先の乳がん発覚でした。
当初から挙児希望を伝えていたので、主治医からは3つ選択肢を頂きました。
・ホルモン治療を延期して、先に妊娠出産。
・2年間ホルモン治療後、中断して妊娠出産。
産後にホルモン治療を再開
・5年間ホルモン治療(終了後は41才、妊娠は望めない可能性が極めて高い)
年齢的な事も考えて、妊娠を優先したい気持ちはもちろん大きく、妊娠希望の矢先の病気発覚に心の整理がつかず諦めきれません。
しかし、核グレード3とly1との結果が気にな り、また、1人子供がおりますので、治療に専念しこの子を育て上げる事も大切で、賭けはできないとの思いもあります。
この決断には時間がかかりそうで、何もせずにいるのも良くないと思い、10月よりノルバデックスの服用を始めました。
もし今後、妊娠優先したとしても産後にホルモン治療の予定なので、副作用がどの程度で、薬を服用しながら2人の育児ができるか知りたかったのもあります。
主治医からは「アメリカでは2年後中断+産後3年間でも効果に変わりはない」とのデータもあるとお話しがありましたが、「病理結果からすれば、やり過ぎくらいの治療かもしれないが、お子様の為にも妊娠は諦めて5年間しっかり治療したらどうか」と勧められています 。
もし妊娠優先するのであれば、年齢的な事もあり、少しでも早く中断したいと思ってます。
その際のリスクなどアドバイス頂けますでしょうか。
3、もし妊娠優先したとして、産後どれくらいからホルモン治療再開が望ましいですか。
最低でも半年くらいは母乳をあげたい気持ちはあります。
(それでリスクが上がるのであれば母乳は諦めて、産後すぐに服用しますが)
または、産後生理が再開するまでは、ホルモン治療は不要なのでしょうか。
4、2年前は授乳中でしたが、右のみ徐々に母乳が出なくなり、最後は左だけで授乳してました。
今思うとその頃、発症したのでは?とも思えるのですが、乳がんと関連はありますか。
5、出産、授 乳後に乳がんが分かりましたので、今後妊娠出産が引き金となり再発するのではと心配です。
そういう体質って事もあり得ますか。
ER 95% PgR 20%なので妊娠中はやはりホルモンの影響を受けますか。
6、主治医からはリュープリン5年も勧められていますが、身体への負担も大きそうなので、こちらは延期中です。
36才であれば注射による上乗せ効果もあるようですが、やはり必要でしょうか。
どのくらい効果がありますか。
副作用が不安なので、まずは1ヶ月製剤で様子を見るか主治医と相談中です。
7、病理のセカンドオピニオンをすると、全く違う結果が出る可能性もありますか。
(ly0となるなど)
まとまりのない文章で、質問が長くなり申し訳ありません。
ご回答よろしくお願いいたします。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
「ly1の疑いがあるため、非浸潤がんとは断定できない浸潤があったとしても5㎜以下なので抗ガン剤は不要」
⇒これは「正しい解釈」です。
「ノルバデックス+リュープリンを5年(ノルバデックスは10年になる可能性も有)」
⇒「浸潤癌の確定が無い」lのに過剰治療だと思います。
「明らかな浸潤部は見られないので、ly1の疑い程度であれば、抗ガン剤は必要ないでしょうか。 HER2 3+ですが、ハーセプチンは必要ないでしょうか。」
⇒不要です。
ハーセプチンは、そもそも検査自体が「適応外」となります。
「2、現在36才で年齢が若い事もあり、再発と健側の予防の為、ホルモン療法を勧められました。」
⇒勧めて悪いとはいいませんが…
ご本人が「当初から挙児希望」というのであれば、「迷うことなく」無治療とすべきです。
「その際のリスクなどアドバイス頂けますでしょうか。」
⇒数字にでるようなリスクはありません。
「3、もし妊娠優先したとして、産後どれくらいからホルモン治療再開が望ましいですか。最低でも半年くらいは母乳をあげたい 気持ちはあります。」
⇒授乳は明らかに「する低減効果」があります。
授乳を止める必要はありません。
「今思うとその頃、発症したのでは?とも思えるのですが、乳がんと関連はありますか。」
⇒ありません。
考えすぎです。
「5、出産、授乳後に乳がんが分かりましたので、今後妊娠出産が引き金となり再発するのではと心配です。そういう体質って事もあり得ますか。」
⇒考えすぎです。
「ER 95% PgR 20%なので妊娠中はやはりホルモンの影響を受けますか。」
⇒「妊娠出産授乳はリスクを低下させる」ので大丈夫です。
「6、主治医からはリュープリン5年も勧められていますが、身体への負担も大きそうなので、こちらは延期中です。」
⇒やりすぎです。
「36才であれば注射による上乗せ効果もあるようですが、やはり必要でしょうか。どのくらい効果がありますか。」
⇒数字にでるような「効果」はありません。
「7、病理のセカンドオピニオンをすると、全く違う結果が出る可能性もありますか。」
⇒それもありえます