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術前化学療法始まり不安症状がきついです。

[管理番号:2626]
性別:女性
年齢:61歳
術前化学療法1回目を受けはじめました。
自分でも副作用なのか不安症状なのか症状なのかよくわかりません。
田澤先生のご意見宜しくお願いします。
術前化学療法始まり不安症状がきついです。
 
初めまして 田澤先生。
拝読させていただいています。
今年1月に市のマンモグラフィ検診で乳ガンが見つかりました。
かかりつけ医の紹介で乳腺外科に通っています。
マンモグラフィ、MRI,エコー、針生検の結果
しこり1.1cm.乳管内病変を含む癌の広がり2.8cm
診断:T1cN0M0.stageⅠ早期浸潤性乳管がん.
乳房の外上領域に限局.多発病変なし
手術は温存可能.残存乳房からの再発抑制のため放射線治療平日5日×5週間。
このときの面談で義理姉が乳がんから肺がんになり亡くなっているのでトラウマになっているので、この時全摘も考えているとお伝えしてありました。。
追加の検査CT,HER2.FISH検査の結果:
サブタイプ
ER=92.63%
PgR=52.16%
Ki67=47.96%
Luminal B
HER2 2+陽性
遠隔転移なし
センチネルリンパ節生検で1個 転移なし
トリプルポジティブなので術前化学療法の適応となります。
術前た術後の化学療法がありますが選択可能です。
と説明を受けました。
術前のメリットは
①癌発生の極初期に全身(骨髄皮質.肺.肝など)に飛んで潜んでいるまたは眠っていることが多い。
画像にはまだ現れてない全身のどこかに散らばってるかもしれない数ミリにも満たない癌細胞を先に押さえておく。
②しこりがあるので術前で薬の効果が分かる。
③約30%で癌の消失もある。
といわれ全摘も考えているとこのときも言いましたが、大きさから温存は十分、
半年あるので温存か全摘かよく考えておいてくださいと言われました。
即決できなくて術前化学療法を受けることにしましたが、
治療前から精神的に不安症状がありマイスリーは毎晩服用。
始まってからは前向きに取り組む予定で過呼吸には腹式呼吸、
軽い体操、あし温浴など取り組んでいますがひどくなるばかりです。
徐々に胸が痛い、
6日目には朝から心拍数増加などにより夜間睡眠不足にもなり、コントロールの難しさを実感しています。
デパスを飲み始めて心拍数は改善。
昨日FEC8日目の採血で白血球数800まで下がり、点滴後2日目にG-CSFの投与を
受けておいてよかったと主人に言われました。
先生にはマスクして感染に十分気をつけるよう言われました。
かなりだるいです。
心拍数増加や足先の冷えなどは副作用とかんがえて良いでしょうか?
体全体は温めるようにしていますが。
次回2週間後までに白血球数が戻らなければ治療が遅れるのが怖いです。
そうならないようにしたいのですが、ただ乗り切るしかないのでしょうか?
主治医に相談したらいまは様子見て、 あまりいやなら 白血球数が上がるの待ってイレギュラーではありますが手術を先にできます。
術後抗がん剤です。
といわれました。
小さいので十分温存可能といわれ全摘を考えるのはおかしいですか?
半年後まで化学療法を続けて行けるかどうかも自信のない今、
手術のことも気になり半端な毎日です。
この病院では全摘は乳首も入れて全く切り取ってしまうか、
再建で脂肪組織のみ全部切り取り
生食バックを一年間いれておいて、その後シリコンに置換するというものでした。
手術が早まるならどちらかに決めなくてはいけなくなります。
メリットとデメリットも教えていただければ幸いです。
今現在の治療は標準治療といわれ
確かに治療方法は間違っていないようにも思えるのですが、考えすぎでしょうか?
また私のようなトリプルポジティブで不安症状の強い場合、
田澤先生ならどのような治療方法が一番よいと思われますか。
どうかご教示宜しくお願いします。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
私は、このQandAでも「何度となく」術前抗がん剤を安易に行うやり方に「苦言を呈して」きました。
何度コメントしたのか「不明」なくらいですが、この場でも強調します。 
『術前化学療法の唯一の適応は小さくして温存』です。
 それ以外の「取ってつけた理由」以下の①②には「うんざり」しています。
①抗ガン剤の効果がわかる
②(最初に)全身に拡がっているかもしれない、見えないがん細胞をたたく
cT1c, pN0, luminalB(HER2陽性)
「この時全摘も考えているとお伝えしてありました」
⇒これであれば、「手術先行」が当然です。
 
「トリプルポジティブなので術前化学療法の適応となります。」
⇒全くの「誤り」です。
 いくら「HER2陽性」だと抗ガン剤が効き易いからといっても、それは「術後でもいい」わけです。
 術前に行う理由には「全く」なりません。
 
「術前と術後の化学療法がありますが選択可能です。」
⇒全摘であれば、「術前に行う理由」が全くありません。
 
「術前のメリットは
①癌発生の極初期に全身(骨髄皮質.肺.肝など)に飛んで潜んでいるまたは眠っていることが多い。
画像にはまだ現れてない全身のどこかに散らばってるかもしれない数ミリにも満たない癌細胞を先に押さえておく。」
⇒出ましたね。
 お得意の「見えないがん細胞を先に叩く」 
 余程「視力がいい」のですね。この担当医は
 
「②しこりがあるので術前で薬の効果が分かる。」
⇒術前術後に適応の有る薬剤は「アンスラサイクリンとタキサン」しかありません。
(決して「効果が無いからという理由で、別の薬剤に変更する」ことはできないのです)
 何のために「薬の効果」など知る必要があるのか?
 そもそも「抗ガン剤の役目は再発予防」です。
 適応の有る薬剤を「きちんと投与する」ことなのです(薬の効果が目に見えるとか見えないとか無関係に)
 
「③約30%で癌の消失もある。」
⇒これのどこが、「術前に行う利点」なのですか?
 「消失しても、必ず手術しなくてはならない」のです。
 全く無意味です。
 「術前抗がん剤で完全奏功すれば予後が良好」など、当たり前なことです。
 「術前に行って効果があれば」その人にとっては、「術後に投与しても」同様な効果が得られるだけの話です。
 
 ☆抗ガン剤は術前に投与しても術後に投与しても、予後は同じなのです。
 
「心拍数増加や足先の冷えなどは副作用とかんがえて良いでしょうか?」
⇒その通りです。
 
「 主治医に相談したらいまは様子見て、 あまりいやなら 白血球数が上がるの待ってイレギュラーではありますが手術を先にできます。術後抗がん剤です。」
⇒それでいいのです。
 「術前に行う意味」など『全くありません』
 
「小さいので十分温存可能といわれ全摘を考えるのはおかしいですか?」
⇒そんなことはありません。
 「乳房を全摘する事」は治療として「温存より劣る」ことは決して無いのです。
 
「半年後まで化学療法を続けて行けるかどうかも自信のない今、手術のことも気になり半端な毎日です。」
⇒手術先行とすべきです。
 ♯最初から「術前化学療法の適応外」です。
 
「この病院では全摘は乳首も入れて全く切り取ってしまうか、再建で脂肪組織のみ全部切り取り生食バックを一年間いれておいて、その後シリコンに置換するというものでした。」
「メリットとデメリットも教えていただければ幸いです。」
⇒「乳房切除のみ」と「乳房切除(同時)再建」ですね。
 シンプルに「現時点で再建したいか?」です。
 もしも(将来的に)必ず再建したいというのであれば「同時再建」であれば「手術が1回少なくできる」ということです。
 しかし、自分が「乳房再建をのぞんでいるのかが(自分自身)不明」であれば、取りあえず今回は「切除するだけ」に留めて、後でゆっくり「自分に再検乳房は本当に必要なのか?」考えればいいのです。
 
「今現在の治療は標準治療といわれ確かに治療方法は間違っていないようにも思える」
⇒本来の「術前化学療法の適応」からは外れています。
 
「また私のようなトリプルポジティブで不安症状の強い場合、田澤先生ならどのような治療方法が一番よいと思われますか。」
⇒とにかく手術先行とすることです。
 術後に[必要な治療(抗HER2療法はすべきと思います)」を行えばいいのです。
(手術を済ませている事で、気持ちに余裕が生まれるでしょう)