[管理番号:2821]
性別:女性
年齢:46歳
田澤先生、初めまして。
昨年6月に昔からあった右胸のしこりが大きくなった気がして専門医を受診。
触診はなく、マンモとエコー検査の後、対面で以下の診断でした。
しこりの位置や形から言って、また、マンモには特に異常がないことから、3.5cmの恐らく30歳までにできた良性腫瘍だろうと。
(現在私は40代後半)
その他にも、左右の胸に2~3つ小さな腫瘍があることから、もともと出来やすい体質と思われるため、しばらく経過観察で十分とのことでした。
その後、今年1月の会社の婦人科検診(エコーと触診)でも、上記の専門医の見解を伝えると、少なくともしこりは6cm以上になっている。
短期間に巨大化した可能性がたかいから、もう一度専門医に見てもらうようにと言われました。
その後、多忙のため、3月下旬にやっと同じ専門医を訪れ、エコー、触診をしてもらった結果、確かに大きくなっており、6~7cmの良性の葉状腫瘍と思われるため、早く採った方がいいと。
少し大きいが、頑張れば部分麻酔の日帰り手術で十分で、直後から仕事も出来るといわれました。
(元々アメリカ式の切らない手術、日帰り中心の手術を推進している先生で、乳ガン手術でも部分麻酔&日帰り手術が基本というポリシーの専門医。
他の大学病院で4、5日入院&手術と言われても、セカオピでこちらで日帰り手術になり驚かれる患者は沢山いるとのこと。)何か、細胞を取ったりといった検査はありませんでした。
結果、2週間後の4/(上旬)に部分麻酔&日帰り手術を行ったのですが、大変な激痛でした。
予想より大きく、また深いところまで腫瘍か達しており、また乳腺や血管にかなり癒着しているとのことで、なかなか剥がれないといい、まるで引きちぎるように何度も何度も引っ張られ、余りの痛さに踏ん張った手足が痙攣し、何度も叫んでしまい、それが一時間以上続きました。
しかも手術に助手はおらず、医師一人でした。
途中、麻酔もなくなり、ガーゼも使いきり、二回ほど受付事務の方に、ガーゼを増やすように途中退出し、いいに行くほど。
結局、取り出してみると、直径7cm位の小振りなゲンコツ位のボール状のものでした。
(摘出腫瘍の写真を撮りました。
必要であればメール添付でお送りできます。)
これが、普通のことなのか、部分麻酔で十分だったのか、比べる方法がないのでわかりません。
だだ、4/(中旬)に抜糸にいきましたが、まだ検査結果が不明で、出たら電話するとだけ。
なぜか、目も合わせてくれず、特になんの説明もなく、エコー検査もありませんでした。
こちらから、今後は?ときくと、良性だったら、特に治療は終わりと。
後から思えば、手術中、やっと腫瘍を取り出したあと、まだあるなぁ、とか、また次とりますから、と独り言のように言っていたようにおもうのですが、その時は激痛で意識を保つのに精一杯で、うけながしておりました。
まだ、検査結果はでていないのですが、葉状腫瘍は取り残しがあると良性でも再発すると聞いており、医師への不信もあって、不安でたまりません。
もし、良性とでてその専門医の治療が終わりとされた場合、先生の病院にいけば、エコー検査等で取り残しなどは発見は出来るものなのでしょうか?
また、良性と出た場合でも、今後はどのようにすればいいのでしょうか?
(年一回の定期検診だけでいいか、他の腫瘍に変化が現れれば、受診するなど)
大変長くなりましたが、何卒宜しくお願いします。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
葉状腫瘍は「簡単に済ませる」と、後が大変となります。
きちんとしたマージンを取った初期治療が最も重要であり、
「一度いい加減な治療(マージン無しの適当な手術)」をしてしまうと、「負のサイクル(再発して、再手術するたびにグレードが上がる)」に入ってしまう事を最もおそれています。
○私は、かつて(大学病院時代に)先輩が「葉状腫瘍で再発を繰り返している患者さんを診療している」のを見て「強烈な印象」を受けたのです。
そのお陰もあってか、幸い私自身には「そのような経験」をすることなく現在にいたっています。
「確かに大きくなっており、6~7cmの良性の葉状腫瘍と思われる」
⇒そもそも「短期間で、このサイズにまで大きくなった」ものを「良性と(しかも組織診もせずに)判断」することは危険です。
○逆に考えると「その大きさで境界悪性以上であった場合」取り残した場合、「再発が非常に懸念」されます。
「日帰り手術を行ったのですが、大変な激痛でした。」
⇒御気の毒でした。
「その大きさの腫瘍」を局麻で摘出することは、「術者と患者さんの双方にとって」極めて「つらい状況」になることは目に見えています。
しかも、もっと困ることは「十分なマージンを確保できるとは考え難い」
「また乳腺や血管にかなり癒着している」
⇒線維腺腫とは異なり「つるっ」とした境界ではないということです。
「後から思えば、手術中、やっと腫瘍を取り出したあと、まだあるなぁ、とか、また次とりますから、と独り言」
⇒とても「十分なマージンをつけた安全な手術」とは言えません。
「葉状腫瘍は取り残しがあると良性でも再発する」
⇒その通りです。
願わくば、質問者が「手術前に、そのことを理解」していれば「7cmの葉状腫瘍を(マージンをつけて安全に)切除すること」に慎重となり、「局麻での手術に疑問をもったかもしれない」と、残念に思います。
「もし、良性とでてその専門医の治療が終わりとされた場合」
⇒もしも「良性」だったとしても「葉状腫瘍で露出(断端陽性)」であれば「再手術は当然考慮されるべき」です。
「先生の病院にいけば、エコー検査等で取り残しなどは発見出来るものなのでしょうか?」
⇒「顕微鏡レベルでの取り残し」は、エコーでは困難です。
やはり、「疑わしい場合」では「再手術も考慮」すべきです。
「また、良性と出た場合でも、今後はどのようにすればいいのでしょうか?」
⇒「良性でマージン陰性」であれば「定期検診さえ不要」となりますが…
それは術者にしか解らない事なのです。
質問者様から 【質問2】
田澤先生。
早急にご回答頂き、ありがとうございます。
再質問には少し早いのですが、不安になり投稿させていただきました。
切り取った腫瘍の検査結果はまだ出ておりませんが、か気になることが。
胸の傷跡の下の組織が、非常に固くなっているのは、切り開いたからと考えてよいのでしょうか?特に、傷跡の3cmほど上部(元の腫瘍があった箇所と同じ位置のように思います)、表面上のは傷跡がない部分ですが、その下に非常に硬い組織がゴロッとあるようにおもいます。
中をえぐり採ったためにかたくなっているのか、一般的に切り取ったあとはこういうものなのか、まさか既に残っていたものが大きくなってきているのか、よくわかりません。
(採ったばかりですぐにここまで大きくなるものではないかめたとは思っておりますが)。
いずれにしても、検査結果が良性とでても、再手術を検討する場合、先生の病院でお願いすることは可能でしょうか。
また、その際はセカンドオピニオン扱いになるのか、初診外来でお伺いした方がよいのか、お教え頂ければと思います。
また、その時に必要な書類はありますか?
その専門医からもらえるか否かは分かりませんが(物凄くプライドのある先生なので…)、可能性限り交渉してみます。
(万が一もらえないかもしれません)
最後に、再手術となった場合に、通常は何日位入院するものでしょうか。
もちろん病状にもよるとはおもうのですが、仕事の関係で休みがなかなか調整しずらいため、もし分かればと思いお聞きしました。
細々と申し訳ありませんが、何卒宜しくお願い致します。
田澤先生から 【回答2】
今日は。田澤です。
「胸の傷跡の下の組織が、非常に固くなっているのは、切り開いたからと考えてよいのでしょうか?」
⇒その通りです。
創部の瘢痕による硬さです。
「中をえぐり採ったためにかたくなっているのか」
⇒摘出した後に、縫合するわけですが縫合した部分は硬くなる(これを瘢痕と言います)
「一般的に切り取ったあとはこういうものなのか」
⇒そうなのです。
心配ありません。
「まさか既に残っていたものが大きくなってきているのか」
⇒それは100%ありません。
ご安心を。
「検査結果が良性とでても、再手術を検討する場合、先生の病院でお願いすることは可能でしょうか。」
⇒大丈夫です。
但し、その場合「初回手術の状況が(術者とは異なり)不明」なので、追加切除範囲の設定には慎重にならなくてはなりません。
「また、その際はセカンドオピニオン扱いになるのか、初診外来でお伺いした方がよいのか、お教え頂ければと思います。」
⇒「セカンドオピニオン」ではありません。
通常の外来です。
「また、その時に必要な書類はありますか?」
⇒病理結果は最低限必要です。
事情が許せば… 手術所見も欲しいところです。
「最後に、再手術となった場合に、通常は何日位入院するものでしょうか。」
⇒前日入院、翌日退院で「2泊3日」です。
「もちろん病状にもよるとはおもうのですが」
⇒御心配には及びません。
入院期間が延びる事はありません(今まで一度も退院延期がなかったことは病棟スタッフも皆承知しています)